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Maeda Niina BLOG

母・前田(阪口)美奈子が永眠いたしました

2016年05月31日 10時00分29秒 | niina
昨日私の母、前田(阪口)美奈子が永眠いたしました。
78歳でした。
明日は母親の79歳の誕生日を祝うはずだったのですが。。


母の死は、なにか大きな意味を感じざるを得ないタイミングでしたので、自分のためにもここに書き残しておこうと思います。
ータイミング。
“いのち”や“魂”という普遍的なテーマを持った作品「Silently She Dances-静かなるダンス-」に取り組んでいるとき。
そしてその作品が愛媛で初日を迎える、まさにその日の昼に、母は心肺停止となり倒れました。意識不明。

そしてそのことが起きることをどこかでわかっていた自分がいました。
四国への出発前日、弱りつつある母を抱きしめ、なぜか涙が流れました。
母はわたしに「大好き」と言ってきた。。
ここ何十年もなかったような母娘のつながりを感じ、何か予感するものがあったのです。

幸い翌日から、母はだんだんと意識を取り戻しました。
しかし私はまだツアーの本番が残っている。
ツアーの主催者であるレナード衛藤さんにはこのことを伝えましたが、ご自身もこういった状況を経験されており、わたしの意思で決めることだ、と、大きな懐で受け止めてくださいました。
母は持ちこたえてくれていたので全ての本番を終えてから帰ることができました。

しかしやがて、いわば延命するかどうかの決断をするときがきました。言葉には語弊がありますが、、
我が家はそれはしないと決めていました。
それからしばらく、母は苦しそうにあちこちを旅しているようでした。
それを見守る時間はわたしにとってはたくさんのことを感じる時間でした。
同時に冷静な自分が、「このことがこれからの舞台人生に生きることは間違いない」と思う、そしてそれを 「当然だろ」、と受け流す父。
さすが、長きにわたる俳優人生。すごい。
でも同時にすぐにはらはらと涙を流す父。こんな父は見たことがなかったな。。

倒れてちょうど一週間、母がいままでにないはっきりした意識で何かを訴えた時がありました。
それが腰の痛みのせいだとわかるまでに何時間もかかったけれど、姿勢を変えてあげると、それまでの表情が嘘のように穏やかな顔になった。
今までにない穏やかさ。
そしてその夜、母はわたしの夢枕に現れ、「もう苦しくな〜い」って言っていた。清々しい魂が透けたような笑顔で。
“ああ、そろそろかな。。”

翌日、母は召されていきました。


わたしは母の最後にたくさんのことを教わり、感じることができました。
そのような時間をもらったこと、母に感謝せねばなりません。


母は元“劇団民藝”の女優でした。
私の名前は劇団の演目でもあるチェーホフ「かもめ」の主人公の名前をいただきました。
「ニーナ」は女優であることが生きることそのものだったキャラクター。
私もどうやらその名の通り、ダンスが生きることそのものになっているようです。

劇団民藝 「法隆寺」より (滝沢修さんと)



この間、わたしを支えてくださった方々にこころから感謝を。。
また、この一週間、クラスを代講してくださる友人に感謝を。。
クラスを楽しみにしてくださったみなさまには申し訳ありませんでした。

お通夜・お葬式は執り行わず、親族のみで荼毘に付し、海に散骨をします。
海に還ることは母の心からの希望でした。

母の魂は永遠に私たちのこころの中に生き続ける。
引き続き創作が続く「静かなるダンス」に向け、
そして「いのちてんでんこ」の上演に向け、ますます身が引き締まる想いです。

お母さん、ありがとう!