パチリズム!

下手の横好き将棋指しの、将棋関連ブログです。

芸術的な振り飛車

2010-12-22 14:35:46 | 将棋
 芸術的な振り飛車を指す棋士、といったら、皆さん誰を思い浮かべるでしょうか?

 久保二冠という方がおそらく、一番多いでしょう。さばきのアーティストというニックネームがつくことが、久保二冠の振り飛車の見事さを物語っています。相穴熊戦で絶妙な距離感覚を見せる広瀬王位を思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれません。さばくという感じではありませんが、故大山名人の振り飛車も大変評価が高いです。

 しかし、私にとっては違います。振り飛車の芸術といえば、なんといっても中田功七段の三間飛車です。

 初めて中田功七段の実戦譜を観たのは「コーヤン流三間飛車の極意 実戦編」でした。それまで、中田功七段の三間飛車が素晴らしいということは、どこかで本を読むか何かして知っていたのですが、肝心の棋譜を観たことがなかったので、試しに買ってみたのです。あ、ちなみにコーヤンというのは中田功七段のニックネームです。また、功は「こう」ではなく「いさお」と読みます。

 私にとって、その棋譜はまさに衝撃的と言っていいものでした。プロ同士の対局でここまで華麗に勝てるのか、とため息が出るような綺麗な棋譜がいくつも並んでいたのです。引越しのどさくさで紛失してしまったのが、二年以上経つ今でも悔やまれてなりません。

 私は基本居飛車党なのですが、後手番ではときどき三間飛車に振ることがあります。コーヤン流のような華麗なさばきが、今度こそ出来やしないかと、ついつい飛車を三間に振ってしまうのですね。大概はあえなく居飛車穴熊の餌食となってしまうわけですが……。

 現在、居飛車穴熊側のコーヤン流に対する研究が進み、本家の中田七段でさえ、コーヤン流は滅多に指さなくなってしまいました。つまり、コーヤン流は、相手が対策を知っていれば苦しいということになります。それでも、「コーヤン流三間飛車の極意」は、振り飛車党なら読んでおいて損はない本なのではないでしょうか。具体的な手順どうこうではなく、振り飛車のエッセンスがぎっしりと詰まっているのです。