パチリズム!

下手の横好き将棋指しの、将棋関連ブログです。

竜王の矜持

2010-12-14 10:00:12 | 将棋
 本日から、竜王戦七番勝負第六局がはじまりましたね。このエントリを執筆時点で、まだ対局開始から一時間もたっていませんが、既に角換わり腰掛け銀模様に進んでいます。先手が羽生名人、後手が渡辺竜王ですね。渡辺竜王はこのシリーズの後手番では、すべて二手目△8四歩と突いています。角換わりは怖くない、ということですね。そういえば、先日のA級順位戦の対郷田九段戦でも、後手番で角換わり相腰掛け銀を持ち、新手を出していましたね。結果が伴わなかったのが、残念ですが……

 この竜王の姿勢に、私は強い意志を感じます。トップ棋士として、相手がどんな戦法で来ようとも受けて立つという姿勢を示すと同時に、将棋界全体のことを考えての△8四歩なのではないでしょうか。後手番で二手目△8四歩と突けないのでは、将棋の可能性がずいぶん狭くなってしまいますからね。

 もちろん、△8四歩と突かないのがいけないとか、志が低いとか言いたいのではありません。将棋にはまだまだ未解決な局面がたくさんありますし、そもそも勝負ごとなのですから、自分の一番自信のある戦型を選択すればいいと思うのです。全員が全員、△8四歩と突かれても、それはそれでつまりませんしね。

 ただ、渡辺竜王に感心するのは、かなり大きい対局でも臆さずに△8四歩と突いていることです。例えば、この第六局だって、リードしてはいるものの、本局に負ければ結果はどう転ぶかわかりません。ここで取っておきたいと思うのが普通でしょう。また、先日のA級順位戦も、対局前には4勝1敗で挑戦圏内だった渡辺竜王にとって、落としたくない対局であったのは想像に難くありません。それでも、彼は△8四歩と突くのです。

 やっぱりこの第六局は渡辺竜王に勝っていただきたい、というより、負けても負けても角換わりの後手番を持ち続ける努力が実を結んでもらいたいですね。

人気ブログランキングへ