贔屓の棋士

　将棋ファンなら大概の方は、誰か贔屓にしている棋士がいらっしゃると思います。もちろん、私にも居ますよ。まず、なんといっても藤井九段ですよね。それに木村八段は将棋も解説も個性的で注目していますし、あと山崎七段にも頑張ってもらいたいですし、佐藤天彦五段も応援していますし、中田功七段の三間飛車からの芸術的なさばきは目に焼き付いていますし、そうそう瀬川四段を忘れちゃいけませんよね！　女流棋士でいえば中井女流六段と里見女流三冠とそれから……って多すぎますか？

　自分でも節操がないなあ、とは思うのですが、ファン歴が長くなるにつれ、どうしても思い入れのある棋士というのは増えてきてしまうのですよね。将棋世界を購読していたり、棋士のブログを読んだりしてればなおさらそうなってしまうと思います。

　贔屓にしている棋士が多いと、棋戦情報をチェックするのが楽しくなりますから、そう悪いことでもないのですが、困ったこともあります。贔屓の棋士同士が対局であたってしまうときです。どちらが勝っても、なんとなく複雑な気分になってしまうこと、経験がある方もいらっしゃるかと思います。

　昨日の王位戦予選、▲遠山四段対△渡辺竜王戦は、私にとってまさしくそんな対局でした。もっとも、私と同じような気持ちになった方は案外多いかもしれませんね。なんといっても、お二人とも人気棋士ですから。

　将棋の内容は、遠山四段の四間飛車穴熊対、渡辺竜王の居飛車穴熊という、相穴熊戦に進みました。中盤で遠山四段がうまくさばいて優勢になり、そのまま押し切って、快勝と言っていい内容だったと思います。紹介したい、良い手筋がたくさんあるのですが、有料中継なのでおそらく局面図を載せるのはまずいのでしょうね。
　失礼ながら遠山四段はデビュー当時の成績があまりパッとしなかった印象があるのですが、着実に力を蓄えられているな、と最近強く感じます。もう若いとは言いづらい歳かもしれませんが、これからが大変楽しみな棋士の一人です。

　ところで、広瀬王位が振り穴で王位をとられてから（勿論、振り穴だけでとったわけではありませんが）も、振り飛車穴熊はそれほど流行る兆しを見せませんでしたが、今回の結果を受けて指されていくかもしれませんね。遠山四段のような振り穴のスペシャリストでない方が、振り穴で竜王に勝たれたというのはすごく大きいと思います。