パチリズム!

下手の横好き将棋指しの、将棋関連ブログです。

千両役者

2011-09-28 21:49:44 | 将棋

 さすが渡辺明! というタイトル奪取でしたね。

 竜王奪取からずっと他のタイトルの待望されながらも、挑戦者になることすらままならず、たまに挑戦できても跳ね返され続けていた渡辺竜王。羽生王座二十連覇がかかるこのタイミングで初の二冠を取るあたり、本当に渡辺さんらしいなあという感じです。

 渡辺竜王(もう手癖でこうタイプしてしまいますね)を応援し始めてからもう随分経ちます。毎年毎年、今年こそは竜王を取られてしまうのではないか、無冠になってしまうのではないか、と関係ないくせに気をもみ続けました。それだけに、今回のタイトル奪取には感慨もひとしおです。タイミングがタイミングだけに、うれしく思っていない方は多いと思いますし、それも当然でしょうが、渡辺ファンとしてはこう言いたいです。

 

「渡辺二冠、おめでとうございます!」


いいもの見せてもらったなぁ

2011-09-22 22:34:54 | 将棋

谷川九段 vs 中川八段

 出だしの数手は相矢倉模様で、矢倉をあまり指さない両者の相矢倉が見れるのか、と思っていたのですが、ふたを開けてみれば谷川さんのノーマル中飛車に中川さんが金を繰り出していく急戦で対抗するという戦型に。金で攻めるのは手厚くておさえこめれば良いのですが、どうしても自陣が薄くなってしまいがちなので、形成が良くなっても実戦的には負けということになりがち。このあたり、穴熊が主流となっている大きな要因と言えるでしょう。

 ですが、この対局においては中川八段が攻め倒して勝ち。仕掛けの直前に3一金と玉を固める呼吸といい、いいもの見せてもらったなぁという感じの一局。中川八段の将棋はどれをとっても個性的ですね。金がとれる将棋というのはこういう将棋をいうのでしょう。

鈴木女流初段 vs 甲斐女流王位

 昨年上田女王に女王の座を奪われ(と書くとなんかおかしな具合ですが)リベンジしたい甲斐女流王位と、鈴木女流初段の対局。鈴木女流初段は数年前の大躍進から一転、パッとしないシーズンが続いていますのでこのあたりで一旗あげたいところでしょう。

 序盤、中盤と鈴木女流初段が良さそうな時間が続いていたものの、最後に甲斐女流王位がひっくりかえして貫録勝ち。形成が悪くとも最後には勝つあたり、さすがタイトル保持者という感じですね。一方、鈴木女流初段にとっては残念な敗戦でしたが、中継ブログの笑顔が素敵でこちらもいいもの見せてもらったなぁという感じ。次は勝利の笑顔が見たいところですね。


本戦準決勝

2011-09-21 22:41:47 | 将棋

 今年から新設された女流王座戦の本戦準決勝が行われましたね。奨励会員の参加が認められているのが、この棋戦の大きな特徴の一つです。奨励会級位者と女流棋士のどちらが強いかというのは、みんな口にも出さないものの多かれ少なかれ興味のあるところだと思いますし、面白い試みだと思います。

 そういう意味で主催者・リコーさんの意図は当たったというべきでしょう。今日の結果、決勝戦は加藤桃子1級対清水女流六段という、奨励会員対トップ女流棋士というガチンコなカードになりました。面白くなりそうです。

 それでは簡単に感想など。


 加藤1級 vs 伊藤1級
 女流棋界ではほぼ見ることのない、相居飛車からの矢倉戦に。

 加藤さんが華麗な手順で中盤を制し、紆余曲折ありながらもそのまま押し切る展開に。中継ブログに載っている勝利後の加藤さんの笑顔が、なんとも嬉しそうでいいですね。

 清水女流六段 vs 中村女流二段
 大方の予想通り、振り飛車の中村さんが攻め、居飛車の清水さんが受けるという展開になりました。

 中盤戦で居飛車の玉頭が冗談のような取り込み方をされたときには、もう勝負にもならないのではと思いましたし、実際中村さんが良かったようですが、そこから粘りに粘って勝ったのはさすが清水女流六段という感じ。まだまだ小娘には負けられんという強い気概を、私が勝手に感じました。


 千葉さんが出産などで対局が減った時期があったり、矢内さんが振り飛車を指すようになったりで、女流棋界から居飛車党がどんどんいなくなった影響もあって、居飛車党同士の番勝負は本当に久しぶり。熱戦を期待したいですね。


ひねくれたファン心理

2011-09-20 22:03:31 | 将棋
 今年の王座戦五番勝負は羽生王座の20連覇という、空前にしておそらく絶後の大記録がかかっています。滅多にない機会なので是非羽生王座に記録を作っていただきたいと思っている方は多いものと思います。もともと羽生王座のファンであればなお、そうでしょう。

 ここでもし渡辺竜王が連覇を止めようものなら「空気読めよ……」とか「羽生さんよりも年上に見える」などの罵詈雑言を電脳空間で浴びせられてしまうことは想像に難くありません。なぜなら、昨年の竜王戦でも永世七冠を阻止していますし、羽生王座より年上に見えなくもないのです(ちょっと無理すれば、ですよ)。

 それでも、空気の読めない将棋ファンである私は、渡辺竜王の勝利を期待してしまうのです。単純に普段から渡辺竜王を応援しているからという理由もありますが、それだけではありません。私の個人的な見解を述べさせていただくならば、渡辺竜王が一番輝くのは大勢の将棋ファンの期待を裏切ったときなのです。


 「こんなふてぶてしい奴は懲らしめてしまえ」という大方の将棋ファンの願望をあざ笑うかのように森内三冠(当時)をフルセットの末打ち負かし、

 タイトル挑戦→敗退の流れを繰り返す佐藤康光棋聖(当時)と「いいかげん佐藤先生タイトル獲って!」というファンの想いに冷や水を浴びせ、

 今年こそはと二年連続で挑戦してきた佐藤二冠(当時)を蹴散らしてみせた渡辺竜王。


 思い出してみてください。渡辺竜王は悪役的な立ち位置に立ってこそ一番格好いいのです。至って品行方正であるにもかかわらず、将棋世界の『悪漢列伝』という特集でとりあげられてしまったほど、彼には悪役が似合うのです。

 しかしそうして逆境をはね返し続けていくうちに、いつのまにか渡辺竜王は将棋界のメインストリームに躍り出てしまいました。実績からすれば当然とも言えますが、これではもう、悪役になりようがありません。そう、相手に今回のような大きな記録がかかっていなければ。

 ひねくれた渡辺竜王ファンの私からすれば、今回の王座戦は再び渡辺竜王が悪役になれるチャンスに他なりません。こうして書いている今まさに、渡辺竜王が羽生王座の猛攻をしのぎ切り、二連勝を決めました。この調子で次の対局も取り、将棋ファンに地団駄踏ませて欲しいものですね。


憧れの棋士と

2011-09-18 22:03:42 | 将棋
 さて今日のNHK杯戦は郷田九段対金井五段の一戦でしたね。

 金井五段はかねてから郷田九段を尊敬していることを公言している筋金入りの郷田ファン。ここまで郷田ファンをアピールしていたら、いざ対局のときにちょっとやりづらくなったりしないかしらん、とか将棋会館ですれ違った時にお互いに妙に意識してギクシャクしたりしないのかな、とこちらが余計な心配をしてしまうほどの尊敬ぶりなのです。

 それほど尊敬している先輩との一戦で、金井五段はひるむことなく闘いました。

 横歩取りの序盤から一瞬の隙を突き、どんどん攻め込む金井五段。ちょっと勢いよく攻めすぎて形成を損ね、最後は鮮やかな香車のタダ捨てで仕留められてしまいましたが、最後まで粘り抜いた金井九段に悔いはないでしょう。尊敬する先輩に力の差を見せつけられたことは、かえって励みになるのではないでしょうか。

 それにしても、郷田九段強いなあ……。