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インドで作家業

ベンガル湾と犀川をこよなく愛するプリー⇔金沢往還作家、李耶シャンカール(モハンティ三智江)の公式ブログ

ペーパーバックをまとめ買い

2015-05-17 19:18:13 | カルチャー(祭)・アート・本
息子が戻っている折でもあり、読みたいと思っていた洋書を、アマゾンで購入してもらった。

ロンダ・バーンの「ヒーロー」(翻訳版はこちら)と、エリザベス・マクニールの「ナイン・アンド・ハーフ・ウイークス」(翻訳版はこちら)と、ステファニー・メイヤーの「トワイライト」三部シリーズ(翻訳版上はこちら。以下、ウイキから。雨と霧の町、アメリカワシントン州フォークスへ引っ越してきた少女ベラと、そこで彼女が出会った完璧な容姿を持つヴァンパイア・エドワードとの許されない恋を描く。本国アメリカではハリー・ポッターシリーズに次ぐ大ベストセラーで、10代の少女を中心に絶大な人気を誇る)だ。
全部中古ブックにしてもらったが、2000ルピー、日本円にして4000円近くの散財。

足の怪我で思うように書けないので、滋養を養っているこの期間、読書、それも英語の勉強になる原書リーディングを楽しむことにしたのだ。

これまで小説に関してはもっぱら、日本語の本だったが、これを機に洋書ももっと読んでみたいと思っている。英文学専攻の学生だった頃は、DHロレンスの「チャタレイ夫人の恋人」やグレアム・グリーンはじめの文芸書も英語で紐解いたが、移住後はもっぱらハウツー物や精神世界書に集中、小説を原書で読むことはめったになかった。

「ヒーロー」は多分、辞書なしでいけるだろう。「トワイライト」は、映画動画はこちら)のファンなので、原作を読むのが楽しみ。レビューによると、結構クラシックな感じの小説で、邦訳がひどいという意見が多かった。主人公の女子高校生の会話文が、あたしと自称するチープなものになっているらしい。原文では早熟でしっかりした女子高校生なのに、邦訳ではいかにもお脳の足りない言葉遣いになっているのが残念と、不評を買っていたのだ。

ほんと、訳文は大事である。
私は翻訳書に関しては、日本語になっていない直訳調だと、それだけで読む気がしなくなる。つまり、小説書の邦訳なら、文芸的センスと達文が必要ということ。

そういう意味でも、原書で読めたらベストで、英語が第二言語のインドではペーパーバックも容易に手に入るので、重宝している。
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世界的ベストセラー書の風光明媚な舞台

2015-05-15 19:31:26 | カルチャー(祭)・アート・本
世界で一億部突破した「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」(続編二冊含め全三部作)(一部の翻訳版はこちら)の書評を、拙ブログでレビュー中(現在三部)だが、舞台になったシアトルの描写が美しいので、調べてみると、以下のページに突き当たった、

米国シアトルの観光情報と写真・画像まとめ

なんとスターバックスやマイクロソフト、ボーイング社などの大企業の本社の所在地でもあり、スペースニードルという高塔シンボルが有名で、摩天楼と湾岸風景、なだらかな雪山が仰げる風光明媚さ、俄然行ってみたくなった。

実はインドに移住する前、私はバンクーバーに移住するはずだったんである。
男絡みのその話は、結局破局で流れたが(五年で作家にしてやる、お前はバンクーバーで唯書いていればいいというくどき文句と、氷河のかけらでオン・ザ・ロックの駄目押しにころりと参ったものの、打算がらみの愛は早晩終局を迎えた)、「フィフティ・シェイズ…」のヒロイン、アナはバンクーバー在住の女子大生でもあったわけで、アメリカからカナダの国境にかけてのこのあたりの西海岸は美しそうで、これから海外旅行も満喫したいと思っている私の好奇をそそらずにおかない。

バンクーバー写真集

インドとは対極にあるような壮麗な自然の開ける美国である(インドも混沌とした猥雑さだが、また別の大自然の美、神の恩寵とも言える神秘的なネイチャーはある)。

最近、洋画で観たアイルランド(イメージ写真では牧歌的)にも惹かれたことだし、行きたい外国がまた二つ増えた。
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精神医との面談と7300坪豪邸の下見(マミーポルノ二部7)

2015-05-11 18:31:57 | カルチャー(祭)・アート・本
世界で一億部突破の「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」(翻訳版はこちら)の第二部「フィフティ・シェイズ・ダーカー」(翻訳版はこちら)を第18章まで読了。やはり読み出すとはまる感じで、昨日は午前三時までのめり込み、余すところ80ページになった。

二部は一部よりずっと面白い。
三部の結婚編で一応終結だが、結婚後の二人の変遷とか、その気になれば、延々続いていきそうである。私にはアナが幸せになれるとはとても思えないのだが、巷に伝え聞くところによれば、ラストはハッピーエンドで終わるらしい。

さて、以下、17・18章のあらすじ。


上司ジャックの突然の解雇を知らされたアナは、別の女性上司から代理の編集責任者に抜擢される。責任の重さを感じる一方でスリリングも覚え、グレイに告げると、お祝いに高級レストランに連れて行ってもらえることになった。

白ワインで乾杯する前に、男はアナにパンティを脱いでくるようそそのかし、アナは化粧室で下半身をはだける。席に戻って、男は何食わぬ顔で、運ばれてきたかき料理を勧める。アナの期待に反して、男は股間に触れてくることはなかった。
じらしにじらされたアナは男のマンションのエレベーターで、六人もの同乗者がいるなかで、大胆にも股間にタッチされる。
濡れに濡れた状態で、ベッドに駆け込み、やっとじらされていたご褒美を与えられる。

翌日、男係りつけの精神科医フリンと三者面談、フリンはアナが男に席をはずしてもらいたがっていることを察知し、患者を去らせ、二人だけの対話に持ち込む。フリンはアナの質問に答え、患者がサドであることを認めたうえで、しかし、彼がこれまでのやり方、つまりSMのドミ(主人)としてサブ(従者)をコントロールし傷めつける性技によってでなく、新しいトラウマ解消法を模索し始めたと告げる。それはすべて一度アナに去られた衝撃から発したもので、彼がアナを深く愛していること、SM行為に関しては個々人のライフスタイルの選択ともいえ、ひとまず疑わしきは罰せずで男の変化を受け入れて温かく見守るべきとの、アドバイスを垂れる。

面談後、アナは男の車で郊外に連れていかれ、ゴージャスな邸宅に招かれる。足を踏み入れると、中はがらんとした空き室で、不動産業者と思われる女性に紹介され、売り家であることを悟る。
五つのベッドルーム、ファミリールーム、リビングキッチン、ゲーム室、インドアプール、テアトル、地下室と6エーカー(約7345坪)の土地に建った12000フィート(約330坪)の広壮な邸宅にアナは感嘆の息を洩らす。
バルコニーから見下ろした、湾の一望、海峡の遥か向こうに瞬くオリンピック半島はすばらしかった<ブログ著者注。Olympic Peninsulaはアメリカ合衆国北西部、ワシントン州の西部にある大きな半島で、西は太平洋に面し、北はファンデフカ海峡でバンクーバー島(カナダ)と隔てられ、東はピュージェット湾でシアトルなどの地域と隔てられている>
男はここを僕たちの新居にするつもりだと明かし、この古い屋敷は取り壊し建て直すつもりだと告げる。アナは反対し、そのまま遺して改装するようにと説得する。


まさしく、フェアリーテイル、おとぎ話、女性のあこがれる要素の一杯詰まったロマン、ただ王子様は白馬ではなく、黒馬にまたがり、複雑な出自とトラウマを持っていたという設定。

女性読者の憧憬をそそる超ゴージャスな大邸宅描写は、生きている。

しかし、アナはいまだプロポーズに首を縦に振ったわけでない。

男の誕生日が間近に迫っていた。
アナはすでに男にプレゼントをひとつ、当日開けるようにと促し贈っていたが、追加の贈り物として名案を思いつき、黒い箱の中にSM室の鍵と、引き出しから盗み出したニップルクランプやアナルプラグ、例の縛り用の灰色のネクタイを忍ばせる。
SM嗜好の恋人に触発されうごめきだしたアナの暗い欲望は、男のバースデーに男の要求をかなえてあげたいとの思いと、わが身のうちに芽生えた欲情がクランプやプラグを試したがっていた。


*作品の舞台になっているシアトル(ピュージェット湾とワシントン湖の中間に位置し地中海性気候)の自然描写が美しく、行ってみたくなる。以下、参考までにウイキのピュージェット湾(地図はこちら)の解説。
ピュージェット湾(ピュージェット・サウンド、Puget Sound)は、アメリカ合衆国北西部のワシントン州にある湾。氷河の侵食が形成した入り組んだ湾が南北に渡って続き、北のファンデフカ海峡( Strait of Juan de Fuca)を通じて太平洋へとつながる。北はファンデフカ海峡東端のアドミラルティ入江(Admiralty Inlet)に、南はタコマやワシントン州州都オリンピアの街に達している。湾内にキットサップ半島などが浮かび、湾の西はオリンピック半島が太平洋との間を隔てている。沿岸はシアトル大都市圏と重なり、400万人の人々が住む太平洋岸でも重要な産業・物流・交通・文化の中心地である。
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急転プロポーズ(マミーポルノ二部5)

2015-05-09 15:40:32 | カルチャー(祭)・アート・本
世界で一億部突破の「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」(翻訳版はこちら)の第二部「フィフティ・シェイズ・ダーカー」(翻訳版はこちら)を第14章まで読了。三分の二読み進んだわけだが、二人の愛のシーンに急転回があった。

グレイの元SMパートナーがヒロイン、アナのアパートに銃をもって忍び込み、あわやのシーンで男が介入、アナは難を逃れるが、男と元サブ(性的従者)の間に通う情を敏感に嗅ぎ付け、自分はサブになれないけど、彼女はサブとして男の要求を満たせると悲観的になる。後刻、男が現れ、事の収拾を問いただすと、垢だらけの体を洗ってやって精神科医に手渡したとのこと、そこでまたショックを受けて、しばらく考える時間が欲しいと男から去ることをほのめかすのである。

男が元サブの裸体をバスタブにつけて、洗ってやったとの告白は衝撃だった。

感情にかられるまま男を詰ると、アナにまた去られると恐れた男はひざまづいて懇願、女が永久に自分のもとを去ることがない最後の手段として、結婚を請うのであった。

つまり三部の結婚編の伏線で、意外に早くプロポーズの場面が出てきたので、少し唖然とする。
急転回で、おお、もう結婚が出てきたかと、読者としては驚くシーンでもある。

アナは笑い飛ばしてのジョークに紛らわせ(もちろん内心うれしくなくもなかった)即答を避け、ゴールインするにはまだまだ考えなければならないこと、お互いをよりよく理解する必要があることを説明し、イエスでもノーでもないと、現時点での彼女の気持ちを正直に述べる。

ストーカーの女性はグレイと別れた後、別の男と交際していたが、交通事故死され、精神的に不安定になり、グレイとアナをストーキングするようになったとのこと、男の部屋に忍び込んだり、いたずらペンキでアナのアウディを台無しにしたりと、男の神経を尖らせてきたが、最終的にアナのアパートに薄汚いゾンビのような恰好で現れ、アナを恐れさせたわけだが、間一髪の介入で危害を加えられることはなかった。

このストーカーのルックスが、アナに似ているとの設定はそれなりに面白かったが、女にまた去られそうになってせっぱづまった男が洩らした、売春婦だった母にアナが似ていて、男のサドっ気をあおり立てるという告白はいまいち、似ているというのは一度使えば充分で、二番煎じだと、しらける。
つまり、男は幼児期自殺した実母を憎みながらも、アンビバレンツな感情で、パートナーに母と面差しの似通った女性を無意識裡に求めるということだろうが、アナが実母に似ているというのはないほうがよかった。

ストーカーの女性が自分に似ていることはアナ自身感じ取っていたことで、精神的トラウマから青白い幽霊のようなだらしない恰好でも、外見の類似をアナは察知するわけで、自分に似た女にストーキングされるという設定はちょっと薄気味悪く、場面としては生きている。

それはさておき、アナは男の許可を得て初めて男の胸の煙草のもみ消し後、つまり虐待のむごたらしい痕跡に触れることを許され、そのひとつひとつに口づけていくのであった。
一度アナに去られて、女の嫌がることは断じてしまいと誓ったグレイは、アナにSMのサブを求めることはやめて、正常な性関係の構築を模索しようとしていた。グレイはアナを深く愛していたし、アナもそれは同様であった。

ビリヤードの上や、ピアノの上での性交場面もあるが、SMプレー室の扉はよって開かれることはない。
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過剰な性描写で損なわれる文学的価値(マミーポルノ二部4)

2015-05-04 18:10:43 | カルチャー(祭)・アート・本
世界で一億部突破の「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」(翻訳版はこちら)の第二部「フィフティ・シェイズ・ダーカー」(翻訳版はこちら)を第九章まで読了。

マミーポルノ、主婦が書いた主婦向けのポルノと銘打たれるだけあって、やたら性描写が多いが、本筋は恋愛小説なので、性描写を減らしたら、ずっといいラブストーリーになるのにと残念だ。

もっとも、一億部も突破したのは扇情的な性描写が多いせいといえないこともなく、低俗だが、大衆に受けるという意味では、食傷するほどの絡みシーンも必要なのだろう。しかし、自然描写をもう少し増やして、性描写を半分にカットすれば、文学的価値は高まったかもしれない。大衆におもねるような過多な性描写を避ければ、女主人公の心理も丹念に描かれているし、気のきいた描写もあるので、惜しい。それなりに文学に通じた主婦が書いた作品で、英国人だけに、トーマス・ハーディーやジェーン・オースティンなど伝統的な英国作家の名前も登場するし、著者本人もかなり読み込んでいることがわかる。

性描写を抑制すれば、いい恋愛文学になったのにと、惜しまれる。

そうそう、性描写に関してひとつ気づいたことは、ピルとかコンドームの描写が多いこと。日本の小説の濡れ場にはいちいち、男がポケットからコンドームを取り出したとか、女にコンドームのパケットを渡してつけさせたなどという細部の描写はない。しらけるからだ。でも、英国女性が書いたアメリカが舞台のラブロマンスだけに、避妊描写はそのつど登場する。

半分弱まで読了したが、SMシーンはなく、正常なセックスに堕している男女主人公、男の元SMパートナーがストーキング、駐車場に止めたアナのアウディは白ペンキで派手にいたずら書きされていた、アナのアパートを部下に偵察させる男、結局車で高級ホテルに走り(途上台無しになったアウディの代わりに男は惜しげもなくコンバーティブル新車をプレゼント)、濃密なひとときを分かち合う。シアトルのマリーナのヨットにも誘われ、豪奢なキャビンのダブルベッドで交わる。ヨットの描写も、きっと乗ったことがあるのだろう、詳しい。ヘリコプター、グライダー、ヨットとくれば、女性読者の憧れをそそる。

ヨットの名前は、養母のグレース、ここにいたって、女主人公は、男と養母のアンビバレンツな関係に改めて思い至る。ぼくを救ってくれた女(ひと)とのたまう男、いよいよ養母との関係は私がにらんだとおり、臭くなってきた。伏線、である。
SMを仕込んだのは養母、という私の推測が当たっているかどうかは、さらに読み込まないとわからないが。

いずれにしろ、明かされるのは三部でだと思うが。

五十の陰影、五十の秘密を持つグレイの素顔が次第に明らかになっていく。

アナは、肌に触れられることを極端に厭うグレイが初めてぎりぎり境界線までタッチさせた二人目の女性だった。一人目は美容院経営のブロンド美人マダム、アナが勝手に彼女こそが16歳の少年の性的虐待者と思い込んでいる女性で、仮面舞踏会時嫉妬もあらわにアナに警告してきた、アナいわくところのミセス・ロビンソン(映画卒業で男子学生を誘惑した夫人)だ。

一緒にシャワーを浴びながら、男が最初にアナを洗い、アナも請われるままリップスティックで囲った境界線をシャボンでなぞりながら洗っていく。神がかり的な美形、彫刻のような美しい肉体を唯一穢すのは、境界線内の幼児期受けた煙草のもみ消し跡、虐待の痕跡、アナは胸がつまり、愛おしい痕跡にひとつひとつキスしたくなる誘惑をかろうじてこらえる。

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性具挿入のまま仮面舞踏会へ(マミーポルノ二部3)

2015-04-30 17:07:46 | カルチャー(祭)・アート・本
カルカッタ行きで中断していた、世界で一億部突破の「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」(翻訳版はこちら)の第二部「フィフティ・シェイズ・ダーカー」(翻訳版はこちら)を第六章まで読了。

三分の一弱読んだことになるが、六章は男性主人公グレイの母主宰のチャリティの仮面舞踏会が催され、グレイの導きで恋人のアナも招待されるのである。

男のプレゼントであるグレーのイヴニングドレスに着飾ったアナはこれまた男のたっての要望で膣にひも付き小ボールを挿入したまま、銀の線状細工の模様がちりばめられ、頂点にコバルトブルーの羽のついた美しい仮面をつけて、会場へと向かう。いざなう礼装の男も黒い仮面をまとってエロチックだった。足を動かすたびにアナの子宮の中の性具が微妙な刺激を伝え、苦楽の判別しがたい疼きともつかぬ感覚を覚えていた。

ここまで来て、二部の表紙カバーのマスクの意味が判明、女主人公アナのつけた仮面だったのである。



華やかな舞踏会場で、アナはグレイの妹、両親らの家族に、美しい晴れ着を褒められ、グレイがチャリティで提供したコロラド・アスペンの彼所有のホテルの週末泊分を競りで24000ドルで落とす。
先に封筒に入った白紙の小切手を参列者全員に手渡され、アナもグレイに借りて200ドル書き入れたつもりだったが、ピンクシャンパンや各種ワインを四杯飲んだせいの酔っ払った挙句の気が大きくなっての間違いだったかといぶかしむ。

仮面舞踏会のシーンは、ロマンチックで華やか、豪勢な料理メニューとともに、ゴージャスなホテルやグライダー体験、グッチの財布ほかブランド品、ジェーン・オースティンの「高慢と偏見」初版本など提供のチャリティリストが、興味をそそる。
自然描写は短文ながら美しく、先のグライダー試乗時の朝焼け、今、シアトルでの淡いオレンジのサンセット、湾にオパール色の空が反映して輝く場面など美しい。

恋愛小説で生きる自然描写はやはり朝日か夕日、私もよくサンセットを背景に使う。黄昏ていく空の移り変わり、壮麗な自然に、愛し合う男女の取り合わせは女性読者のロマンをそそらずにはおかない。

性描写が過剰なので食傷する部分もあるが、読者を飽きさせないサービス、参列者の顔が隠されたミステリアスな雰囲気の仮面舞踏会に転じたシーンは気が利いている。
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感謝のマジック

2015-04-27 12:55:40 | カルチャー(祭)・アート・本
一昨夜から、カルカッタで買った「ザ・マジック」(ロンダ・バーン)を読み出した。

ハウツーものの英語は平易と相場が決まっているが、小説と違って辞書が不要、254ページの半分まで来た。

しかし、どうも前に読んだみたいな記憶があるのである。

まあ、忘れているから二度読んでもいいわけだが、もしかして本棚の奥に埋もれているのかもしれない。

それとも、「引き寄せの法則」(ザ・シークレット)との重複箇所があって、そう感じるだけか。

レジメは要するに、感謝すれば人生はうまくいく、ということ。
それも、並みの感謝でなく、DNAに染み込むまでに徹底的に感謝するということ、それで仕事、人間関係、健康、経済面、すべてがよくなる、豊かな人生を送れるという、古来の宇宙の法則を28日間の実践で、テクニック披露していく展開。

早速、ひざの怪我について、これまで健脚でよくがんばってくれたひざに感謝し、ありがとう、よく歩いてくれたね、早く前のようによくなってねと、祈りのささやきをかけたら、少し効いたようで、今日はひざが楽である。

毎日これを続ければ、治りが早いとのことで、実際のリハビリとともに、この暗示法もトライしたい。

事故以降、私はいろんなことに感謝モードになっていて、そのせいか、足は不自由でもいいことが重なっている。
ありがたいなあと、しみじみ噛み締めることの多い昨今、昨夜は、昨冬24年ぶりに再会した宿の常連さんからお見舞いメールが届いており、感激した。

彼は実は完治しない持病のある人で、お加減がよくない中、私の怪我まで気遣ってくださったのだ。以前お送り申し上げた象の神様、ガネーシャ神の写真に一刻も早くよくなるようにと毎日お祈りしているとあって、まことありがたくて涙が出るほどうれしかった。

お見舞いメールもこれまで何通か戴いているのだが、まだひざが本調子でなく、ほぼ全快した時点でお礼の返事をと思っているため、何人かのメル友には不義理をしているが、とりあえず、体調がよくない中あえて私の怪我を気遣ってくださったこの元常連さんには、すぐお返事差し上げた。

昨日起こったことではベストの出来事で、感謝の石を握りながら、サンキューを三回繰り返した(上記「ザ・マジック」中のメソッド)。感謝の石とは、どんな石でもよく(私のはリシケシのガンジス源流で拾った)、握りやすい大きさで、これを握って就寝前、その日一番よかったことを思い浮かべ、ありがとうと感謝するのである。

「ザ・マジック」、あらゆる方面で人生を豊かによりよくしたい方は読んでみてください!

254ページの読みやすい精神世界書。
28日このテクニックを実践すれば、あなたの人生は変わる!


著者のロンダは金髪の美しい女性、以下は前文
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アイスクリーム性戯と虐待トラウマ(マミーポルノ二部2)

2015-04-20 12:51:33 | カルチャー(祭)・アート・本
世界で一億部突破の「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」(翻訳版はこちら)の第二部「フィフティ・シェイズ・ダーカー」(翻訳版はこちら)の五章まで読了。

読み出すとやはりはまる感じ。アディクト(中毒)する読者の気持ちもわかる。

アイスクリームを前戯の小道具に使うシーンは扇情的、話題の生理中の性交より私には刺激的だった(両手はベッドのポストにサッシュでくくりつけられている)。
ナインハーフではアイスだったが、こちらはデザートのアイスクリームを女の裸体にスプーンですくって落としては男が嘗める設定、股間にまで冷たいクリームを落とされしゃぶられるわけで、その後の交わりはアイスクリームの痕跡が残ったねっとりしたものとなる。正常なセックスのことを男はヴァニラセックスとのたもうているわけだが、そのヴァニラの甘い香りのする粘ついた性交になる(ちなみに、ハニーなどもよく小道具としては使われるね)。

男が過去、SM関係を結んだ女性が二人登場し、一人は幽霊のような薄気味悪い女で、ストーキングして女主人公を驚かせる。もう一人は美容院経営者の三十代後半のブロンド美人。アナは、男が昔の女の美容院に自分を導いた無神経さに怒りまくる。

アナは、グレイの求めるサブミッシヴ、性的奴隷にはなれず、常に反抗的、男にチャレンジし敢然とはむかうし、男が金力に物を言わせて、高価なものをプレゼントするのもよしとしない。

つまり、男の地位や名声など問題でなく、愛しているのは男本人、ということだ(この気持ちは私にもよくわかる。私も昔、そういうハイクラスの男に激恋したことがあるが、結局、そんなことなどどうでもよかった)。

しかし、男はアナが受かった出版社を買取り、アナにちょっかいかけてきた上司の解雇までほのめかす。望まない干渉はさらにアナを激怒させる。

二部に入って、男の過去、虐待のトラウマがさらに露わになってくるが、読者としては少しヘビー、過剰なセックスシーンと男の重い過去で胃もたれする。

グレイはアナに、タッチされたくない肉体の部分を、赤いリップスティックでマークさせるわけだが、アナは胸の白っぽい煙草を押し付けた跡とか、背中にも同様の痕跡を九箇所も見つけて、いたいけな子供が受けたむごい虐待を目の当たりにして胸が詰まるのである。

いやあ、予想以上に男の過去は壮絶だ。
私なら、こんなやっかいな男とは恋愛したくないなあ。
いくら超リッチでハンサムでも、重すぎる。

出だしは一部より面白く、夜中の二時半までのめり込んだ。
もう四分の一読了である。

最後に、今後の筋書き展開予想、あくまで私の想像だが、グレイがSM関係の手ほどきを受けた既婚婦人とは、養母の友達などでなく、養母そのものではなかろうか。アナはこの女性に対して性的虐待者と反感を持っているが、男はそれは違う、彼女のおかげで自分は出自のトラウマを救われたと答えるのである。
つまり、私の推測はこうだ。自殺した実母のヒモに虐待されていた幼児は、グレイ家に引き取られ、養母とのSM関係によってこのトラウマをぬぐわれる、こういう変則的な愛情でしか、重い過去をなだめることはできなかったということである。

私の想像が当たっているかは、今後の展開を追わなければわからないが、もしどんぴしゃだったら、拍手ご喝采を!



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ベルトの鞭打ち罰刑と別れ(マミーポルノ10)

2015-04-18 14:43:31 | カルチャー(祭)・アート・本
世界で一億部突破の大ベストセラー、「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」(翻訳版はこちら)を昨夜読了した。

母の郷里のジョージア州でグレイの逗留する高級ホテルのスイートで早朝起こされたアナは、男の手ほどきで初のグライダー試乗体験をする。スリリングな冒険を堪能した後日、シアトルに戻って週末の夜、グレイのSMプレールームに足を踏み入れる。手錠と足かせをはめられた状態で軽い鞭打ちのセックスでオルガスムスに達するが、男はもっとハードなプレーを求めているようであった。
アナは男が言う罰刑にどこまで耐えられるか、果敢にもチャレンジしてみる気になった。そして、思いがけずベルトを振り下ろされるというあまりに痛すぎる鞭の洗礼を受け、男に強要されるままベルトが振り下ろされる回数を大声で叫びながら、六回目の最後には涙が噴き出してきていた。

尻は赤く腫れ上がっていた。アナは自分がいかに愚かだったかに気づき、グレイは自分の求める愛の形を与えてくれないと悟り、男のもとを去る決心をする。このベルトの鞭打ちという極刑にはとうてい耐えられそうもなかった。結局、男との関係はファックでしかなく、メイクラブではなかったと、唇を噛み締める。
グレイはアナを手離したくない、別れたくないと引き止めるが、アナの決意は変わらず、結局女の意思を尊重するしかなかった。

男のお抱え付き運転手、いつも隙のない着こなしの物静かな紳士、テイラーがアウディで送ってくれた。後部座席で涙を振り絞るアナに、テイラーは無言でそっと白いハンカチを差し出す。


というわけで、一部のラストは訣別で終わるのである。
が、二部に続くので、復活は目に見えており、まだまだクロゼットからスケルトン(骸骨)が現れそうな(skeleton from closet、英語の慣用句で秘密が漏れることを言う)グレイの過去、フィフティシェイズが少しずつ暴かれていきそうだ。

以下に、カルカッタの路頭書店で300ルピーに値切って買った二部「フィフティ・シェイズ・ダーカー」のカバー写真を掲げておく。

仮装パーティーの仮面が洒落ているカバー。
一部同様分厚く、532ページ、22章立て。
しかし、英語が平易なので長いとは感じない

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話題沸騰の生理中の性交(マミーポルノ9)

2015-04-17 14:47:54 | カルチャー(祭)・アート・本
世界で一億部突破の大ベストセラー(ハリーポッターシリーズの次点)、「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」(翻訳版はこちら)もいよいよ、あと18ページ余すのみとなった。
カルカッタに出たため、少しご無沙汰していたが、昨夜から読書再開、やっぱり読み出すとはまる感じだ。

読者間で話題騒然の、バスルームにおける生理中の性交シーンが出てくるが、前評判ほどすごい描写とは思わなかった。
再々婚した母の住んでいるジョージア州に久々に母を訪ねたアナは、恋人が出来たことを告白、高級ホテルのバーに女二人の会話をするため母に誘われる。カクテルでほろ酔い加減になっているアナは、なんとてっきりシアトルにいると思い込んでいた男が、同じバーにいるのを目撃して驚喜する。母はひと目で富裕で美男のグレイに魅了され、気をきかして娘を残し立ち去る。

上階のスイートに導かれたアナに、グレイは生理中であることを見抜き、バスルームへと誘う。そして、バスタブでの泡にまみれた前戯のあと、タンポンの紐を抜いて交わる。


話題のシーンらしいが、月経中の性交はよくあることで、別にどってことない。
同じ生理中の性交なら、たとえばシーツが血だらけになるとかのほうがずっと面白かった。
まあ、高級ホテルのスイートのシーツを真っ赤にすることもできないだろうけど。

作家のE.Lジェイムズは英国在住だが、作品の舞台はアメリカ、元々素人の主婦が、「トワイライト」(ステファニー・メイヤー著のティーン向け小説シリーズ。原書は全4巻だが小原亜美訳、ゴツボ×リュウジ絵の翻訳版は全13巻で、ヴィレッジブックス刊行。ハリウッドのヒット映画シリーズ「トワイライト・サーガ」でも有名、日本語吹き替え版の動画はこちら)に触発され書いた二次創作なので、踏襲しての米が舞台、本作では美貌の吸血鬼少年が美しいSM青年実業家にとって代えられているわけだ。

それにしても、さすがにアメリカは広い。
シアトルと、ジョージアでは時差があるんだね。
作中、恋人同士が取り交わすメールが、気が利いていて、大学を卒業したばかりのアナのウイットとユーモアに溢れた、メールのタイトルと内容、それに対する男の機転のきいた返答、男女の駆け引きが面白く、グレイについてアナが検索エンジンでサーチするくだりも面白い。

私も、メール交換によるヴァーチャルラブストーリーを二編書いたばかりなので、この辺は今の読者に受けるだろう。

終盤に近づいて思うのは、性描写もSMが少し混じっているがほとんど正常、いわゆるハードコアポルノでなく、ソフトポルノということで、どちらかというとロマンス、恋愛の要素が勝って盛り込まれている。ハーレクインロマンスの少し刺激的な版といわれる由縁だろう。
あと、ゴージャスなスイートでのセックスや、ヘリコプターデート、グライダーの試乗など、女性のロマンをそそるファンタジックな冒険に満ちており、女性読者の憧憬をかきたてるというのが効果的だ。

個人的には、「ナイン・アンド・ア・ハーフ・ウイークス」(翻訳版はこちら)の臨場的なSMのインパクトにははるかに及ばないと思う。ドキュメント小説としての面白さは、自己体験を創作化したこちらのほうがずっと勝る。
文学的価値も、ナインハーフ1986年公開の映画の動画はこちら)のほうが高い。ファンタジーでなく、自らが衝撃体験したインパクトでリアリティにあふれている。いわゆる甘さはないが、読者はそのすごさに打たれる。

まあ、タイムパスには悪くないし、読み出すと結構はまるし、なんといっても英語が平易なのでさくさく読める。英語が非母語圏の人々にも広く受け入れられた要因だ。英語の勉強にはもってこい。
難解な小説だと原文で読むのは骨が折れるけど、この程度だと、肩肘張らずに読めるし、性描写もそそるので、ページを繰る手が止まらなくなるだろう。

次の批評でいよいよ総まとめのラストになるが、実は二部を先般カルカッタに出たとき買い求めたので、また続編の書評もおいおい試みたい。


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