世界で一億部突破の「フィフティ・シェイズ・オヴ・グレイ」(早川書房刊行リビエラ文庫・上中下三巻の翻訳本はこちら)を二十章まで読み終わった。
余すところ六章、終わりに近づいてきたが、18連打のSM本番に追い討ち駆けるように、乗馬鞭を乳首に軽くしならせての前戯では、思ったより痛くなく、アナは絶頂に達する。
その後、グレイに養親も紹介され、気に入られる。ディナーのテーブルの下で、アナは、腿に手を差し入れる男を拒否、罰としてボートハウスで男の満足だけを追求した手早い性行為を授けられる。
後日黒い糸つきの小さなボールの性具を挿入させられ尻をはたかれながらの前戯、アナはボールを抜き出された後の性行為で、オルガスムスを覚えていた。男がなぜさわりたがるのをいとうのか、秘密を知りたがっていたアナは事後、彼の実母が売春婦で四歳のときに死去したと洩らされる。
18章から20章までの三章分は扇情的な性描写が多く、この辺はポルノグラフィーだなと思う。しかし、キスの描写がうまい。さすが西洋人ならではの巧妙なテクニック描写、日本の作家には書けないところだ。性行為も、著者本人が結婚前性経験豊富だったのか、あるいはポルノをたくさん読んだのか、もしくは夫との性行為がすごいゆえか、よくわからないけど、微に入り細に穿っての手慣れた描写。
ただポルノといっても、ヒロインの心情は恋愛小説の乗り、正常な性関係を持ちたがっている乙女がたまたま、ヴァージン喪失した相手が、外見だけ取ると白馬の王子様なのに、実は黒馬の王子だった衝撃的な現実にいやおうなく突き当たって葛藤、なぜそうなったかと男の過去を探ろうとするのだが、それも恋する乙女ゆえの恋人を理解したいとのけなげな心情である。
だから、全世界の女性にもてはやされたのだろう。
それに、性描写が刺激的となれば、スリリングで繰る手が止まらない。
実は一番最後の章だけ早々と盗み読みしてしまったのだが、SM行為はエスカレートして、ヒロインは心身ともに痛い思いをするのである。で、訣別となるわけだが、第二・三部と続くから、復活することは目に見えている。ただし、最終局面でどうなるのかは、私にもわからない。
反復表現が多いところは、語彙の貧しさを感じるが、英語が非母国語圏ではかえって難解な表現がなくて、読みやすいといえるだろう。
文学的価値は疑問だが、時折気のきいた描写もある。
グレイが光と影の交叉するライト下、心理描写に重ね合わせて、男の複雑な性格、明暗の気性を暗示させるところなど、うまい。フィフティ・シェイズ、五十の陰影を持つ男、というわけだ。グレイという名と、グレーの衣装を好んで着用するファッション、黒と白の中間のグレー、つまり、黒白はっきりせずにオブスキュア、明暗の境がおぼろげなミステリアスな男、という人物設定が生きている。
*今夜の寝台列車でカルカッタに発ちます。明朝八時到着。帰宅は8日の午後。この間、ブログが途絶えることがありましたら、ご容赦ください。戻り次第、六年ぶりのカルカッタレポートを写真とともに、お伝えしますので、お楽しみに!
余すところ六章、終わりに近づいてきたが、18連打のSM本番に追い討ち駆けるように、乗馬鞭を乳首に軽くしならせての前戯では、思ったより痛くなく、アナは絶頂に達する。
その後、グレイに養親も紹介され、気に入られる。ディナーのテーブルの下で、アナは、腿に手を差し入れる男を拒否、罰としてボートハウスで男の満足だけを追求した手早い性行為を授けられる。
後日黒い糸つきの小さなボールの性具を挿入させられ尻をはたかれながらの前戯、アナはボールを抜き出された後の性行為で、オルガスムスを覚えていた。男がなぜさわりたがるのをいとうのか、秘密を知りたがっていたアナは事後、彼の実母が売春婦で四歳のときに死去したと洩らされる。
18章から20章までの三章分は扇情的な性描写が多く、この辺はポルノグラフィーだなと思う。しかし、キスの描写がうまい。さすが西洋人ならではの巧妙なテクニック描写、日本の作家には書けないところだ。性行為も、著者本人が結婚前性経験豊富だったのか、あるいはポルノをたくさん読んだのか、もしくは夫との性行為がすごいゆえか、よくわからないけど、微に入り細に穿っての手慣れた描写。
ただポルノといっても、ヒロインの心情は恋愛小説の乗り、正常な性関係を持ちたがっている乙女がたまたま、ヴァージン喪失した相手が、外見だけ取ると白馬の王子様なのに、実は黒馬の王子だった衝撃的な現実にいやおうなく突き当たって葛藤、なぜそうなったかと男の過去を探ろうとするのだが、それも恋する乙女ゆえの恋人を理解したいとのけなげな心情である。
だから、全世界の女性にもてはやされたのだろう。
それに、性描写が刺激的となれば、スリリングで繰る手が止まらない。
実は一番最後の章だけ早々と盗み読みしてしまったのだが、SM行為はエスカレートして、ヒロインは心身ともに痛い思いをするのである。で、訣別となるわけだが、第二・三部と続くから、復活することは目に見えている。ただし、最終局面でどうなるのかは、私にもわからない。
反復表現が多いところは、語彙の貧しさを感じるが、英語が非母国語圏ではかえって難解な表現がなくて、読みやすいといえるだろう。
文学的価値は疑問だが、時折気のきいた描写もある。
グレイが光と影の交叉するライト下、心理描写に重ね合わせて、男の複雑な性格、明暗の気性を暗示させるところなど、うまい。フィフティ・シェイズ、五十の陰影を持つ男、というわけだ。グレイという名と、グレーの衣装を好んで着用するファッション、黒と白の中間のグレー、つまり、黒白はっきりせずにオブスキュア、明暗の境がおぼろげなミステリアスな男、という人物設定が生きている。
*今夜の寝台列車でカルカッタに発ちます。明朝八時到着。帰宅は8日の午後。この間、ブログが途絶えることがありましたら、ご容赦ください。戻り次第、六年ぶりのカルカッタレポートを写真とともに、お伝えしますので、お楽しみに!