ローベルト・ヴァルザー作品集(鳥影社・長野県諏訪市)第1巻・タンナー兄弟姉妹が刊行された!今まで、散文小品が2冊程とヤーコブ・フォン・グンテンが翻訳されている。今回、全集が発刊されるとは待ちに待った私にとって奇跡という他ない。
様々な作家に影響を与えたローベルト・ヴァルザー、特にカフカに影響を与えたことは余りにも有名だ。ローベルト・ヴァルザ―は、物書きの間に現代におけるフリーターのように様々な仕事を経験している。その経験したことが小説の題材にもなっている。今回発刊された「タンナー兄弟姉妹」然り、召使いとして働いていた体験を題材にした「ヤーコブ・フォン・グンテン」など。「ヤーコブ・フォン・グンテン」は、ブラザーズクエイ監督「ベンヤメンタ学院」として映画化されている。
晩年、スイスの精神療養施設にて27年間過ごし散歩の途上にて死去している。 metro
今後2年間の間に発刊される作品
第二巻・助手 第三巻・ヤーコブ・フォン・グンテン
第四巻・ベルリン時代およびビール時代の散文小品「散歩」「詩人の生」ほか60編
第五巻・ベルン時代の散文小品・微小文字の遺稿「盗賊」も収録されている
あとがきからの引用
彼は耳元まで幸せいっぱいになって、ありとあらゆる場所を歩きまわっているのではないでしょうか。そしてつまるところ彼から生まれ出るものといえば、読者の満足よりほかないのではないでしょうか。これは本当に出世には縁のない歩みです。でも世界に光をもたらしてくれるのは、出世には無縁の歩みなのです・・・
フランツ・カフカ
ブラザーズクエイ監督「ベンヤメンタ学院」より1シーン