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夢と覚醒の隙間のギャラリー

ローベルト・ヴァルザー(Robert Otto Walser)作品集刊行

2010-08-31 04:37:05 | 小説

 ローベルト・ヴァルザー作品集(鳥影社・長野県諏訪市)第1巻・タンナー兄弟姉妹が刊行された!今まで、散文小品が2冊程とヤーコブ・フォン・グンテンが翻訳されている。今回、全集が発刊されるとは待ちに待った私にとって奇跡という他ない。
 様々な作家に影響を与えたローベルト・ヴァルザー、特にカフカに影響を与えたことは余りにも有名だ。ローベルト・ヴァルザ―は、物書きの間に現代におけるフリーターのように様々な仕事を経験している。その経験したことが小説の題材にもなっている。今回発刊された「タンナー兄弟姉妹」然り、召使いとして働いていた体験を題材にした「ヤーコブ・フォン・グンテン」など。「ヤーコブ・フォン・グンテン」は、ブラザーズクエイ監督「ベンヤメンタ学院」として映画化されている。
 晩年、スイスの精神療養施設にて27年間過ごし散歩の途上にて死去している。   metro


今後2年間の間に発刊される作品
第二巻・助手   第三巻・ヤーコブ・フォン・グンテン
第四巻・ベルリン時代およびビール時代の散文小品「散歩」「詩人の生」ほか60編
第五巻・ベルン時代の散文小品・微小文字の遺稿「盗賊」も収録されている

あとがきからの引用
彼は耳元まで幸せいっぱいになって、ありとあらゆる場所を歩きまわっているのではないでしょうか。そしてつまるところ彼から生まれ出るものといえば、読者の満足よりほかないのではないでしょうか。これは本当に出世には縁のない歩みです。でも世界に光をもたらしてくれるのは、出世には無縁の歩みなのです・・・
                              フランツ・カフカ


 ブラザーズクエイ監督「ベンヤメンタ学院」より1シーン


お気持ちとは何だろう?お寺・宗教法人の集金システム

2010-08-25 18:30:22 | 些細な日常
  父の49日/新盆が終わり、ほっと一息ついたところで母が死んだ。喪主として、父の葬儀の時は分からない事ばかりで葬儀屋さんや親戚の方にノウハウを聞き、慌ただしく葬儀を終えた。そして、母も父と同様に葬儀をしたい思いもあり同じ葬儀屋さんに頼んだ。しかし、2カ月余りの間に2度の葬儀、出費のことを考えなければこれからの生活に支障をきたす。削れるところは削って行かなければならない。
そこで、〝お布施はお気持ち”と譲らない住職に相談した。ただでというわけでははない。前回の70パーセント程の金額を提示した。しかし、帰って来る答えは葬儀はやめなさいとか、世の中はお金ではないとか、延々と説教を聞かされ、最後にはあなたにはお気持ちがないから、私は拝みに行かないとまで言われた。大学卒業まで育ててくれた親に対して気持ちがない子がいるだろうか?その住職は昔、キャバレーの女の子に狂っていたことを知っているだけにく悔しくて眠ることもできなかった。だが、通夜の前日「私が間違っていました。明日は宜しくお願い申し上げます」と頭を下げ葬儀が無事終了した。
 住職の説教の一部だけ抜粋する 「一億円を一億一千万円にすることは難しく大変だ。しかし、0円から百万円にすることは簡単だ。また、0円であれば後は増やすだけだ」と住職が言う。私は、後者の方が難しいし、マイナスになる可能性の方が高いと反論した。仕事、仕事と言わずもっとのんびりして生きがいを見つけなさいと言いつつ、稼いでお寺に寄付しなさいとも言う。私だって金銭的な余裕が有れば、のんびりと好きな事をして、たまには世界中を旅して歩きたい。しかし、15年間、一泊旅行さえままならないのが現状だ。こう言った話はそこのお寺にたまたまお墓があるということで全国の至るところで永遠に続いていくことかと思う。
 最後に、哀しみと怒りと混在した心の葛藤を抱きながらの葬儀になってしまったことを亡き母に謝りたい気持ちで一杯だ。また、半世紀余り働き続け、8年間、病と闘い続けた母には、49日を待たず愛し続けた父のもとにいってほしい。   metro