メン・ピン・タンゴ ツモっ!

南米のパリ、アルゼンチンはブエノス・アイレスで起こる
お洒落(?)な出来事を毒談と偏見で綴るブログ

タンゴ・モデルノ  マニアック・タンゴ用語辞典  

2009年04月28日 03時27分05秒 | マニアック タンゴ辞典
だいぶ前に書きかけてほったらかしだったので取り上げておこう。





「モデルノ」というのは「モダンな」という意味である。

つまり「今風の」ということ。 

古くない踊り方、今の人のセンスに合う踊り方を指している。







ブエノスの流行はブエノスに住んで踊っている人たちがタンゴ・シーンを見ながら「今風」かそうじゃないかを判断するわけだから時代とともに変わっていくもの。




いつの時代も流行があって踊り方は変わっていく。

もちろん「トラディショナル」だって変わっていく。
(じぃさん達と若いサロンダンサーの踊り方が違うのは流行が違うからだ。
踊っていた年代や通っていたミロンガによって踊り方が違うともいえる)



国や地区によっても流行ってるものは違うはずなので、ホントにまったく定義のない言葉だな。





だいたい、ミロンゲーロのじぃさん、ばぁさんから見れば現在のトラディショナル(伝統的)ショーダンスは無茶苦茶「ヌエボ(新しい)」「モデルノ(近代的)」だし、

1941年までのリズム全盛期に踊ってた人からすれば42年以降に流行したメロディー系の「タンゴ・サロン」だって「ヌエボ」「モデルノ」だろう。




あとは若い人の間でも状況によって使い方が違ったりもする。


「ヌエボ」という言葉自体が「変わった技」や「派手なコルガーダやボルカーダなどの技」&「それを多様した踊り」を示すようになってきたのでそれと区別するために使う場合もあるし、


「ヌエボ」という言葉が独り歩きを始めてしまい、

「ヌエボは身体の使い方が違う」「トラディショナルは上品、ヌエボは下品」

ずっとクローズでヌエボなことを一切しなくても柔らかい身体の使い方をしただけで
「あれはヌエボだ」

などという人が出始めたので、そういう先入観を持たせないように使っている人もいる。





注) 今はもう「ヌエボ」な技を使っているからと言って新しいわけでも流行に沿っているわけでもないのだ。










つまりこのブログで使っている「モデルノ」は、現在ブエノスで若者達が集まるミロンガやプラクティカに通っているオレや一緒に踊っているダンサー達が感じてる「今風」ってことだな。










じゃぁ、何が 「今風」なのか?










それは身体の使い方であったり、リード方法であったり、洒落た音の取り方であったり、もちろんステップであったりもする。







現在流行っているのは、お互いの身体に(精神的にも)負担のかからない身体の使い方、リードシステム、より「ナチュラル(オーガニック?)」な踊り方である。





これは昔からミロンゲーロ・スタイルだろうとタンゴ・サロンだろうとリード&フォローの上手い人はみんな同じ。


分野を問わず、ダンサーによっては「察知式、合図式」「手リード、パワーリードなどで踊る人がいる。
こういうリードシステムは「今風」ではない。

これはもちろん技術力の問題も大いにある。
理解していても出来るかどうかは別だし、理解度のレベルもある。






ミュージカリティーも今やフレーズ、楽器の音、その流れや勢いを取って踊るのは当たり前。
観客を盛り上げようと音楽を無視して勝手に盛り上がったりするのは
「今風」ではない。






男性、女性どちらのアドルノも相手や音楽をほったらかして自分だけが目立つようなようなこと
       ...  は時代に合わなくなった。

どちらも相手との駆け引きや調和、音楽 を楽しんで使っている。










あとやはり使う技、ステップにも流行り廃りがある。

10年、20年前に流行っていたようなことは現在はショーダンスでさえあまり使われない。


3、4年前まで流行っていたチチョやナベイラのようなあまりに派手なコルガーダ、ボルカーダ、アトラパーダなど、ヌエボヌエボな技もミロンガやプラクティカではもう見なくなった。

(こういう大技は時間や場所を取るので踊り場での即興ではかなりの技術力がないとカッコよく見えない、音楽に合わせて使いにくい、という理由もある)
今の時代は人に見せるための派手な技より、踊り自体を楽しむ ミュージカリティ」が優先 なのだ。


ヌエボ技でも4ta.サカーダのように使いやすい技はウルキサなどのサロン系の人たちの間でも流行っている。



もちろん昔から使っていて今でも古さを感じさせないで使えるようなステップも多くあるし、古い技を「今風」にアレンジして使うことだってある。









出来るかどうかは技術的な問題もあるので別として、どんなスタイルだろうがヌエボ技を使おうが使うまいが、

  時代の感性に合ってるかどうか?


という問題である。







つまりそういう分類があるわけでも、決まった踊り方、技などがあるわけでもない。






日本語で「モデルノ」という言葉を使い始めたのはオレなので、このブログを読んだ人が解釈を間違えて広まっているんだと思う。



たしかにヌエボな技や身体の使い方だけを見て

「トラディショナル」ではない = 「ヌエボ」 = 「モデルノ」 と取らえられやすいが、

前記したように 「ヌエボ」 という言葉はかなり強い固定イメージを持ち始めているのでそれとは区別したい、という考えである。











ま、ようするに 「今風」 ってことだ。



すぐにその時代の流行の良い部分は「トラディショナル」に取り込まれて新しい流行が出てくる。



流行り廃りをくりかえしタンゴは進化していく。 











ウルキサ・スタイルの本拠地、「スンデルランド」でタンゴを学び、
そのスンデルランドでクラスもやっていたブルーノ&マリアンヘレス



ウルキサ特有のシャープな動きではなく、一つ一つの動きが柔らかく、音に合わせて硬くなったり軽くなったりもする。
そして4ta.サカーダや小さいコルガーダなど軽いヌエボ技とサロン系の技を上手く組み合わせている。
ガンチョを3発入れて2歩で着地するところなどすごくシャレた音の取り方は大拍手もの。
最後のバリエーションの部分もショーダンサーのよくやるヤツだが動きが軽く、しつこくもないので古く感じさせない。


オレ的表現だと彼らの踊り方は

「モデルノ系(今風の)トラディショナル」 「モデルノ系(今風の)サロン」 などとなる。








クルバ!  アルセ & モンテス

2009年04月20日 02時51分40秒 | マニアック タンゴ辞典
もう大分前になるが、3月の頭にセバスチャン・アルセ&マリアナ・モンテスのクラスがあった。



去年の終わり頃からユーチューブ でチェックしてて2人ともすごく上手くなってて、ちょうどオレの中で旬だったのでナイスタイミング!


ブエノスでオープン(一般開放)のクラスをやるのは8年ぶりらしい。
もちろんオレは取ったことなかったのでめっちゃ嬉しかった。






でも場所が狭い上に床が悪く、メチャクチャ暑い上に当然のことながらスゴイ人だった ので最初の数回を逃してしまった。

クラスがあったのは月曜から土曜の6日間X2時間X2回。



ようやく行けるタイミングを掴んで行き始めたのが木曜日。
でもちょうどその日から腹痛になってフラフラしながらクラスを取った。




オールレベルとは言ってたがやってることは完全に上級者向けのクラスだった。
かなりムズかった。。。
しかし説明がすごく上手くてシークエンスが出来なくても聞いてるだけでもすごく勉強になる。

全部取りたかったな。。。








内容はすべてサロン系でヌエボなことやガンチョなど派手なことはいっさいなし。

テーマは 「クルバ」 (カーブ)。


直線状でやれば対して難しくない(難しいのもあった)シークエンスを曲線上でやる。








考え方としては、


すべての「曲線」は、「円」の一部。



円を描くためにはその中心点が必要。  「回転軸」

と回転する物体。     この場合「男性「女性 もしくは「2人
 
&回転方向。       「時計回り」もしくは「反時計回り」

2人とも回転するならその「位置関係」。        

あとは進行方向。    「前」「横」「後ろ」 




となる。

現在描いている曲線の動きが上記各項目のそれぞれがどれにあたるのか考えながら動く。








この円運動(曲線運動) は、なめらかに踊るための基礎になる。

直線の組み合わせだとカクカク になるでしょ。





どれだけ精密にそのときどきの回転軸にそって円を描けるか、
がリード&フォローの正確さともいえる。






簡単な例を上げれば、


普通に正面に組んでサロン(丸いサロンだとして)を反時計回りに男性が前進、女性が後進していれば回転軸はサロンの中心。
(大体のサロンは四角いので長いストレートの部分もある。コーナーの部分が円運動で向きを変えることになる)


「男性軸のヒーロ」は男性を中心(回転軸)に女性が前、横、後ろと向きを変えながら回転している。


etc...




この「クルバ」をひたすら6日間X4時間やったらしい。


ちょうどオレがクラスを取り始めた木曜日はマリアナの誕生日 だったらしく。
この日だけ最後にマリアナの好きなミロンガのステップ をやった。








というわけで「2XTANGO」の人も解説に「2匹のモンスター」と書いてるように、間違いなくタンゴの歴史に大きく名を残すこの 「超大物」 2人の踊りを今回は、


「クルバ」

を中心にビデオを良く見てもらいたい。 

すべての小さな曲線に対して上記の項目それぞれがどれ(どこ)になるのか、ということ。






セバスチャン・アルセ & マリアナ・モンテス







ちなみに比較対象はこちら。


ハビエル・ロドリゲス & アンドレア・ミッセ




この二組の踊りはすごく似てる。

やっぱり「クルバ!」







おまけの参照ビデオ。


アルセ&モンテス ワルツ




お気に入り振り付け

アルセ&モンテス ミロンガ





「クルバ、クルバ!」  





アブラッソの種類

2009年03月11日 10時28分04秒 | マニアック タンゴ辞典
今回の研究テーマは 「アブラッソ」

これも前から取り上げようとしてなかなかまとまらないものの1つ。
このブログでも書き方を四苦八苦している。


オレ自身、アブラッソは一番難しい課題のひとつだと思っている。








ちょうど今週のデサフィオ、A&A vs オラシオ&セシーのクラスのテーマが「アブラッソ」だったので今までのオレの研究結果を出してみることにした。







クラスでは、

A&Aはソルターダのような(両手とも放してないのでソルターダではない)女の子に腕の下をくぐらせるヌエボな感じのことをやった。
(カンビオ・デ・アブラッソ)


オラシオたちはミロンゲーロ・スタイルのように真正面に構えるタイプとウルキサのように少し左にずれて構えるタイプのアブラッソの違いをやった。







                    







ここではクローズのアブラッソを大きく3種類に分けて考えてみる。






まず一番分かりやすいのは 真正面タイプ



これはまさにミロンゲーロ・スタイルの特徴でもある。

ほんとに真っ正面で組む。
胸を付けるためにどうしても前傾にならざるを得ない。前傾度は人それぞれ。
顔はベッタリ付いてしまう。たまに顔(頭)リードのオヤジもいる。


セントロの混んでいるミロンガで踊るために開発された組み方でステップは小さくしか動けない。

単純に2人とも真正面を維持するのでコネクションは一番強くなる。
ずっと抱き合ってる感じだ。


前傾の時の形が「人」っていう字になるので金八先生じゃないが支えあってる感じで
一番「土臭い」、本能的?な感じの組み方だなとオレは思う。


真正面型 Maria Eugenia Cuyas y Bernardino Serrano.










次は 少し 左ずれタイプ


一般に一番多いタイプの組み方かと思われる。
サロン系にも変化するウルキサ・スタイルのクローズ時の組み方でもある。


少し左にずれることで腕がフリーになるし、頭の位置もずれてるので楽。
真正面型に比べかなり機能性はしている。


この組み方でも「ミロンゲーロ・スタイル」として教えているダンサーもいる。



直立型と前傾型、ウルキサの一部などでは尻出型(胸出型) がある。

この尻出型(胸出型)は細い人が足元にスペースを作って前傾にならず胸を付けようとするとこうなってくるようだ。




尻出型(胸出型) Javier Rodrigues & Geraldine Rojas











最後がV字型


二人の胸の形がV字になっている。
物理コンタクトは男性の右胸と女性の左胸。反対側の胸は離れている。
背中から2人で円を描くような感じで組む組み方。
2人の間に空間が出来る。

機能性は一番高いが単純にコンタクト部分が少ないので2人の「抱き合ってる感」は少なくなる。


完全直立型と前傾型があるがこのタイプの前傾は他の2つのように「人」型ではなく、「ドーム」型
フェデリコ・ナベイラを見てもらえれば分かり易いが腰までは直立で上半身が少し傾いている。
イメージは2人で円陣を組んでる感じ。なんとなく「はっけよい」な感じだ。



ドーム型 Naveira - Muzzopappa a Cesena 2009











オープン時には種類はない。

離れている状態では2人とも自分で軸を作らないと倒れてしまうからだ。


近い距離での「ちょっとオープン」と肩が外れない距離内の「完全オープン」の2つの状態を考えると踊りやすい。




オラシオは、ずっとクローズのミロンゲーロ・スタイルと比較してウルキサ系のサロンはクローズとオープンを上手くコンビネーションすると説明していたが、アルゼンチンではオープンを使う人はウルキサじゃなくてもコンビネーションして踊っている。

ずっとオープンで踊っている人はほとんど見かけない。
ショーダンサーか身長差のある組み合わせくらいだ。










                  









今回分かりやすく大きく3つに分けたが、左ズレからV字の間の角度は様々だし体型や姿勢によって組みやすい形、組みにくい形はある。


肉厚の人同士なら胸を付けたままV字にもなるし、
クローズで組んでも完全オープンの形になってしまうくらい太い人もいる。


踊りの中ですることによってアブラッソの形を変えることもある。
(サロン系のことをするためには開くしかないのでV字になる)





またミロンゲーロ・スタイルもダンサーによって組み方が違うようにウルキサだからといって左ズレ型とも限らない。
この2つのスタイルでさえ組み方にも決まった定義はないようだ。









組んだ瞬間から「い、タタタタタタッ! と痛い人もいれば、
「めっちゃ、気持ちいぃ~ と思う人もしるし、
こっちの姿勢まで矯正してくれれるほど姿勢のいい人 もいる。


もちろんお互い相手の状態を探りながら一番良いポジションを見つけるが、そのポジションがすぐ見つかる時もあれば何曲踊ってもうまく合わない時もある。



これは男性側も女性側も一緒。相性はあるよね。 



誰とでも気持ちよく組めるアブラッソってあるのだろうか?






1つ言えるのは、

やっぱり「肉」があったほうが相手に安心感や一体感を与えられる。

「プニュっ」としてると気持ちいいよね。



というわけで、もっと「肉」欲しいーっ!
                  




タンゴ・ヌエボ その2 マニアック・タンゴ用語辞典

2009年03月02日 00時54分29秒 | マニアック タンゴ辞典
「タンゴ・ヌエボ」

どうやら 「アストール・ピアソラ」 から使われだした言葉らしい。





ピアソラは天才だった(ちょっと変わってた?)ので、もともとあったタンゴと外国で習ってきたジャズやクラシックなどの音楽をくっつけて曲を作ったわけだ。

つまりタンゴのリズムを取りつつもジャズで良く使うリズムパターン、クラシックで使うようなメロディーなんかを盛り込んだりして曲を作っていった。





ピアソラが出てきた当時は誰もこんな音楽聴いたことなかったわけだから、

「こんなのタンゴじゃねぇ!」 

と、みんなが言ったのもむりはない。普通には踊れないし。






かなり斬新だったもんで、「タンゴ・ヌエボ(新しいタンゴ)」と呼ばれるようになったわけだ。





彼の影響を受けたプグリエセ  も

「こんなのタンゴじゃね~っ!」 

と言われていたようだが、
(明らかにそれまでのダリエンソやディサルリなどのタンゴとは違っていた)

プグリエセのはピアソラほどぶっ飛んでなかったので「タンゴ・ヌエボ」とは呼ばれないでいつの間にか「トラディショナル」になったようである。











ピアソラが認められ始めるのは20数年前、リバローラたちがバレエの要素などを盛り込んで新しいショータンゴの基礎を築いた「タンゴ・アルヘンティーノ」以降の話。

世界的にヒットしたこのショーのお陰でアルゼンチンでもピアソラが「タンゴ」だと認められ、逆に現在のショータンゴではこのピアソラと派手なガンチョやサルトなどのある新しい踊りが定番となった。 





20数年前当時はこういう踊りも

「あんなのタンゴじゃねぇ!」 

と呼ばれたが当時日本を含む多くの国に輸出されたのはこの踊りであった。




そしてたったの20年の間にこのタイプの踊りはショータンゴでは「トラディショナル」と呼ばれるようになっている。









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踊りの中で音楽用語だった「タンゴ・ヌエボ」という言葉が使われだしたのは10年ほど前からのようだ。



ファビアン・サラスなどがデモでピアソラやタンゴ・エレクトリコを使い始めてからのこと。
(ファビアンが呼び出したという説と外国人達が呼び出したという説があるが不明)






前記したようにナベイラは否定しているが実際にはナベイラやファビアンたちの踊りがそう呼ばれるようになってしまった。




ナベイラはトラディショナルな音楽でしかデモらない。

よって使う音楽ではなく、彼らの踊り自体が上記のショータンゴやそれまでの現在トラディショナルと呼ばれているタンゴと違うところを探すと、


昔は使わなかったような技 を振り付けではなく、
前回のタンゴの基礎に基づいたリードで行っているということくらいである。





つまりそういう技、彼らが使い始めた技や彼ら以降に新しく発見された技が「ヌエボ」な技と呼ばれているということになる。
(実際には昔から使われていたのにヌエボな技と思われているものもある)








簡単にリストを上げてみると、




コルガーダやボルカーダ、
ソルターダ、
4ta.サカーダ、
ガンチョ・ア・ファボール、
ボレオ・ア・ファボール、
フリーズ、
アトラパーダ            etc…




などが現在「ヌエボ」と呼ばれているような技である。
(もちろん全て前回の基本ルールに基づいて作られている。
             つまりトラディショナルの応用技)








一般的な認識や前述の服装などでのダンサーのイメージなども考慮に入れて

このブログでは、





上記のような技を 「ヌエボ技」


ヌエボな技を多用するダンサーを 「ヌエボ系ダンサー」






と呼んでいる。

これがこのブログでの「タンゴ・ヌエボ」「ヌエボ」という言葉の使い方だ。















そしてこのブログではよく、「~系~」などという言葉を使っているが、
もちろん「~系」という言葉が流行っているから、ではない。

「ヌエボ系ダンサー」もヌエボ技を使わなければトラディショナルダンサーと区別が付かないからだ。



つまり、普段デモるときに どの要素を多く含んでいるか? ということ。

ヌエボ技を多用し、ウルキサの特徴も多く含んでいれば
         「ウルキサ系ヌエボダンサー」のようにもなる。

ヌエボ技を多用するか、ずっとミロンゲーロで踊るか等もその時のダンサーの気分次第。

実際すべてのダンサーが自分の好きな踊り方をしてるのだからしょうがない。
ほとんど全ての踊り方に定義がないわけだし、はっきりした分類分けも不可能だ。









去年まではガブリエル・ミッセと組んでばりばりトラディショナルな感じだったアレハンドラ・マルティニャンもヌエボな技を多様する男性と組めばこんな感じになる。
(男がショボすぎるけど。おっと批評しちゃダメなんだった









女性ダンサーは前回のタンゴの基礎にそってフォローしているので分類分けは難しい。

その時踊る男性によって変わる。
男性がトラディショナルな感じで踊ればトラディショナルだし、ヌエボ技を多様すればヌエボだ。









ただ、このブログで使っているこういう分類分けはあくまでも読者の方がクラスなどを取る時の参考になるように目印 として使っているだけで、
さっきも書いたように 全員が違う踊り方をしている し、
どう踊るかはそのとき次第 なので、
実際には 「あまり意味を持たない」  ということを覚えておいてもらいたい。






タンゴの基本システム マニアック・タンゴ辞典

2009年02月27日 00時04分38秒 | マニアック タンゴ辞典
タンゴを踊るためには タンゴのルール を理解しないと踊れない。




サルサで言えば、「123、567、」を自力でステップする、といったような基本である。
(男性がステップしているのに女性がツっ立ってたら踊りにならないでしょ?)









タンゴの「リード&フォロー」の基礎(ルール)を解析するとこうなる。







1、お互いが相手の正面を探しあう。  




2、自力で移動する。  








この2つが2人でタンゴを踊るための基本ルールだ。






たったの2つ、これだけのことなのだが実際にこれを出来るだけ上手くこなすためには、
かなりの身体のコントロールが必要になってくる。


姿勢や筋肉の使い方など、いわゆるテクニック(「ディソシアシオン」がいい例)。

みんなそれを習ってるわけだ。










この2つのルールを使うことによってタンゴの踊りは成立する。


例えば、、、
 
「ヒーロ」は、 

男性が回転することによって正面が移動する。
女性はそれを追いかけていくために男性を中心(軸)とした円運動を行うことになる。



「サカーダ」は、 

相手が現在いる場所(人)を「sacar(取り除く)」こと。
男性が女性に次の位置を正面の向きを変えることによって指示しながら、女性が動くと同時に現在女性がいる場所に移動する。
(男女反対ポジションのバージョンもあり)









このようにこれらを理解することによって様々なステップが自由に作り出すことが出来る。

出来ることは無限にある。
(「タンゴのステップに間違いはない」 某映画 より)









これを理解した素晴らしい踊り手達が独自の新しい技を発見し広め、この100年ほどの間タンゴは進化し続けてきたわけだ。


ほんの数十年前まではクロスもなかったし、ヒーロもオーチョもなかった。


現在ある「トラディショナル」なタンゴも新しい技、テクニックが少しづつ増えていって現在の踊り方になっている。 









つまりどんな踊り方のタンゴも(もちろん振り付けは除く)、
この2つの基礎(ルール)の上に成立している。








そして15年ほど前からナベイラたちがこのタンゴの基礎(ルール)を元に、コルガーダやボルカーダ、4aサカーダなどを発見していく。

(実際にはコルガーダも小さいものは前からあったし、ボルカーダはガビートの得意技、4aサカーダはサカーダをいつもと違う進行方向に入れただけでしかない)





タンゴ・ヌエボ その1 マニアック・タンゴ用語辞典

2009年02月17日 00時09分41秒 | マニアック タンゴ辞典
今回きたのは 

「ヌエボ・スタイル」「モデルノ・スタイル」 って何ですか?


という質問。







オレに訊かれても分かりません。 




このブログでは(ブログ外でも)、一回もそんな言葉は使ったことはない。







アルゼンチンでは「ウルキサ・スタイル」や「ミロンゲーロ・スタイル」のような使い方で
「ヌエボ・スタイル」や「モデルノ・スタイル」なんて言う人はまずいないので気をつけよう。


Estilo Nuevo(新しい踊り方)、Estilo Moderno(今風の踊り方)


という意味でスタイルという言葉が使われることはあるがそういうカテゴリー(型、形式)があるわけではない。

(Nuevo=New(新しい)、Moderno=Modern(現在的な、今風の)という意味)




「言葉」として(カテゴリーとしてではなく)使われているのは
「タンゴ・ヌエボ」「タンゴ・モデルノ」という言葉だ。










ではここで、まず 「タンゴ・ヌエボ」について説明しておこう。
細かく説明すると長いので簡単に。






タンゴで「トラディショナル」というものに何の定義もないように
(タンゴ以外の分野でも「トラディショナル」は変化するものなのだ)
「タンゴ・ヌエボ」という言葉にも決まった定義は何もない。







コルガーダを開発し、「ヌエボの元祖」とも呼ばれるグスタボ・ナベイラ
「俺はトラディショナルだ」
と言っているし、



現在ヌエボのカリスマ的存在であるチチョは「タンゴ・ヌエボって何?」という雑誌のインタビューで
「それは俺が訊きたい」
と返していた。








しかし 実際そういう言葉は使われている。








ある人は柔らかく踊っていれば「ヌエボ」だというし、
「コルガーダ」や「ボルカーダ」をやればそう呼ぶ人もいれば、
オープンで踊れば「ヌエボ」、
女性がパンツやスニーカーで踊っているだけで「ヌエボ」という人もいる。




ダナパブがクローズで踊ってても「ヌエボ」と呼ぶ人もいるのに、
レアンドロ&ライラがコルガーダをしても誰も「ヌエボ」とは呼ばない。
ガビートがどんなに無茶なボルカーダをしてもやっぱり「トラディショナル」だ。





誰もが見た目のイメージで決めてるだけである。 





実際今の若者がスニーカーでガビートのようなボルカーダをやれば間違いなく「ヌエボ」だと呼ばれるだろう。

どんなに派手なガンチョやコルガーダをしてもスーツをバシッと決めて固そうに踊っていれば「トラディショナル」っぽく見える。






何が「トラディショナル」で、何が「ヌエボ」なのかはっきり言い切れる人はいない。






音楽の分野と一緒だ。

「バラードの音楽的定義って何?」
「ロックとポップスの境界はどこ?」
って訊かれて(実際オレはこの質問をいろんな人にし続けてきた)

「こういう感じのもの」 としか答えようがない。











説明する前から長くなってきた。仕方ないので今回はここまで。

なぜそうなのかは基本的なタンゴのリードシステムを理解するとわかるのだが、

細かい説明はまた書くとしてとりあえず結果から書くと、





現在の一般的な認識は、、、


「トラディショナル」
 スーツなどで決めてて固めの踊りでなんとなくトラディショナルっぽい踊り。


「タンゴ・ヌエボ」
 派手な技を使って柔らかい動きでなんとなくヌエボっぽい踊り、技。



ってなとこである。






こういうの貼り付けとこうかな。


ダミアン & ナンシー



彼らの基本は「ウルキサ・スタイル」
最初の部分のクローズで歩いている時、胸押し型のウルキサの典型的な歩き方だ。

そして「タンゴ・サロン」「オープン」

に加え現在「ヌエボな技」と呼ばれている「ソルターダ」と「コルガーダ」を各1回と小さめの「コルガーダ」「ボルカーダ」(小さいので普通に踊ってるのと変わらん)を使っている。


すべてが混ざっているタイプのパレハだ。
どこにも偏ってないので分類分けは難しい。



彼らを見ればインプロでの踊りで

「トラディショナルとヌエボに境界はない」

「タンゴの基本的な身体の使い方、リードシステムに違いはない」

ということが良く分かるだろう。







余談だが別れたばかりの マリアナ・モンテス と チチョ が先週カニングで鉢合わせ

これ見よがしにサロンのノエリア(Noelia Hurtado)とばりばりヌエボな感じで踊って見せつけていた。
昨日はフアナの変わりにノエリアがチチョのクラスに来たらしい。





今回説明した「ヌエボ」とオレがこのブログでよく使っている「モデルノ」という言葉を混同してる人が多いようなのでそれもまた別の回に。




スタイルについて

2009年02月14日 23時08分47秒 | マニアック タンゴ辞典
質問がきたので少し説明しておこう。
(細かく書き出すと長いので出来るだけ簡潔に。
なので誤解が生じるかもしれないけれどすでに誤解してる人も多いようなので)







まずは 「スタイル」 (estilo)




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「スタイル」という言葉自体が広めの意味合いがあるので難しい。
辞書で調べると「型、形式、方法、やり方」などとある。

つまり「型、形式」として定義付けられたものとそうでないものだ。



たとえば日本語でも「彼のスタイルは、、、」などとタンゴで関係ないときでもよく使う。

これは「彼のやり方は、、、」などという意味だ。

ある程度定義づけられた種類の判別とは別の使い方である。

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現在のアルゼンチンのタンゴ・シーンで一般的に「型、形式」として
よく使われている「スタイル」という言葉の意味は大きく分けて2種類ある。







まずひとつは昔からあるトラディショナルなタンゴに使われている「スタイル」。

「ウルキサ」を代表とする各地域での踊り方の特徴としてのスタイル。
これらはそのアブラッソの形や良く使われるステップなどで区別される。


タンゴで「~スタイル」という風に使われる場合のほとんどはこのケース。

昔は「サアベドラ」や「マタデーロ」などタンゴがブームだった時代は各地区でそれぞれ特徴のある踊り方が何種類かあったようだ。
が、タンゴのブームが去り長い下火期間に多くのスタイルがなくなっていった。


その中で現在でも受け継がれてよく踊られているのは

ビシャ・ウルキサ地区の「ウルキサ・スタイル」 と 

セントロ(ブエノス中心部)で踊られていた「ミロンゲーロ・スタイル」

の2つである。


他にも少し残っているようだがメジャーではない。











そういう地区での特徴を示したものとは別に、「セントロ・スタイル」というのがある。

これは「ダニエル・ラパドゥーラ」というダンサーが自分のリード方法や踊り方をそう名付けて広まったもの。
なので上記の地区的特徴での「スタイル」の区分とは別である。

「ハビエル・スタイル(ハビエルの踊り方)」「チチョ・スタイル(チチョの踊り方)」
「けん・スタイル(けんの踊り方)」

のようなもの。









つまり現在アルゼンチンのタンゴで型や形式として「スタイル」という言葉がよく使われるのはこの3つの場合がほとんどである。





地区的特徴を示す


「ウルキサ・スタイル」


「ミロンゲーロ・スタイル」



とは別の、ダニエル個人の踊り方、 「セントロ・スタイル」




である。







実際の質問はこのあとなので  またまた    つづく。


いつになるかは不明。。。





テクニック 巻の壱

2008年12月05日 20時34分01秒 | マニアック タンゴ辞典
うーん、、、やっぱり文章にまとめるのは難しい。。。
いろいろ書いたけど意味分からんくなってきたのでだいぶ削りまくった。



とりあえず、「基本的な技術(テクニック)」 について。










テクニックは大きく分けて2種類。





1、 自分の身体をコントロールするテクニック。


2、 リード & フォロー








今回は1番目、「自分の身体をコントロールするテクニック」から説明しよう。






これは読んで字の如くなのだが、かなり難しい。








単純に身体を動かすには大きく分けて2種類ある。




意識して身体の1部分だけを動かしたり、1歩前に進んだりする、 

「完全にコントロールされた動き」

         と

「コントロールし切れずにそうなってしまう動き」 

(姿勢が維持出来ない、ゆっくり体重移動出来ない、落ちちゃう、倒れちゃう、表現がいつも同じになってしまう などなどなど)









コントロール出来てないと話にならないのでこれは置いといて、コントロール内の動きについて。









すべての「意識してコントロールされた動き」を外枠にしてその中に色んな動きがある。



大きい動きでは指を動かすとかジャンプするとか、小さい動きでは両足に50%ずつ乗ってる体重を49:51にするとか。


いろいろあってその中で例えばカンフーで使う動き、バレエで使う動き、卓球で使う動きなどがある。
んでもって、もちろんタンゴで使う動きもあるわけだ。

これら各スポーツ、格闘技、ダンスでいろんな動きがあり別種類のものでも被ってる動きと独自にしか使わない動きがある。


さっき書いた微妙な体重移動などはどの種目でも絶対に使うし、正拳突きバックドロップ(プロレス技)を卓球で使ってる人は見たことない(使えるかもしれないけどたぶん反則)。






ここで重要なのはどんなことをするにしても
そのアクションをちゃんとコントロール出来ているか?
ということ。



ただ動くだけでなく、そのアクションをしている間は全身に意識が行き渡っているし(たとえリラックスしていても意識はいっている)、アクションが終わった後もいつでも次のアクションに移れる状態になっている。




試合が、競技が、踊りが、終わるまでは一瞬たりとも気を抜くことはない。















身体を自由に動かすためには同じ人間の身体を動かす以上、共通した基本的な身体の使い方が存在する。
それが「セントロ」、「丹田」などであったりするわけだ。






どんな動きをするにしても


  どこまで、
    一瞬の気を抜くこともなく、
        完全にコントロールされているか?



というのがこの技術の力量である。





そしてもちろんこのテクニックが大きく他の技術に影響してくる。

自分の身体を自由にコントロール出来なければリードもフォローも上手くは出来ないし、音楽を表現することももちろん出来ない。




   基本中の基本  である。


タンゴダンサーでこれが一番出来ているのが セシリア・ガルシア だと思われる。









おまけ。



ときどき

「アルゼンチン人は身体のツクリがちがうから、、、」 

などと言う人がいるが、これはただの「出来ないヤツの言い訳」でしかない。

アルゼンチン人だって全員身体のツクリは違うのだ。




ただ良いダンサーは自分の身体を自由にコントロールできるように

「自分で身体を作っている」 



必要なところに必要な筋肉がなければコントロール出来ないというわけだ。



軸を取るにはそのために必要な腹筋や大腿筋などを付けないといけないし、いい姿勢を維持するためには色んな小さな部分の筋肉が必要になってくる。


もちろん筋肉があっても使い方が分からなければ一緒なのだが、なければ使いようもない。


ただ踊っているだけでは必要な筋肉を使っているかどうかは分からない。
使っていなければ鍛えられないわけで、何十年踊り続けてても上手くはならない。
(ミュージカリティなど筋肉と関係ない部分はある程度上達する可能性はある)



逆に必要な筋肉とその使い方さえ分かれば上達は早いし、
マッチョにならなくても必要な筋肉を的確に使えば十分に踊れるのである。




マニアック タンゴ辞典 セントロ、ディソシアシオン 追記

2008年09月12日 19時19分26秒 | マニアック タンゴ辞典
え~、このマニアック タンゴ辞典は一応タンゴで使う用語などの解説をしています。


んだもんで、スペイン語辞典とは少し違うのでご了承ください。





たとえば、「ラピス」なんかはホントの意味は「鉛筆」だけどタンゴでは男性のアドルノの一種。



この前解説した、「ディナミカ」ももともとは「力」「活動」などの意味がある。
これは質問者がそのことを書いてたので本文で説明を省いてしまった。ゴメン。





つまり普通に喋ってるとき にはもちろんそういう意味で使う。






ここではタンゴの踊りの中で特別な意味を持つものを解説してる。












今回はだいぶ前に解説した「セントロ」の追記事項。


(参照 http://blog.goo.ne.jp/menpintango/e/43535de3314c3d50d0c7501dd50ee98a



「セントロ」はもともと「中心」という意味なんでタンゴの中でも「彼女が描く円の中心」とかいう風に使うこともあるので注意。







「下半身のセントロ」 について。


どうもこれは日本語では「丹田」というらしい。

知ってる人も多いと思う。





身体をコントロールする中心。






前回の説明で先生によって指している部分が違うので「下半身のセントロ」「全身のセントロ」という風に分けていたが、よく説明を聞いていると大体同じ部分を示していることがわかった。


つまりこの部分はポイントではなく、結構広範囲を示している。




はっきり「丹田」の部分を示す人と「丹田」を含むお腹の辺り一体を示す人がいる、ということ。










これによって気付いたのは、タンゴにおいて「下半身」 は、この「丹田」を含む部分、腰椎から下の部分 なのだ。





つまり上半身と下半身は「上のセントロ」を含む「胸椎」より上の部分と、
「下のセントロ(丹田)」を含む「腰椎」から下の部分で分けられる。







下半身を残したまま上半身だけを回転させる(ディソシアシン)と胸椎の部分が回転する。

(参照 http://blog.goo.ne.jp/menpintango/e/3fc8afbc6de6e63b3a274be0f9a66d20


腰椎から下は残ったまま。




実際には第12胸椎と第1腰椎の間だけが捻られているわけじゃないとは思うが、そういうイメージだ。







この前、オレが腰を痛めた のは回転量を増やすために腰椎を緩ませてしまったのが原因。
(最近はだいぶ良くなってきた)




腰椎は腰と同じ方向を向いているようにしっかり
                     「腹」を締めておくこと。



そうしないとみんなも腰を痛めるよ。




まぁ、色々試して、イタい目みて、体で覚えていくのが頭の悪いヤツが上手くなるための早道なんだろうけどね。




マニアック タンゴ辞典 カデンシア & ディナミカ

2008年08月25日 11時20分04秒 | マニアック タンゴ辞典
だいぶ前から色々ネタあたためてるんだけど全然まとまらなくて出せない。

んだもんで、ちょー久しぶりの「マニアック タンゴ辞典」 




今回きた質問は「カデンシア」「ディナミカ」ね。






まずは「カデンシア」

ミロンゲーロ・スタイルの人がよく使う言葉。


直訳すると「拍子、律動、韻律」

「韻律」は文章などで使う言葉なので、ここでは「拍子」、とくに「律動(リズム)」の部分を示していると思われる。





「律動(リズム)」のある動き。連続性のある動き。
しかも振り子のように繋がった動きのことを指している。レボテ。




ちょうどミロンゲーロスタイルのオスカルのクラスのビデオ が出てた。


Class: "Cadencia"





ヒザ、足首、腰を上手く使って動く。体の内側からのリバウンド運動。

「  」 


たとえばサロンなどで、普通に踊っててたまに前に人がいたりして 進めない時とかにダブルで2人とも一回戻って方向転換したりする。

方向転換しなくても、振り子のような往復運動であれば「カデンシア」に含まれる。







この腹(セントロ)からの深みのある動きにミロンゲーロの真髄がある!?





ミロンゲーロ・スタイルのタンゴではあまり強いスタッカートの表現を使わない。
モデルノダンサーがときどき表現の方法として使う、わざと一音一音を区切って踏むような踊り方はしない。

そういう踊り方は「カデンシア」にはならない。
振り子のような流れる反復運動のことを指している。



「タ、  タ、  タ、」      ではなく
「タン⌒タン⌒タン」    が「カデンシア」


「タ、タ、タ」はミロンゲーロでもミロンガだとよく使われてる。















「ディナミカ」


これは英語でいうところの「ダイナミクス」の意味。
つまり「強弱」



同じシークエンスでも使うエネルギーの量によって見え方も感じ方も違う。

もちろんシークエンスでなくてただの1歩でも、力強く歩くのも出来れば、柔らかく優しく歩くことも出来る。



言葉の意味的にはエネルギーの「強弱」だけど「カデンシア」のところで説明したような流れるような踊り方もあれば一音一音切ったようなの踊り方もある。

そういう「表現」の意味も含んで使われることも多い。




アルゼンチンタンゴの新しい踊り方!?

2008年05月21日 15時15分07秒 | マニアック タンゴ辞典
この前の「察知式」「完全リード式」とはべつにまた特殊な踊り方もあるのを発見した。
まずは一昔前の察知式ダンサーのインプロの踊り方の1つ


女性が男性の
リードとは別に自分の意思で行動する

というもの。


リーダーが察知式の男性だとコネクションが薄いので女性の移動できるスペースが多くなるため動き放題なのだが、このタイプの女性はリード式の男性と踊ってもコネクションを自ら切ってリードに従わないこともあるらしい。





この前ブルーノが某有名女性トラディショナルダンサーをミロンガで誘ったとき、

「リードしてるのに彼女はそっちに動きたくないから動かないんだよ。
ビックリ したよ~。」

と言っていた。




          





これはしかしビミョーだ。

リードが分かってるのに意思的に無視する上記のような場合(けっこう特殊)と
技術がないため男性のリードが分からないで独りで踊っている場合、
男性のリードのコネクションが弱いため好きに動いてしまう場合、

が出てくる。



某女性ダンサーのような最初のタイプは極めてマレで「完全リード式」ダンサーから見ればただの 「嫌がらせ」 としか思えないが、コネクションの弱い「察知式」の男性とばかり踊っていて「コネクションを使って完全にリードされる」ということを知らない「察知式」の女性だと、インプロで踊るときリードを  して自分の意思を踊りの中で行動に出すのは普通のことなのだろう。


後者二つは単にどちらか一方、もしくは2人共の技術力不足






               





だが、最近では「完全リード式」でも 男性が
わざとコネクションを緩めて女性の好きに踊らせる
つまりアドリブを楽しむという踊り方をするダンサーも極少数ながらいる。

普通 男性が女性にアドルノを期待する場合、女性に与えるのは時間だけだが
このスタイルでは空間も与えてしまうというわけだ。



しかしこれはリード&フォローが出来るようになった上級者用の踊り方で
上手く踊るためには高度なアドリブ能力、音楽性と意思伝達能力(意思的コネクション)が要求される。


技術力も意思表示もないのにやると、それはただの
リード出来ない男  と  勝手に独りで踊る女
になるので十分注意が必要。







この踊り方は相手の動きを見て自分の行動を考えるコンテンポラリー系即興ダンス「コンタクト・インプロ」とほぼ同じなのでオレはこれを
コンタクト・インプロ式  と名付けた。


タンゴに「コンタクト・インプロ」の要素を取り入れたものだが
タンゴの曲で「コンタクト・インプロ」を踊ってるのと区別しようがない。
タンゴの技を使った「コンタクト・インプロ」と言った方がいいのか?



お互いがこういうリードシステムで踊るという意思を明確に伝え合いさえすればタンゴの技術が低くても踊れるが、それはほんとにただの「タンゴっぽいコンタクト・インプロ」になってくる。。。  







「タンゴの踊り」の基本コンセプトはリーダーとフォロアーに分かれているのでフォロアーが自分の意思で動いてリーダーがそれに合わせるというのはタンゴの分類には入らないと思うんだけどなぁ。。。


でも「タンゴの踊り」の定義も誰が決めたわけでもないからなー。
ヌエボをタンゴと認めない人がいるようなもんか。


というわけで「コンタクト・インプロ式タンゴ」という新分野にしておこう。
エレクトリックもピアソラも本人がタンゴだと言えばタンゴになるわけだし。
「タンゴっぽいジャズか、ジャズっぽいタンゴか」って話と一緒だな。

タンゴの要素が入っていればなんでもタンゴ。






超主観的 タンゴ ダンサー パレハ考察 3

2008年05月16日 11時47分42秒 | マニアック タンゴ辞典
タイプ3  一人で頑張ってる     ピン芸人 タイプには 2種類いる。




まずは
タイプ3のA    パレハなんていらな~い。         一匹狼 タイプ



基本的にミロンゲーロのジィさん、バァさん達はもともと商売でやってるわけじゃないので「タイプ1」でなければ職業パレハを持つ必要がない。

ステージで振り付けをやったり、ミロンガのデモなどで生徒を集めて金を稼ぐいわゆる「ダンサー」ではない。
たまたま踊ってたら上手くなって生徒が付いたので先生をやっているだけなのだ。

だからミロンゲーロにはこのタイプが多い。



グラシエラ・ゴンザレス、スサーナ・ミシェール、アナ・マリア、フラコ・ダニー、ピベ・アベシャネーダなど。




いつもレディーステクニックのクラスをやっているグラシエラ・ゴンザレス。

グラシエラ&ラミーロ Graciela Gonzalez and Ramiro Gigliotti



昔から多くの女性に人気がある。

その秘密はやはりその「余裕」の動きだろう。
ぽっちゃり体系の彼女だが完全直立型で完璧に自分で軸が取れているためすごく安定している。
しっかりリードを受けて確実に床を蹴り、掴んでいるためにこの安定感が生まれる。





「ミロンガ」と言えばこのジィさん。 フラコ・ダニー。
人前で踊るのが好きでサービス精神満点!!
この小技のオンパレードはすごい。


フラコ・ダニー&シルビーナ Flaco Dani & Silvina



まさに一匹狼らしく、
「デモするときもまったく練習なんてしない。」と言っていた。

ただ直立系でとても微リード(半察知)なので、いつだったかワールド・タンゴ・フェスティバルで同じくピンで出ていたアナ・マリアと組んで踊ったときはまったくリードが伝わらなかった。

アナ・マリアはガップリ四つの前傾完全セントロリード式ミロンゲーロ・スタイルなので察知はしないのだ。






           






そして2つ目は

B パレハ欲しいんだけど見つからない、または逃げられた  さびしんぼ タイプ



さっきも書いたように「ミロンゲーロ」ではなく、「ダンサー」として喰っていくためにはやはりパートナーは必要だ。

タンゴの技術はどんどん進歩するのでそれに付いて行くためにも練習は欠かせない。
パートナーが決まっていないと難しい。


そしてやはり「2人の踊り」として人に見せるためにはパレハの方がいいと思う。
パートナーを現地調達してデモると自分の個性、良さを出しきれないことが多い。



実力も付いて自分の個性が出来てくると相性の合うパートナーを見つけるのは難しくなってくる。

ピンでずっとパートナーを探し続けているダンサー、パートナーに逃げられてしまったダンサー、このタイプも結構多い。


チチョなんかも固定のパートナー欲しいんだろうけどなんかいつも問題があってちょくちょくパートナーが変わる。
あそこまですごいと選び放題だけどね。


チチョやパブロ・インサのように名前がむちゃくちゃ売れていれば別だが大体のパートナーのいないピンの「ダンサー」には仕事がなかなか来ない。






ピヨピヨなときから頑張って育てたのにいきなりそんなビッグネーム捕まえて巣立つか?

ショーダンサーとしてもリーダーとしても実力あるのにパートナーがいないんじゃ、
見せ場がないよ。。。

泥棒ヒゲのデミアン・ガルシア。         


デミアン&カロリーナ Demian Garcia & Carolina Bonaventura



カロリーナはお金持ちのパトロン、フランシスコを捕まえて去年サン・テルモにすごくキレイな新築(!)のスタジオ&タンゴ・ハウス「マリポシータ」をオープンした。

3月からフランシスコと組んでクラスも始めた。







ちょっと見ないあいだにエセキエルまた上手くなったな~。
と、思いきや、なんか髪形が違う。

あれ? これってもしやお兄ちゃん??
エセキエルの兄、フェデリコ・ファルファロ。


フェデリコ&エウヘニア Federico Farfaro y Eugenia Parrilla




振り付けだがエウヘニアの動きが完璧なためにフェデリコの動きもすごく良くなる。
エウヘは一緒に踊る相手をも上手く見せてしまえるほどの天才なのだ。

エセよりフェデのほうが持ちネタも多いし、音楽センスがいい気がする。
リードしない分、他に気を回せるってことなのかも知れないけど。
ショーダンサーとしてはスゴイかも。。。

いつも色んな女の子とデモるフェデ。
リードが出来ないのでいつも 「」 な感じだけど、

エウヘとデモったこのビデオはいいねー。
インプロの方のビデオはやっぱりまったく何も出来てない。。。






ピンのダンサーってだんだん売れなくなって埋もれていくのであまり思いつかないけど実は結構いっぱいいる。


「2人の踊り」を人に見せるのを仕事にしてる以上、ピンで活躍するのは難しい。

モデルノ系に限らず、トラディショナル系でも流行りすたりはあるし、技術もどんどん進歩する。   

常に最新の情報を仕入れて研究してないとこのタイプは時代から取り残されてしまう。

リード&フォロー重視のミロンゲーロやインプロ系ダンサーならまだしもバリバリのショーダンサーはとくに時代の流れに左右されるので大変だ。






パレハの分類を大きく3つ(4つ)に分けて考察してみたが、実はここには入らないダンサーも少しいる。

たとえば最近は一緒に踊らないが フェデリコ&アリアドナ・ナベイラ兄妹。
アウグスト&ミゲル(ゲイのタイプ1)、 ロス・エルマーノス・マカナ(兄弟)など。

特殊なんで機会があればそのうちに。






そうそう、ずぅ~と、契約に縛られてあのおっさんとしか踊っていなかったあの彼女が今月末、ピンになってビルータでフェデリコ・ナベイラとデモる!!


                    乞うご期待!!




「アドルノ」  マニアック タンゴ用語辞典

2008年05月14日 17時09分25秒 | マニアック タンゴ辞典
どうもオレのブログはマニアックなタンゴ用語が多く出てきて意味が分からないという人もいる。
というわけで、この 「マニアック タンゴ用語辞典」を始めた。




 今回は 「アドルノ」 

知ってる人も多いと思うけど、少し研究してみよう。


英語で言うところの「アドルメンツ」。
タンゴの中で使う場合は「遊び」「かざり」のことである。


何が「遊び」「かざり」かっちゅーと、

たとえば女性の場合、「アドルノ」は男性のリード以外の女性のアクションを指す。


たとえばよく使われるものでいうと、普通に強拍(ティエンポT)だけを取って歩いてるときに裏拍(コントラティエンポC)で膝下のボレオやピコ(つま先でチョン)を入れたりする。
(4分の2拍子で書かれている楽譜もあるけど4分の4拍子の方が説明しやすいので4分の4拍子で説明)





  ---T---C---T---C---T---
  ---1---2---3---4---1---

     



T(強拍)のところでステップするとして体重移動が完全に終わる前に男性は次のステップをリードし始めているので女性は軸に乗りきる前には次のステップのタイミングと位置、姿勢などはすでに分かっている。


次の姿勢、位置、タイミングが分かっているので現在の位置から次の位置に行く間は男性が足先までリードしていない限り、女性に与えられた時間である。


その時間を利用してアドルノを入れるわけだがなぜC(裏拍子)のタイミングになりやすいかというと、 



1、完全に軸が乗れていないとフリーの足をコントロールできない。
普通にティエンポで歩いているのでC の前後が軸が乗れている状態になる。

2、その辺りでアクセントを入れれる音は大体の場合、C のタイミングになる。
もちろん何かの楽器が微妙にズレた位置で音を鳴らしていればそれを取ってもいい。





あと、

前オーチョのとき、先ほど説明したようにすでにピボットの回転量などが分かっているのでワザと、胸、腰、脚の自然な回転の順番を変えて、胸(リードの受け)が回った後、腰より先に脚を回してから脚の回転力を利用して腰を連れてくる。

などのアドルノがよく使われる。



                 



しかし、こういうアドルノは言わば男性のリードを軽くスカして(自然な動きを壊して)最後に辻褄を合わせているので男性の音楽(コネクション)を切ってしまう。

コネクションはたとえ男性が上半身しかリードしていなくても足先まで繋がっているのでどんなに小さなアクションでも全ての動きは相手に伝わるのだ。


男性があまり上手くないと女性が自分で何かやらなければ楽しくないのは分かるが、
男性が上手くなければないほど、
彼のリードを切ってしまうと余計にリード出来なくなってしまうので注意。




ショーダンスなどで自分をアピールしたいときはどんどん使ってもいいがサロンでは 「ここぞ!」 というタイミングで使ったほうがいい。

あまり使うと男性は自分の音楽を切られて思うようにリードできなくなってしまう。






男性がわざと女性にアドルノの時間を与える場合もある。

サルサでいうところのシャインだな。

このときは100パーセント!、女性に与えられた魅せ場。
それまでの踊りの流れと音楽をよく聴いて上手く表現したいところ。







女性だけではなく、男性にもアドルノはある。

男性は基本的にリードさえ出来てれば何をやってもいい。(犯罪とかはダメ)
男性の「アドルノ」と呼ばれるものは単純に普通にリードして踊っていている分には必要のない飾りの動きのこと。

わかりやすい例を上げれば「エンロスケ」や「ラピス」「ピエルナッソ」、ミゲルの足パタパタなどだ。


       
           


男性も女性もこの「アドルノ」はリード&フォローとは別のアクションなのでその動きをあまり相手に伝えないようにした方がよい。

「ラピス」などのリードと自分の動きが一致しているものはいいが、上半身と下半身の動きを分けないといけない場合は十分注意が必要。

コネクションはそのままにしておかないとリード&フォローに影響が出てしまう。




基本的にこの「アドルノ」は相手をほっといて自分をアピールするアクションなので使いすぎると二人の踊りが成立しなくなる。

ショーで見ていても片方しか見えなくなるし、    …… 

サロンでは「勝手に踊る女」「一人で踊る男」になってしまうので注意。




料理にたとえるなら「アドルノ」は香辛料。コショウとか山椒とか。

ピリッと効いてるとさらに美味しくなるけど、入れすぎると辛いだけ。

入れる分量が難しい。
好みも人それぞれ。





「アドルノ」を上手く入れれるようになるには
曲、踊りの流れをしっかり掴むことと、
リード&フォロー、自分の体のコントロールが完璧に出来ることが必要。


まさに上級者用のテクニックだ。







             mis---ioT-n-o

                                  febrero 2009




超主観的 タンゴ ダンサー パレハ考察 2

2008年05月11日 12時36分21秒 | マニアック タンゴ辞典
2、 私生活は別               職業パレハ タイプ 



このタイプのいいところは見ていてしつこくない。
クールな関係が分かるところだろう。

ふたりのつながりが深くないので重くない。
純粋にテクニック、踊りを観察できる。


このタイプでも長年やってると自分達の、パレハとしての個性が出来てくる。

ガストン&マリエラやマティアス&カーラ、セバスチャン&マリアナなどいい例。
それほど上手くないときから2人で自分達のスタイルを築き上げて来た。
タイプ1からタイプ2に変わったパレハも多いけど。




アレハンドラ・マルティニャン&ガブリエル・ミッセなどはもともと個性が強く出来上がっていた2人をくっ付けたのでやはり別々で見てしまうのは仕方ないが、組み合わせが良かったので完全に自分達のスタイルを確立している。


アレハンドラ&ガブリエル Alejandra Mantinan & Gabriel Misse



2人とも足先を器用に使った独特のアドルノが得意。
絶品の「アドルノ対決!」がこの2人の踊りの見所。






オレの大好きなカプッシ&マリアナ。
ここまでやればもう芸術作品!!
ただのコミックと違うのは技術力もさることながらその音楽センスがなところ。
ほんとに音楽で遊んでる!!


カプッシ&マリアナ Eduardo Cappussi & Mariana Flores



去年からヌエボ技を多く取り入れているがまだあまり上手く使いこなせていない。
2006年だかのCITAの「ミッション・インポッシブル」は最高だった。






すでに出来上がっていた同士の組み合わせでお互いいいパートナーが見つからずに探し続けていたエセキエル&エウヘニア。
アレ&ガビ同様組み合わせがすごく良かったので大ヒットした。


エセキエル&エウヘニア Ezequiel Farfaro & Eugenia Parilla



組み始めて半年くらいのころにやった去年のXでのデサフィオ。
完全即興でここまでやられちゃ、感動するっしょ!?

このとき以来「必殺っ!10円玉拾い!!」がエセの得意技になった。






このタイプ2でも別れたら他と組めないだろうー、というパレハも存在する。

クラウディオ&メリーナなどがそう。

もともと役者上がりの2人。
コンテンポラリーとタンゴを融合させた新しいショーダンスのスタイルだ。
「タンゴ」として見るより「ショー」として見た方が楽しめる。

クラウディオ&メリーナ Claudio Gonzalez & Melina Brufman



最近は「タンゴ」っぽいのと「コンテンポラリー」っぽいのに分けてるみたいだが、タンゴの技術はイマイチなんで「コンテンポラリー」っぽいのほうが彼らの個性である演技力が活きていて良い。







私生活は別、「ダンスパートナー」としてやっているため二人ともに向上心があるパレハは成長するが、完全にただの「仕事」として割り切ってやっているところはあまり成長が見られない。



パレハの解消は少ないが今回のガス&マリ、マティ&カーラ、ブルーノ&マリアンヘレスのように諸事情で別れざるを得なくなるときもある。


このタイプはタイプ1と違って自分に合ったパートナーを見つけてから組むのでエセ&エウヘみたいないきなり結構良い感じになるパレハもある。








じつは、このタイプ1、タイプ2を同時にあわせ持つダンサーもいる。

   セシリア・ガルシア 

( 天才少女 セシリア・ガルシア 参照
  http://blog.goo.ne.jp/menpintango/e/5756af58e31c2a5541165d38142662ad )


音楽性の天才、オラシオを職業パレハに、
        表現力の天才、サンティアゴを完全パレハにもつ。


ここまでズバ抜けてるとやっぱ特殊なんだろうね。









3、   1人で頑張ってる     ピン芸人タイプ 

                         についてはまた次回。


なんかこれ、「あなたのタイプを診断、性格判断テスト!」みたいだな。

 






P.S.

そうそう、この前「ハビエルが日本に行くから研究してね」って書いたけどちょうど今ファビアンも日本に行ってるんだね。
知らんかった。

ファビアンも音楽センスいいから、ミュージカリティーの勉強するにはもってこい。

ファビアン&ビルヒニアもタイプ2だな。

ファビアンの師匠、ウルキサの大御所 カリートス&ロサはタイプ1。

裏拍子(コントラティエンポ)を多く使った踊り方をするため、その人柄を表すような柔らかいイメージの踊りになっている。







             mi-----oT-n--

                                  febrero 2009





超主観的 タンゴ ダンサー パレハ考察

2008年05月06日 11時33分30秒 | マニアック タンゴ辞典
ここ最近パレハ解消&組み換えの多いなか、おもしろいコメントが来たので
さっそく、思いついたダンサーから考察してみることにした。



まず、パターン分けをしてみよう。




1、 私生活もダンスもパートナー         完璧パレハ  タイプ




このタイプには

「もう絶対にこの組み合わせ以外に考えられない」

というパレハが数組存在する。



たとえば、、、

フリオ&コリーナ、ダナパブなどがそうだ。


フリオ&コリーナ Julio Balmaceda & Corina de la Rosa




はっきり言って、ここまで出来上がってしまうとこのタイプは絶対分かれられない。
もともとそれほど上手くない頃から一緒に踊り始め、2人で踊りを作り上げた。
長年一緒に踊っているため、相手の音楽やリード、アドルノなどのタイミング、相手のクセ、考えていることが完璧に読めるので2人の繋がりはそうとう強い。



欠点はやはり私生活が上手くいかないと踊りも上手くいかなくなる点である。
私生活がうまくいかなくなったためにパレハ解消するところも多い。


もちろん私生活で別れても二人の踊りが確立していると仕事上別れられないところもある。



踊りのテクニックを個人個人で見るのではなく、タンゴがペアダンスである以上、2人の踊りとして見た場合、やっぱりコネクションがもっとも強いこのタイプが一番良く見えると思う。


パブロ&ダナ Pablo & Dana






もし長年一緒に踊ってきたパレハを解消して新しく組み替えるとなると大変だ。

年季のあるなしに関わらず、1流と呼ばれる人たちはすでに自分のスタイル(個性)を確立している。
よって違う個性の人と組むとなかなか上手くいかない。




ジェラルディンがいい例である。


ハビエル&ジェラルディン Javier Rodrigues & Geraldine Rojas




エレガント系ウルキサダンサー、ハビエル・ロドリゲス から テクニック系サロンダンサーのエセキエル・パルディ に乗り換えた。



そうとう子供の頃から一緒に踊っていただけにハビエルとは息もピッタリだったが、エセキエルと組み始めた頃は大変だった。

おそらくジェラルディンの中では音楽はもっとゆっくり流れていたのだろう。


ハビエルのが身体に染み付いているはハビエルの感でアドルノを入れようとする。
ほんとは他のことをしたかったエセキエルはリードを切られてアドルノが終わるのを待つしかない。
自分の音楽を切られてしまっているのだ。





エセキエルは細かいテクニックを使う。
                        瞬発的な反応力が要求される。
一時も気を抜くことが許されない。

                                  

        アドルノが入れられなくなる。





お互いの良さを潰しあってしまったのだ。


しかしもう組み始めて3、4年。 だいぶ息も合ってきた?


エセキエル&ジェラルディン Ezequiel Paludi & Geraldine Rojas




&エセキエルみたいに出来上がった個性同士がくっ付くことはマレ。
このタイプのパレハは売れない頃から一緒に踊りを作ってきたパターンが多い。


2人の仲がいいので全体的にいい感じのパレハが多いと思う。

オスワルド&コカ、カリートス&ロサ、ナベイラ&ジゼル、アドリアン&アレハンドラ、マリオ&アナベラ、ダミアン&ナンシー etc…


               



もちろんカップルでやっていても片方だけのテクニックが優れているパレハやまだ完全に2人の踊りとしての個性を確立仕切れていないパレハはたくさんいる。






ほんとは

  パターン2 私生活は別       職業パレハ タイプ 

も一緒にやろうと思ったんだけど長くなったのでまた今度。






             mi-----oT-n--

                                  febrero 2009