メン・ピン・タンゴ ツモっ!

南米のパリ、アルゼンチンはブエノス・アイレスで起こる
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「アドルノ」  マニアック タンゴ用語辞典

2008年05月14日 17時09分25秒 | マニアック タンゴ辞典
どうもオレのブログはマニアックなタンゴ用語が多く出てきて意味が分からないという人もいる。
というわけで、この 「マニアック タンゴ用語辞典」を始めた。




 今回は 「アドルノ」 

知ってる人も多いと思うけど、少し研究してみよう。


英語で言うところの「アドルメンツ」。
タンゴの中で使う場合は「遊び」「かざり」のことである。


何が「遊び」「かざり」かっちゅーと、

たとえば女性の場合、「アドルノ」は男性のリード以外の女性のアクションを指す。


たとえばよく使われるものでいうと、普通に強拍(ティエンポT)だけを取って歩いてるときに裏拍(コントラティエンポC)で膝下のボレオやピコ(つま先でチョン)を入れたりする。
(4分の2拍子で書かれている楽譜もあるけど4分の4拍子の方が説明しやすいので4分の4拍子で説明)





  ---T---C---T---C---T---
  ---1---2---3---4---1---

     



T(強拍)のところでステップするとして体重移動が完全に終わる前に男性は次のステップをリードし始めているので女性は軸に乗りきる前には次のステップのタイミングと位置、姿勢などはすでに分かっている。


次の姿勢、位置、タイミングが分かっているので現在の位置から次の位置に行く間は男性が足先までリードしていない限り、女性に与えられた時間である。


その時間を利用してアドルノを入れるわけだがなぜC(裏拍子)のタイミングになりやすいかというと、 



1、完全に軸が乗れていないとフリーの足をコントロールできない。
普通にティエンポで歩いているのでC の前後が軸が乗れている状態になる。

2、その辺りでアクセントを入れれる音は大体の場合、C のタイミングになる。
もちろん何かの楽器が微妙にズレた位置で音を鳴らしていればそれを取ってもいい。





あと、

前オーチョのとき、先ほど説明したようにすでにピボットの回転量などが分かっているのでワザと、胸、腰、脚の自然な回転の順番を変えて、胸(リードの受け)が回った後、腰より先に脚を回してから脚の回転力を利用して腰を連れてくる。

などのアドルノがよく使われる。



                 



しかし、こういうアドルノは言わば男性のリードを軽くスカして(自然な動きを壊して)最後に辻褄を合わせているので男性の音楽(コネクション)を切ってしまう。

コネクションはたとえ男性が上半身しかリードしていなくても足先まで繋がっているのでどんなに小さなアクションでも全ての動きは相手に伝わるのだ。


男性があまり上手くないと女性が自分で何かやらなければ楽しくないのは分かるが、
男性が上手くなければないほど、
彼のリードを切ってしまうと余計にリード出来なくなってしまうので注意。




ショーダンスなどで自分をアピールしたいときはどんどん使ってもいいがサロンでは 「ここぞ!」 というタイミングで使ったほうがいい。

あまり使うと男性は自分の音楽を切られて思うようにリードできなくなってしまう。






男性がわざと女性にアドルノの時間を与える場合もある。

サルサでいうところのシャインだな。

このときは100パーセント!、女性に与えられた魅せ場。
それまでの踊りの流れと音楽をよく聴いて上手く表現したいところ。







女性だけではなく、男性にもアドルノはある。

男性は基本的にリードさえ出来てれば何をやってもいい。(犯罪とかはダメ)
男性の「アドルノ」と呼ばれるものは単純に普通にリードして踊っていている分には必要のない飾りの動きのこと。

わかりやすい例を上げれば「エンロスケ」や「ラピス」「ピエルナッソ」、ミゲルの足パタパタなどだ。


       
           


男性も女性もこの「アドルノ」はリード&フォローとは別のアクションなのでその動きをあまり相手に伝えないようにした方がよい。

「ラピス」などのリードと自分の動きが一致しているものはいいが、上半身と下半身の動きを分けないといけない場合は十分注意が必要。

コネクションはそのままにしておかないとリード&フォローに影響が出てしまう。




基本的にこの「アドルノ」は相手をほっといて自分をアピールするアクションなので使いすぎると二人の踊りが成立しなくなる。

ショーで見ていても片方しか見えなくなるし、    …… 

サロンでは「勝手に踊る女」「一人で踊る男」になってしまうので注意。




料理にたとえるなら「アドルノ」は香辛料。コショウとか山椒とか。

ピリッと効いてるとさらに美味しくなるけど、入れすぎると辛いだけ。

入れる分量が難しい。
好みも人それぞれ。





「アドルノ」を上手く入れれるようになるには
曲、踊りの流れをしっかり掴むことと、
リード&フォロー、自分の体のコントロールが完璧に出来ることが必要。


まさに上級者用のテクニックだ。







             mis---ioT-n-o

                                  febrero 2009




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2 コメント

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アドルノ大好き (Ayano)
2008-05-15 03:32:35
英語だとembellishment, スペイン語だとベリスマンかな?ともいいますね。
もちろん基本的なテクニックがないといけないんだけど適度に遊びをいれるのはいいことだと思う♪
純粋に楽しいし。
Geraldineとか、Javier&Andreaとか、Misse一族はもうすごいよね!!!
けんちゃんもいってたようにやりすぎないっていうのが一番難しい。。。
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アドルノいろいろ (けん)
2008-05-15 16:49:24
英語はオレの専門外だとして、西語で「ベリスマン」って言い方もあるんだ?
知らんかった。。。
Ayanoちゃんオレより勉強してるね。

Ayanoちゃんはそうとう上手いからアドルノの楽しみ方もちゃんと理解できてるんだよ。

たまに無闇やたらと入れてくる人がいてリードに困ることもあれば、こっちのリードの音楽にぴったり合ったアドルノを入れられて「おぉっ!」って思うときもある。

両刃の剣だね。



トラディショナル系では結構男性、女性とも今回説明したような「小技」的アドルノをよく使っている。

それに比べてモデルノ系ではそういうアドルノは少ない。

エウヘやセシリアは例えば普通の1歩のステップでも身体の動かし方を変えて表現を変えたりしている。

アドルノにもいろ~んなアドルノがある。
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