ものぐさ屁理屈研究室

誰も私に問わなければ、
私はそれを知っている。
誰か問う者に説明しようとすれば、
私はそれを知ってはいない。

暴落はトレンド、トレンドはフレンド 1

2020-03-20 18:00:00 | トレンド・フォロー
nikkei225




Carole King - You've Got a Friend

When you're down and troubled
And you need some loving care
And nothing, nothing is going right

トラブルで落ち込んで
誰かにやさしくして欲しいと感じる
そんな風になにもかもが上手くいかないと思ったとき

Close your eyes and think of me
And soon I will be there
To brighten up even your darkest night

目を閉じて、私のことを思い出して
すぐにあなたのところへ駆けつけるわ
どんなに真っ暗な夜でさえも明るくしてあげる

(Chorus)
You just call out my name 
And you know wherever I am 
I'll come running to see you again 
Winter, spring, summer or fall 
All you have to do is call 
And I'll be there 
You've got a friend 

ただ私の名前を口にするだけでいいの
私がどこにいたって
急いであなたのところに駆けつけるって、わかっているでしょ
冬であろうと、春であろうと、夏であろうと、秋であろうと何時でも
名前を呼びさえすればいいの
私はそこにいるから
だって友達だもの

If the sky above you 
Grows dark and full of clouds 
And that old north wind begins to blow 

あなたの上の空が
暗くなって、雲が立ち込め
そしてあのいまいましい北風が吹き始めても

Keep your head together
And call my name out loud
Soon you'll hear me knocking at your door

うろたえずに心を落ち着けて
声に出してはっきりと私の名を呼んでみて
すぐにドアをノックする音が聞こえるから

(Chorus)

Ain't it good to know that you've got a friend
When people can be so cold
They'll hurt you and desert you
And take your soul if you let them
Oh, but don't you let them

友達がいるって素敵なことだと思わない?
時には世間はとても冷たくなることもあるわ
そんなときはあなたを傷つけ孤独にし
そのうえ。魂までも奪おうとするかもしれない
だけど、そうさせてはいけないわ

You just call out my name
And you know wherever I am
I'll come running to see you again
Winter, spring, summer or fall
All you have to do is call
And I'll be there
You've got a friend
Ain't it good to know that you've got a friend
Oh yeah,you've got a friend

ただ私の名前を呼べばいいの
私がどこにいたって
急いであなたのところに駆けつけるって、わかっているでしょ
冬であろうと、春であろうと、夏であろうと、秋であろうと何時でも
私の名前を声にだして呼びさえすればいいの
私はそこにいるから
だって友達だもの
友達がいるって素敵なことだと思わない?
あなたには私と言う友達がいるから



今回の暴落に金銭的にダメージを受け、マインド的にも痛手を負っている人も多いだろう。だが、こんなことは先刻ご承知だろうが、暴落と言うものは市場には定期的にやってくるものである。従って、危機管理の一環として、暴落に対する対処法は前もって決めておく必要がある。明確にマイ・ルール化して置く必要がある。だが、長年の見聞から言っても、それが出来ている人は稀であろう。第一、どのようにルールを決めたらよいか、途方に暮れている人も多いだろう。この文章は、そういった人たちに参考になればと思って書いている次第である。

その骨子を先に述べて置けば、暴落という言葉は、ある一定の考え方を前提にしているので、その考え方の呪縛から解き放たれて自由になる必要がある。つまり、ものの見方を変えて、暴落という現象を一つ進級を繰り上げてより高次な概念であるトレンドとして捉え直すということ、つまるところはトレンド・フォローの勧めという事である。とは言っても、必ずしもショート=空売りの勧めという事ではなく(勿論それが出来るに越したことは無いが)、最低限でも相場認識としてダウントレンドをどのように捉えるかというトレンド・フォローの技術は身に着けておく必要があるということである。そうすれば必ずしもショートを建てなくても、例えばポジションを縮小しておくとかヘッジを建てるとか、いろいろと対応策が打てるというものである。結局のところ、暴落というものは、それに抗い防戦に努める敵としてではなく、トレンドとして捉えれば、これぼど心強い友達はいないと言うことが出来るのである。uptrend だけではなく downtrend もぜひ友達に加えるべきであるというのが、私のアドバイスである。

だが、Trend is your friend なる投資格言は、我々日本人にとってなかなかと理解しにくいものであって、そのためにはクリアしなければならない関門があるのもまた確かなことなのであって、この関門は明確に自覚して置かなければならない。ということで、前置きとして少々理屈を述べるが、心当たりがあるかどうか、胸に手を当ててよく考えて頂きたいと思う次第である。



投資というものに関わりだしてから長い年月が経つが、自分自身を顧みても、日本での投資についての様々な著作や議論を目にし読むにつれ、改めての思うのは、次の山本七平の洞察の鋭さである。


<外来の強烈な普遍主義的思想を受け入れると、それは一見そのまま受け入れたように見えながら、実は、その国もしくは民族の文化的蓄積の中から、その普遍主義的思想と似たものを掘り起こして共鳴する、そしてその共鳴を外来思想として受け取る。・・・矢野教授はこれらの現象を一種の「もどき」現象とされる。簡単に言えば民主主義は「民主主義もどき」になり、法治主義は「法治主義もどき」になる。・・・・自己に文化的蓄積がないものは、当然のことだが掘り起こし共鳴現象は起きない。>


これは、文化財の輸入に当たっては、我々の意識していない言わば見えざる検閲制度というものが厳然として存在するという事である。つまり、日本に輸入される投資理論には多かれ少なかれ見えざる伏字が存在し、中には発禁処分になっているものもある。その典型が、トレンドという考え方ートレンド・フォローである。

例えば、「バリュー投資」というのは憲法第九条と同じく、誠に日本人の心の琴線に触れるものがあるようで、日本で「バリュー投資」がこれだけ流布したのは、それだけ我々日本人の発想法に実にしっくりと来るものがあると言えるだろう。この点は議論がややこしくなるので、あまり立ち入らないが、一般に日本で行われている「バリュー投資」もまた、その依って立つ文化的な発想法が異なるために、「バリュー投資もどき」たらざるを得ないのであって、現在、尤もらしく「バリュー投資の有意性は証明されている」などという言説が誠しやかに流布されているが、実際の調査結果なども勿論存在しないので、確めるすべもないが、常識的に考えて恐らく日本で「バリュー投資」を実践している投資家ユニバースにおける勝ち組と負け組の比率は、全投資家ユニバースにおける勝ち組と負け組の比率と殆ど変わらないのではないかと私は勝手に推測している。やはり勝ち組のバリュー投資家もまた、一割未満といった数字あたりに収まるのではないか。

それはともかく、「バリュー投資」があまり機能しなくなると、例によって「収益バリュー」だとか「カタリスト」だとか耳新しい「様々なる意匠」が登場し、アベノミクス相場という上昇相場とともに「グロース投資」へと流行の軸足はシフトし、この他にも優待株投資やインデックス投資なども加わって、現在の日本の投資に関する言説空間はガラパゴス化の様相を呈しているように私の目には映る。それが一概に悪いとは言わないが、その表面上の多様性とは裏腹に、それらは実はたった一つの考え方に集約出来るように思われるのだ。

「安く買って、高く売る」と。

つまり、基本的に我々日本人の投資方法と言うのは、小数の例外者は別にして、買い一辺倒の片張り思考しかないのである。「バリュー投資」も「グロース投資」も「優待株投資」も「インデックス投資」もその他諸々も、要はこのバリエーションの一つでしかないということである。以前証券会社の信用口座の開設割合は3割くらいしかないという記事を読んだことがあるが、この数字の低さがこのことを端的に物語っている。だが、その3割の空売りをする人達もまた、恐らく「高く売って、安く買う」というように「安く買って、高く売る」を逆にしただけで、基本的にこの考え方の域から出てはいないのではないかと私には思われる。言い換えれば、いろいろと理屈はつけていても、結局我々は「値ごろ感」によって投機をしているだけであって、そこには原理原則に基づいたルールなぞは存在しないということである。

従って、そこにはトレンドという概念は存在しない、言い換えれば我々日本人の文化的蓄積の中にはトレンドという概念は存在しないので、結果、掘り起しによる共鳴現象は起きないので、トレンドフォローなぞ理解の外という事になる訳だ。我々にとって、トレンドフォローほど理解しにくい投資アイデアはないとも言えるのである。なお日本語には「順張り」という一見トレンドフォローと似かよった言葉があるが、後で述べるようにトレンドには明確な定義があるのに対し、「安く買って、高く売る」の「安」「高」に明確な定義や基準がないのと同じように「順張り」にも明確な定義や基準はない。「逆張り」も同様であって、そもそもそこには原理原則というものがないからルール化なぞ出来はしないのである。日本には、こういった判ったようでいて、良く判らない、同様の言い回しの言葉はいくつもあって、例えば「もうはまだなり、まだはもうなり」という投資格言などその典型であろう。

そのために、いささか茶化して言えば、日本人には有名な、このブルース・リーのセリフが、深奥な真実を表したクレドとして、実に胸にグッとくるという訳である。

「考えるな。感じろ!」


まあ、冗談はともかくとして、何やら大仰な話になってしまったが、外国人投資家に牛耳られている日本の株式市場にあっては、カモにされないためには、こうした投資行動の基にある彼我の考え方の違いと言うものは、頭に入れておく必要があるという事である。その時に気を付けなくてはならないのは、「ああ、トレンド・フォローね、順張でしょ」と言う風に、安易に我々の考えを当てはめて理解したつもりにならない事である。「もどき」に堕してしまわないために。この点で、いろいろと海外の著名な投資本も数多く翻訳されてはいるが、訳文の質の問題もあるにしても、そもそも根本的な理解が成されていないように見受けられると思うのは、私だけであろうか。それらは実績の数字の素晴らしさばかりが注目され、高く評価されはするが、次々に単に今流行の旬の投資法として消費され、次から次へと忘れ去られて行くだけのように思われる。「ああ、ピーター・リンチね、グリーンブラットね、なつかしいねえ。」

とまあいったことを念頭にしていただいて、次には最近たまたま読んだこの本を例にとって、私がトレンド・フォロー・システムとして最高位に評価するタートル・システムと対比して、若干の比較考察を加えることで、トレンド・フォローと言う観点から暴落の対処法について幾分か光を当ててみたいと思う。





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