ものぐさ屁理屈研究室

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誰か問う者に説明しようとすれば、
私はそれを知ってはいない。

暴落はトレンド、トレンドはフレンド 8

2020-05-16 00:00:00 | トレンド・フォロー
さて、前回述べたように今年の1月の月足で、ショートのエントリー・シグナルが出たので、2月からは週足も参考にしながら日足でエントリーポイントを探って行った。しかし、週足には取り上げるべき特別な特徴は見られなかったので、日足のチャートのみに基いて説明することにする。

結果としては、次の図のようなポジション・ワークになった次第であるが、その時々にどのような事を考えて、ポジションを動かしていったのかを、出来るだけ再現してみようと思う。

なお、前にも説明したように、場が引けてから、夜の時点で完成した日足を見て、翌朝寄り成りで注文をいれるというやり方を取っているので、図中のポジションは朝一の時点で取っているポジションということになる。



まず、2月4日の時点で下限ラインが確定したので、図に引いて置いたようなレンジが確認出来る。想定としては、最終的にはこのレンジを下にブレイクするので、出来るだけこのレンジの上限付近でショートを入れるのがセオリーという事になる。

①2月10日 上がって来て、想定通りレンジ上限辺りで下げたのでショートの試し玉(1単位)を入れる。1-0。

②2月14日 一旦上げたが、直ぐに高値を切り下げて下げたので。ショートを追加。2-0

③2月25日 もう一度上げ、高値を綺麗に切り下げて、待望のレンジを下にブレイク。ここは断固として本玉を入れるところである。5-2。

ここで同時にロングの2を入れたのは、もしも時のヘッジの為であるが、それは一般にレンジ・ブレイクというのは、ダマシが多いからである。タートルズ方式もレンジ・ブレイク手法だが、当然の如く勝率が低いので、これを逆手にとったタートル・スープなる手法が発明された程である。こうしておくと、もし万が一、踏み上げられてレンジ内に戻っていくようであれば、ショートを切って2-2にし、その後はトレンドに沿ってポジション・ワークで対応していくことが出来る訳である。

そして図に引いてある移動平均線は、5日、25日、75日線であるが、この25日の時点では、この3つの移動平均線のグランビルの法則によるからみ具合が、まず5日線が25日線をデッドクロスし、さらに5日線が75日線もデッドクロスしていて、次に25日線が75日線にぶつかって、今まさにデッドクロスしようとしているというダウントレンド転換の典型的なパターンである。従って、翌日、余程の大陽線でも出ない限り、パーフェクト・オーダーが完成することになる。

つまり、この25日の時点では、テクニカル的に、ダウ理論による高値安値切り下げの4点セット、グランビルの法則による移動平均線のパーフェクト・オーダー、レンジブレイクと3つが揃っていることになる。恐らく、この25日にショートを入れた人も相当数いるはずである。

なお、この2月25日には原油価格が暴落、50ドルを割れている(WTI終値49.9ドル/バレル)ので、これが今回の株価暴落のトリガーとなったと思われるが、前に述べたように私はファンダメンタルとテクニカルは表裏一体のものと考えているので、これも前に述べて置いたような、この原油暴落による株価暴落への波及シナリオは上に述べたようなテクニカル判断を補強するものという位置づけである。

逆に言うとファンダメンタル・シナリオだけで行動に移すという事は、大きなリスクを伴うので、必ずテクニカルの裏付けを取る必要があるということである。この点は、例えば「マネーショート」という映画を見た人はご存知だと思うが、サブプライムローン崩壊に懸けた主人公たちが、ショートを踏みあげられて一時的に慌てふためくシーンがあるが、これなぞは私に言わせると、主人公たちがテクニカルを全く参照していないというリスクを、実に象徴的に示しているシーンだと思うのである。まあ、原作を読んでいないのでこれは推測でしかないが、映画のシナリオ展開上、一波乱がないと面白くないという点はあるにしても、実話に基づいているということなので、このエピソードは恐らく事実であろう。



④2月27日 26日は様子見し(基本的に日足が5日線の下にあれば問題はない)、この27日の下げで、明確にダウントレンド入りと判断したので、ヘッジを切り、その分ショートを足して、7-0にする。そして、この時点で片張りになったので、同数のヘッジ買いの予約注文を入れて置いた。位置は、25日にレンジ割れした日足の高値+1円の22951円である。このあと下げるに従って、このヘッジの位置も下げていくという、トレーリング・ストップならぬ言わばトレーリング・ヘッジということになるが、最近は株でもようやく、このようなIFDだとかCOCOだとかの予約注文が出来るようになったのは、朗報である。

⑤3月5日 数日上げ下げして小さなレンジを作り、ごく小さな陰線とは言え5日線の上に出たので、グランビルの法則に忠実に従い、ヘッジを入れる。7-2

⑥3月6日 下げて5日線の下に再度潜り込み、レンジを下に抜けたので、ヘッジを切ってショートを足して、9-0にする。そして同時に、トレーリング・ヘッジをレンジの上、21720円に移動する。

⑦3月12日 3月10日につけた陽線(2万円奪回の試みか)の下ヒゲを割ったのでダウン・トレンド継続と見なし、ショートを追加、11-0にする。そしてトレーリング・ヘッジも3月11日の上髭の上、19975円へ移動する。

さて、入ってくるニュースといえば、新コロナウィルスによる全世界的パンデミックによる総悲観論一色といった有様で、1万9000円も割り込んでしまい、3つの移動平均線の傾き具合や開き具合から見ても、予期していたところとは言え、相当な暴落となったが、ここからは底値を探って行く展開である。

そのためには、縦軸と横軸の2つの目安を考慮する必要がある。

先ず縦軸の安値の目安であるが、大きな節目としてこの時考えていたのは、いわゆるキリ番である1万8000円、1万7000円、1万6000円等の外に、アベノミクス相場による上昇幅のフィボナッチ比率による戻しとサポレジ転換線である。注目していたのは、以下の図にあるフィボナッチ比率38.2%戻しの18200円と同50%(半値)戻しの16300円、それに16100円あたりのサポレジ転換線である。特に、後者2つは近接しているので、この辺りまで下げるようだと、この1万6100円から1万6300円当たりの価格帯は、マーケット・メイカー達に相当意識されるゾーンであるのは間違いない。



次に、横軸としては、日柄による目安である。この日柄という時間概念は、長いものでは例えばクズネック・サイクルなどの各種のサイクルが指摘されいるが、ごく短期においては、これまで相当な数の投資本や相場に関する本を読んできたにもかかわらず、殆どと言って良い程言及されず、考慮もされていない(その唯一の例外は林輝太郎氏の60日周期説くらいか)概念であるが、私見では非常に重要な概念である。

例えば、空売りなどは6か月の期限があるので、大きな出来高のあった日の6か月後やその半分の日柄である3か月後などはトレンドの転換点などの重要な節目となりやすいことが挙げられる。

それはともかく、過去30年間の日経225と東証1部全銘柄を調べた私の検証結果から言えば、アノマリーとして大体の暴落は1か月くらいで底を付けると言うことが出来る。稼働日でいうと大体23日前後で底を打っている。リーマン・ショックの時でも25日で底を付けているので、何処を起点に取るのかにもよるが、今回の暴落は戻り高値である2月20日から始まったとすれば、3月20日から25日くらいの間辺りに底打ちをするという目安が想定できる訳である。

勿論、これらはあくまでも目安に過ぎないので、前にも述べたように、これ等の目安にマーケット・メイカーがどのようにテクニカルを意識して、相場を動かしていくのかを探って行く作業が重要であることは言うまでもない。