目の前で繰り広げられる伝統の技術。
7月10日、鉾建て。
都大路に山鉾の輪郭が見え始めます。
長年の経験と知識こそ、かけがえのない財産。
シュッ・・・!!
縄がしまる音が粉塵となり、出来栄えは建方士の表情に表れます。
いま、古く美しい手は・・・
傷ついた若き手に、伝統の技術を託していきます。
長刀鉾の鉾建てで、私は素晴らしい建方さんと出会うことが出来ました。
その手の美しさに目を奪われ、刻まれた深い皺に多くの知識を感じました。
華麗で優美な鉾は、ひとつひとつの部品が人の手によって組み立てられています。
機械でシステム化された工程では決してなく・・・
本来の人間の美しさによって技が継承されてゆくのです。
それは、鉾を成す木材にも表れています。
年月の風を含んだ古い木材に、これからを生きていく新しい木材が合わさる。
鉾建ては、様々な角度から人生の色々を学ぶことが出来ると思いました。
人の「知恵」と「経験」から生み出された技術は揺るぎのない芸術を生み出します。
そしてこれはいつまでも受け継がなければいけない貴重なもの。
ずっと見ていたら、時間の経過など忘れてしまっていました。
縄の先に金具が取り付けられ、まるで編み物をするように絡めていきます。
片方から渡された縄を引き出し、同じように戻します。
1本1本の縄が、鉾の柔軟性に関わります。
丁寧に確実に縄を絡めていきます。
ひたすらこの動きを繰り返し・・・
美しい芸術が、目の前で生まれます。
しかし、この縄がらみは懸装品に隠れ、完成時には全く見えなくなるのです。
この見えないものが、あの豪華な山鉾を支えている。
だけどもう私はこの大事なものの存在を知っている。
それだけでいいんだ、きっと。
ここまで読んで下さった皆さま、お気づきでしょうか?
一眼レフの高速シャッターで切り取ったその一瞬一瞬でさえ。
建方さんの手が美しいということを。
ブログへ載せる際に写真をトリミングしたりするのですが、
その作業中にふと気がつきました。
まるで時が止まったかのように、全ての手が美しかったのです。
何だかとても感動してしまいました。
長刀鉾の作業中に、地元の小学生の集団が見学に訪れました。
先生が「金具を使って縄を編んでいるよ」と教えると、生徒達は感嘆の声!
必死にメモをとり、出発時には元気な声で建方さん達にお礼を言っていました。
作業の邪魔にならないように気をつけていれば、間近で見ることが出来る鉾建て。
これも祗園祭のワンシーン。
鉾建ての様子を動画にしました。
建方さんたちの丁寧な作業やその技術をご覧いただければと思います。
<!-- 0710 鉾建て -->
今日は、実に12時間フル稼働で動いておりました^^;
この記事を更新したら今日はパソコンを閉じます。
皆さま、引き続きどうぞよろしくお願いします!!!