思ったこと

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深きかな

2012-02-15 | 日記
何度か観ておりましたが、最近またふとこちらの動画を観ました(

終盤議論が深まっていく所が面白いですねー
荒谷さんや上島さんが「政治家や経済学者含めあらゆる日本人が「日本の家族を大事にしていく」というような『メルヘン』を根底に持ってものを考えないとおかしな方向へ行く」というような事を仰り、
それに対し西部さんが「でもこれまでそういった『メルヘン』を語ってきたいわゆる保守系の知識人など(まあおそらく出席者の田久保さん含め)が大勢「TPPに参加すべし」というような新自由主義礼賛の意見を言ってるのを見ると、それだけではうまくいかないんじゃないか」という意見を。

確かにその通りだなあと思います。TPPの話ではまさに『メルヘン』を崩壊させかねない理由での反対意見が多く出ており、それに対し「妄想の陰謀だ、考えすぎだ」という言葉だけで終わらせるのはあまりに乱暴で慎重さに欠けると思いますね。

個人的に思うのは、結局の所、その『メルヘン』の中にも個人差であったり矛盾なんかが存在するから、その点が具体的諸問題の解決においてズレを生じさせてるような気がします。
特に大きいのが、人々が感じる日本の守るべき文化伝統歴史の中で、家族的な絆の価値のようなものに加えて、「技術」というものがあることだと思います。

曖昧な言い方ですが、
「技術」というのは効率化や近代化や合理化に繋がりやすいものでしょうので、潜在的には「家族」的なものと相反する要素が強かったりします。社会的な豊かさよりも資本主義的な豊かさと繋がりやすく、そうなって行き過ぎると新自由主義的な方向とも繋がるように思います。
以前西部さんが別の動画で指摘されていましたが、石原都知事なんかは日本の保守的精神や自主独立を強く唱う保守の人であると同時に「日本の技術を世界に売り込むんだ」という技術礼賛も同時に唱う人だったりします。確かに日本の技術力はこれまでの日本人のたゆまぬ努力で培われてきた、世界に誇って良い日本独自の一つの伝統価値であったりするとは思います。しかしその「技術」を取り入れた生活によって世の中がより便利に効率的に合理化した結果、いわゆる「家族」的なメルヘンの価値が生活の中で薄れたり、知事自身が津波に洗い流されるべしと語ったような我侭な消費者目線が育ってしまった事もあるのだろうと思ったりします。

というような事もあり、多くの保守論者の中でも「国益」というものをもっと整理し純化させる事は大事なように思いますね(西部さん的には「家族」というのも実際は清濁併せ持つもので、それを長年継続していく中で培われた、そういうものを乗り越えるためのバランス感覚のようなものを大事にしていかないと、というようなさらに深い話をされていますが)。今ではそこも整理されないまま、この世界情勢の中でどうすれば日本を生き残らせることができるかという「方法論」が先行することで「メルヘン」そのものが見えなくなるような意見が横行したり、方法論先行では無くても、「国益」が整理されていないがために「メルヘン」を壊しかねない間違えた方法論を選んでしまったりと、いわゆる保守論者の中でもなにかとややっこしい事になっているように見受けられますね。
天皇陛下という一つの固定化したものだけを守ればいい、という単純な結論も、いずれ誤った方法論を導きかねないでしょうし。

そう考えたら保守というのはどのように考えていけばいいものなのか、自分でも全然まとまってないですが、これまで積み重ねられた知見だけでなく、これから積み重ねられていく知見も含まれる一種の生き物のようでかなり難しく、深いものなんだなあという感じがします。それだけに勉強していく価値のあるものであると思いますねー。