ゆとりはバカにできない

三橋さんのブログによると、竹中（平蔵）氏はあるTV番組で、正規社員について「既得権益である」と明言したようですが、これは「正規社員ももっと実力主義にして派遣社員みたいに能力次第（いやその実現状は企業収益や、時代の（半ば怪しくあやつられてる）ニーズや、上司やお偉いさんや株主に個人的に気に入られるかどうか）で天国地獄もありうる不安定な状態にせよ」という事を目的としたものでしょうね。それによって実力に見合った報酬にして企業利益を最大化しよう、ということかと。

しかしその方向を進めたら、他を出し抜く一部の実力者以外の、「実力のない、もしくは普通の、もしくは実力はあるがその方向が時代のニーズとあってない、もしくは実力はあるのに個人的事情で筆頭株主とかお偉いさんに嫌われて実力の出せる業界から干された」大半の人々にとって不安定な社会になるのでは。

身の回りでもよく、「正社員のあの人より派遣社員の自分の方が仕事してるのに、この待遇の違いはアホらしい」という言葉を聞きますが、この発言の本位は「正社員のあの人を減給昇格クビにしろ」ではないと思います。その発言をする人の本位をもっと掘り下げると「こんなに頑張ってる自分をもっと評価して欲しい、自分を安定化させて欲しい」ということだと思います。
同じように「公務員がロクに仕事もしないで安定した給料、雇用システムなのが許せない」という発言も、「公務員を不安定化させろ」よりも、自己啓発して行き着く本位は「自分をもっと安定化させてくれ」かと。正直、そりゃそうでしょうw人の生活云々よりも、自分の生活がより良くなる事が第一。仮に公務員の生活が不安定化しても、その勢いで自分の生活がもっと不安定化したら、不満の声なんか消えるわけがないw結局自分本位なんですってそこはw醜かろうがw

だから多くの国民が真に求めるのは、既得権益の打破じゃなくて「自らの既得権益化」だと思います。正直。
今までデフレや不景気でさんざ苦労してきたんだから、もう少し自分を安定して楽させてくれ、やりがいとか生きがいとかはまずは生活が安定してから、という感じだと思います。
その為に今は国が頑張って社会をもっと格差無く均一に底上げすべき、というのが妥当な方向なんじゃないでしょうかね。これは現状に対する相対的な個人主義的方向であって、未来永劫国が全ての人間を平等に管理するという社会主義とは全く違うものでしょう。こんなこと当たり前に分かることのように思えるのですが。。

かといってそうして安定を得られたら、そのより良い環境は守らねばなりません。そのための国民意識やナショナリズムは必要なものでしょうね。今現在だって日本に生まれたおかげで得られてる利得（教育生活文化伝統治安等々）は見えにくくてもたくさんある。（これもある種たまたま生まれ育った国が与えてくれた環境という既得権益です。別に本人の実力とかじゃありませんwこれもまたグローバルということで打破したいのですかねwそんな考えを余裕こいて机の上であみだせたのも、この国の豊かで安全な土壌があったればこそでは？）
そうやって個人を守るためにもこの国というコミュイニティをゴリゴリと守っていく意識は必要で、いたずらに既得権益の打破とか自由とか唄っていてはどんどん弱肉強食化、不安定化、国民という消費者が疲弊することによる需要の減少、それによる利益減少の企業弱体化、低賃金、国民総雇用不安定、国民さらに疲弊、という悪循環が進んでいく一方ではないでしょうか。竹中氏の方向はそんな末路に思えてならない。

正直、既得権益が完全に良いとは思いませんが、なんというか、企業も消費者も効率とかを負いすぎてキツキツになってると思います。今は、企業も消費者ももっとゆとりを持つ必要があるのでは。（ゆとり世代をバカにする前にw）
その方がいい商品も生まれるんですって、多分w

お遊び

今回は政治情勢とかと全く関係ない、半ばどうでもいい話をしたいと思います。

とある本に「抜き打ちテストのパラドックス」とかいうのが書かれていまして、内容は、

ある学校で、先生が「来週1週間のうちどこかの日（月～金のどれか）に『抜き打ちテスト』をします。どの日に行うかは当日にならないと分かりません」ということを言い、それに対してある生徒が
「その前提では『抜き打ちテスト』なんてできない」
と言いました。

その理由は、仮に木曜までテストがなければ、明らかに「金曜にテストがある」ことが木曜に分かってしまうので、金曜にテストは設定できない（「当日にならないと分からない」という前提に反するから）。すると、仮に水曜までテストがなかった段階で、先生はもう木曜にテストを設定するしかない。その事は前日（水曜）に確定するから、木曜にテストを設定することもできない。同じように、火曜にテストがなかった段階で、水曜にテストを設定するしかないから、それが前日（火曜）に確定するから、水曜にも設定できない。となると同じように火曜も月曜も設定できない。。
以上の事から、「『当日にならなければ分からない抜き打ちテスト』なんてできっこ無い。」という理屈です。

一見もっともらしい理屈ですけど、実際に想像してみてください。
仮に先生が「水曜日にテストを設定」していたとしましょう。
そして前日（火曜日）の段階で、みんな「水曜にテストがある事は明白だ」と思うでしょうか？？
思わないですよねw。実際は「あるかもしれないし、無いかもしれない」ですよね。
この「無いかもしれない」という選択肢がある時点で、もはやそれは確定とはいえない。
なので、実際水曜日にテストがあったとしたら、それは十分『抜き打ち』たり得てるかと思います。
この時点で上でとある生徒が述べた理屈は、「理屈通り行ってない」事になるかと。

その本では、実際テストは金曜に行われて、「テストなんかできっこない」というその生徒の予想を覆したのだから、十分抜き打ちたりえたじゃないか、という内容でした。ちょっと強引っぽい感じですが、結局何曜日に行われようが同じ事だと思います。その生徒は「できっこない」とのたまったけど、実際にテストはどこかの曜日に確実に設定された。じゃあそれが何曜日なのか、君には分かるのカネ？という話かと。その生徒の理屈を素直に展開すると、まず先週の段階で、「テストは月曜確定！」となる。でも月曜にテストは無かった。「じゃあ火曜確定！」。でも火曜も無し。。あれ、「確定」とか言って２回も外してる。。それって確定でもなんでも無いじゃん。。そんなもん、毎回「じゃあ明日しかない！」なんて言うのがアリなら、いつかは当たるでしょうよ。抜き打ちに対して片時も気を緩めず常に警戒態勢で望む、ただのむっちゃ真面目な生徒やんw無理無理、先生がどこかに決めた以上、普通に考えて金曜テスト以外は前日に「100%確定」なんてできないって。。

本では生徒の言うことも先生の言うことも正しい、というパラドックスだ、と書いていました。
でもやっぱり普通に考えて、生徒の理屈はおかしいし、実際抜き打ちは余裕で成功すると思いますね。
多分、生徒は金曜から確定を逆算して考えていったのが間違ってるのかなと思いますね。
金曜テストが確実なのはあくまで木曜にならないと分からない事で、例えば水曜の段階ではまだ確定しない。
その時点で、水曜は「テストは木曜かもしれないし、金曜かもしれない」という金曜の線も完全には捨てれない。
それは月曜も火曜も同じ。という事は、木曜より前の曜日は、「いつテストがあるか」は確定する事ができない。
だって仮に水曜の段階で、生徒のような理屈で「金曜テストはありえないから木曜しなかい」と言ってみた所で、「でも先生はアホで金曜にテストやるかもしれない。だって月火水だって、テスト無かったじゃん。。」という意見も絶対出てくる。その時点で確定ではない。だって現実はまだ残り「２日」あるから、二択の選択肢があるんだし。
とまあその辺の内容を本では「いくら御託ならべようが実際に決めるのは先生だから、先生の決めたことを外部から理屈で確定する事は不可能」という理屈を先生側の意見としていたので、自分もこの本質と同じ考えでしょうし、何より現実そうなりますしw

とまあ、長々と関係ないこと書きましたけど、要は世の中人間の理屈通りいくもんじゃありませんよ、机上で理論の整合性や美しさなんかを正したりこねくってみてこれはありえない、こうに違いない、と結論付けた事と逆の事が、現実にはいとも簡単に起こりえますよ、現実問題は現実に即しながら考えたり語ったほうがいいんじゃないでしょうか、というメッセージを暗に含んではおりません一切w。