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記憶の欠片あるいは幻影の中の真実。

与謝野晶子和歌 【火の鳥】その四

2014-05-27 07:59:23 | 〈薄紅の部屋 (和歌)〉
夏の雨淵にうつれる山山の影うち叩きさとばかり降る


水色の夏の雨降りあかつきの山の石みな濡れにけるかな


月見草雨の後なる山松のしづく散るなり黄にひらく時


ふるさとの和泉の山をきはやかに浮けし海より朝風ぞ吹く


天王寺金堂を見て西門を出づる心地は今もめでたし


水上の方より藍を染めきたる武庫の川辺の夏の夕ぐれ


袂ふり武庫の河原に降り立ちて舞はんとすなる初夏の月


一の子は病みて身丈の長きかな何時帯むすぶ附紐の上に


形あるものに足らへる人人のいのちの如く寒き冬かな


砂の上網の目つくるものの蔓何ぞと引けばひるがほの咲く

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