花さきぬ昔はてなき水色の世界にわれとありし白菊
なつかしき魔法使の春の雨わが思ひさへ桃色にする
おほらかに此処を楽土となす如し白木蓮の高き一もと
人の云ふ美くしさにはやや遠きつりがね草のゆらぐ夕風
如何にして児は生くべきぞ天地も頼しからず思ふこの頃
物云へば今も昔も淋しげに見らるる人の抱く火の鳥
若き日の心の騒ぐおもむきに桜ちるなり風立ちぬらし
雲に行き靄に隠れんここちしてなつかしきかな朧夜の路
悲しみの巡礼其処を此処を問ふ灰色の塔あまた立つ胸
わが庭の小米桜が薄より弱げになびく夕月夜かな
なつかしき魔法使の春の雨わが思ひさへ桃色にする
おほらかに此処を楽土となす如し白木蓮の高き一もと
人の云ふ美くしさにはやや遠きつりがね草のゆらぐ夕風
如何にして児は生くべきぞ天地も頼しからず思ふこの頃
物云へば今も昔も淋しげに見らるる人の抱く火の鳥
若き日の心の騒ぐおもむきに桜ちるなり風立ちぬらし
雲に行き靄に隠れんここちしてなつかしきかな朧夜の路
悲しみの巡礼其処を此処を問ふ灰色の塔あまた立つ胸
わが庭の小米桜が薄より弱げになびく夕月夜かな