mardidupin

記憶の欠片あるいは幻影の中の真実。

《馬追》

2014-09-09 10:09:45 | 〈薄紅の部屋 (和歌)〉
ある宵のあさましかりしふしどころ思ひぞいづる馬追啼けば /晶子

手にとれば青玉をもて刻まれし虫のここちに青きすいつちよ /晶子

薄青きかなしみ我す夜ごとにすいつちよの啼く秋の来れば /晶子

馬追が腰のあたりへ啼きに来ぬ草に倦きけん土に倦きけん /晶子

馬追はつひに来啼けりさ庭べの草むらなかに雨ふるおとす /茂吉

あかときはいまだをぐらしさむざむとわがまぢかくに馬追なけり /茂吉

あわただし明暮夜のまぐりさへ言問はぬかなや青き馬追 /茂吉

いつしかに耳に馴れたる馬追虫のこよひしとどに庭のうちに鳴く /牧水

やすらかに足うち伸ばしわが聞くや蚊帳に来て鳴く馬追虫を /牧水

家人のねむりは深し蚊帳にゐて鳴く馬追よこゑかぎり鳴け /牧水

川岸の草むらに居てつつましく三味をさらへぬ馬追虫は /晶子

馬追のすがしきこゑはこのゆふべ変りはてたる庭より聞こゆ /茂吉

月させば大きく光る芋の葉に馬追一つ鳴きいでにけり /耕平

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