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記憶の欠片あるいは幻影の中の真実。

与謝野晶子和歌 【火の鳥】その六

2014-05-27 08:01:45 | 〈薄紅の部屋 (和歌)〉
秋来りものの滅ぶを草の実の夕かぜすらも教へんとする


柱より裏白の葉を落し行く鼠けうとく寒き明がた


少女子の打つ皷よりはやりかにいろめく霰二月のあられ


正月やわたくし物の心地する青磁の瓶の紅椿かな


そぞろにも知らぬ世界の匂ひする臙脂の色の沈丁花かな


ある刹那ふためきて降りある刹那のどかに降りぬ春のあわ雪


山草の裏白の葉のかかるやと雪に思へるひがし山かな


紫の藤の花をばさと分くる風ここちよき朝ぼらけかな


紫の睡蓮の花ほのかなる息して歎く水の上かな


ここちよき朝の空かと思はるる矢車草の花ばたけかな

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