mardidupin

記憶の欠片あるいは幻影の中の真実。

与謝野晶子和歌 【火の鳥】その三

2014-05-27 07:58:14 | 〈薄紅の部屋 (和歌)〉
わが庭の彼岸桜は巡礼のむすめの如し風吹けば泣く


菊さきぬ寒き思ひを持つわれに似たる淋しき白き顔して


春立ちぬまたけふののち仰がんも抑へられんもかの青き空


紫を二月に着れば心やや重く湿るもならひとなりぬ


紫を常にめでたき人も着てまばゆき春の初めなりけり


飛ぶ車空より来しと春の日に袖振りかへる子をば思ひし


武庫山のみどりの中にわれ立ちて打出の磯の白波を愛づ


昨夜の花をととひの花露に濡れあしたにそよぐ月見草かな


津の園の武庫の郡に濃くうすく森ひろごりて海に靄降る


なつかしく朝じめりして匂ふかな櫨のわかばも円葉柳も

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