mardidupin

記憶の欠片あるいは幻影の中の真実。

《都あるいは初夢Rimbaud》

2015-01-08 04:59:09 | 〈紅緋色の部屋〉


本当に此処は都なのか。


桑の畑の韲やアイヌリと呼ばれる地の果てから思いも熱く旅して来た皆々の集まりではないか

紅や絹、金銀でできた阿舎が海の線上や草木砂利の上を走っている。

東京の赤いタワーや空から降りたツリーが次々と色を変え突風が雷連れて音楽を奏でる。


恋する二人の祝賀の旋律、阿舎の庭池に渡る石段橋の上で鳴り響く。

鷹姫皇女の横笛が星空に鳴り、姫巫女の舞ひ手らが金に珊瑚の簪と薄広袖でねり歩く。

天上舞台に敦盛亡霊に似た羽守たちが武濫兵の戯曲を吹き鳴らす。

蒼く暗い淵から月を目指した元柱が熱に追われて舞い上がる。

崩壊された未来と栄光が天女不二姫が雪と雷をかき混ぜ光る雪崩が氷原を造る。

最も深い海底が玉姫の誕生で噴火を起こす死界が紅彌髏たちの戦艦と真珠や珊瑚と巻き貝らの騒めきで悶耀で海は一瞬にして暗黒の静けさを取り戻す。



銀河さながら貴女の武器や葦の傘を被った大輪の牡丹の凍える叫びがする。

ワイン色や黄金虫のような袈裟を身に背負った姫巫女らの行列が長く海底から浮かびあがってくる。

山の方では鎖に繋がれた脚を蕀と莢で傷つけながら獅子らが淫乱女の乳房に歯をたてる。

森林の蟲精霊ら涙を溢さずに泣き月の姫巫女ら熱情的に叫ぶ。

鷹姫皇女は擦り硝子の大きなフランス窓部屋に引き隠る。

村々の寺院の鐘が人間の理想と未来を奏で始める。

人の骨…鎖骨や肋骨や腰、足の拇などで創られた白城から、初めて聴く旋律が流れてくる。

あらゆる伝説の神々が現れ、街には激しい熱情が広がる。

無数の星らの煌めきもコバルトブルー海も破壊され崩れ去る。

淫乱女も記憶喪失の男も休むことなく踊る深夜の祭礼に。





そして千年、貴女は地上に立った。

新しい仕事の喜びを仲間らが歌い踊りながら都最大級の大通りへと。

薄闇の明けまえに涼風の中、人々が貴女を此処で見つけ出すという山頂に棲む伝説の山の精霊らを避けられずに走り回る。

どんな優しい腕が、どんな大切な時間が貴女を連れ戻してくれるのか、貴女の眠りと私の最も小さな振動をもたらしたあの処へと?

そこは本当に都なのか。





夢は果てしなく続く。

自分が何を目指しているのかあやふやになる時がある。

雲の上を歩いているのは高層ビルにいるせいかも知れないが。

それより性格によるものが大なのだ。空を浮遊する夢を頻繁に見る。初夢もそうだった。

体調を崩すと低空飛行になる。

忙しい中の夢では真下に地球がみえた事もある。体調がいいときのものだ。

フロイトの夢判断に匹敵するほど体調管理に使えそうだ。

夢は潜在意識ばかりではなく願望が現れる。そう考えると、未来が違って見える。

都それが例えば新宿であるならばゴーストの多い街だと、此処に棲む人々の殆んどが思っている。何時からか?

この街に名前が溢れ出した時から。昼と深夜の顔が背中合わせになり始めた頃から。

どうやら早朝…暗いのに朝という時間は人の仮面が外れる。

替わりにゴーストらが輪郭と本来の名を持つ。JRの始発が動く前までの僅かな時間。

どっちみち人が列を作り急ぎ足でビルへ向かう時にはゴーストと名前を持つ人との区別など誰にもつかない。


C'est l'olive pme, et la flte caline ;C'est le tube o descend la cleste praline :Chanaan fminin dans les moiteurs enclos !

Rimbaudに喧嘩を売って分かった気になっていた十六歳の夏。

今は分からない。いや分からなくなってしまったようだ。

余分な必要のない言葉や知識、経験によるものとそうではない知識が邪魔をしている。




しかしながら
目覚めた時は爽快だった。




…………………………………………………

《嵐の深夜》

2014-08-10 07:26:28 | 〈紅緋色の部屋〉
                    
  嵐の夜に貴方と並んでいられたら
  白いブランコの素敵な
  星夜に変わる




  魂が豊かな港にいるならば
  激風さえも陽気なれる

  羅針盤が狂い始めようとも

  海図が破れ散ろうとも

  天の川を航ってるように

  嗚呼 貴方の海に

  錨をおろしたい





  今宵 貴方の中に



・・・・・・・・・

《彷徨》

2014-06-05 05:04:59 | 〈紅緋色の部屋〉
               線の細い碧白い女が
  薄絹の衣に包まれて
  寝屋からするりとぬけて
  夜咲く花の庭に降りて佇めば
  月は青く形定まらずに
  雲波より彷徨い現れる



  貴女は天に昇り何を眺めるのか
  疲れたゆえの純白なのか
  異国の人々の中にいて
  恋することもなく彷徨う貴女
  何を探しているのか
  何を求めているのか
  絶えず変化する心に支配され姿を変える貴女は
  帰らねば生きられないのか

《Serenade》

2014-06-01 05:22:12 | 〈紅緋色の部屋〉
  深夜の陶酔の中で貴女を見ていた
  目覚めると風が吹き渡り
  夜空には星が輝いていた

  貴女の夢から目覚めれば
  足は自然と動き
  愛しい貴女の部屋の窓まで 
  わたしを連れて行ったのだ 

  漂う風は暗く静かな流れとなり
  深紅の花の香りは色とともに消え去る
  夢の中の思いのように
  意地悪カラスに邪魔され届かない
  愛しい貴女に絶え入るように

  わたしを草露から取り出しておくれ
  今にも死にそうな思いのわたしを救っておくれ

  紅い唇でキスしておくれ
  わたしの頬は冷たく死人のようだが  心臓は音を立てて高鳴っている
  わたしの鼓動が聞こえるくらいに抱きしめておくれ