1961 作者未詳 2011-05-16 | 巻十 夏雑歌 吾衣 於君令服与登 霍公鳥 吾乎領 袖尓来居管 我が衣を 君に着せよと 霍公鳥 我れをうながす 袖に来居(きゐ)つつ 「『私の衣を、きみに着せな』と、ホトトギスが(言う)。私をせかすんだ。袖に飛んできて止まってね」
1960 作者未詳 2011-05-15 | 巻十 夏雑歌 物念登 不宿旦開尓 霍公鳥 鳴而左度 為便無左右二 物思(ものも)ふと 寐(い)ねぬ朝明(あさけ)に 霍公鳥 鳴きてさ渡る すべなきまでに 「物思いで、眠れぬまま夜が明け、ホトトギスが、さえずりながら空を渡ってゆく。(このむなしさは)どうしようもないなあ」
1959 作者未詳 2011-05-14 | 巻十 夏雑歌 雨□之 雲尓副而 霍公鳥 指春日而 従此鳴度 雨晴れの 雲にたぐひて 霍公鳥 春日(かすが)をさして こゆ鳴き渡る 「雨あがりの、雲と一緒にいる、ホトトギスが、春の日を目指して、(空を)越えて鳴きながら飛んでゆくよ」
1958 作者未詳 2011-05-13 | 巻十 夏雑歌 橘之 林乎殖 霍公鳥 常尓冬及 住度金 橘の 林を植ゑむ 霍公鳥 常に冬まで 棲みわたるがね 「タチバナを、林のごとく(たくさん)植えよう。ホトトギスが、常に冬まで、棲み続けられるように」
1957 作者未詳 2011-05-12 | 巻十 夏雑歌 宇能花乃 散巻惜 霍公鳥 野出山入 来鳴令動 卯の花の 散らまく惜しみ 霍公鳥 野に出で山に入り 来鳴き響(とよ)もす 「ウツギの花が、散って残念だなあ。ホトトギスが、野に出たり山に入ったり、(飛んで)来て鳴く(声が辺りに)響いているよ」