これはミスだな・・・・

ルブロン、スゴイですねえ～
見ましたか？　ブザービーター。
やっぱスターは違いますねえ～
やることが派手で、ドラマチックです。

別にそれに泥を塗りたいわけでも、ルブロンのショットがスゴクないと言いたいわけでも、ただ冷めた見方をして通を気取りたいわけでもないんですが、あの場面はどうも納得いかないんです。
きちんとやるべきことをやっていれば、あのショットは生まれなかったと思うからです。
防ぎようはいくらでもあったと。
ちょっと今回は、その点に特化して話をしたいと思います。

①マッチアップ

前回のブログでも言いましたが、ルブロンに対してはピートルスがいいディフェンスをしています。
この試合の4Qも、ピートルスがついてよく抑えていたと思います。
でも最後のポゼッション。
マッチアップしたのはピートルスではなく、ターコルーだったんです。

なぜに？？？
どして最後だけ？
それまでいいディフェンスしてたじゃん！
そう思いますよね。

でも、たまたまターコルーになったわけじゃないんです。
マジックは“わざわざ”ターコルーに替えたんです。
なぜなら、マジックはルブロンのスリーではなく、アリウープを警戒していたからなんです。

この場面は、キャブスが2点ビハインドでした。
こういう時、コーチが考えるパターンは2つ。
同点狙いの2Pでくるのか、一発逆転の3Pなのか。

ボールがルブロンに渡ることは、誰でもわかります。
そこでマジックが警戒したのは、スリーではなく、アリウープだったんですね。
わざわざピートルスではなく、上背のあるターコルーに替えたのは、それを少しでも邪魔しようという意図があったからです。

しかし、結果として中に行くという読みは外れ、ルブロンには外に行かれてしまいます。
あの場面、一度ルブロンは中に切り込むぞ、というフェイクを入れています。
そこで「やっぱり来た」と後ろに下がったターコルーは、きびすを返して外に開くルブロンを前にバランスを崩し、追いかけるのが一瞬遅れます。
それが命取りとなりました。。

ただ、ここで思うのは、たとえ中を警戒する意図があったとしても、僕はピートルスのままで良かったんじゃないかと思います。
なぜピートルスがルブロンに対していいディフェンスができているかというと、ピートルスにはルブロンに対抗できる身体能力の高さがあるからです。
ジャンプ力やスピード、瞬間的な反応の速さといった要素は、ルブロンにもヒケを取りません。

だからこそ、ルブロンのいろんな動きにもついていくことができ、ルブロンがマークを振り切れずに楽なショットが打てない、という結果につながってるんですね。
残り1分の場面では、ルブロンのドライブインについていき、最後にレイアップをブロックしています（！）
これはなかなかできる芸当ではないですよ。
跳ばれたら最後なのに、ついていってブロックまでしてるわけですから。
同じ動きをする身体能力があるってことですね。

だったら最後の場面でも、そのピートルスの身体能力に賭ければいいじゃないですか。
試合中通してずっとそうしてきたんですから。
それに、2Pか3Pかどちらか一方にヤマを張るというやり方も得策じゃないと思います。
どちらにこられてもいいように守らなくちゃいけないと思います。
なぜどちらか一方に絞ろうとするのかがわからないです。

②瞬時の判断

ルブロンのマークを外れたピートルスは、パブロビッチのマークにつきました。
このパブロビッチは完全にオトリなんですが、最初ゴール下にいて、ボールくれ～というフリをしながら3Pラインの方に向かい、そのまま3Pラインを超えてハーフラインの方へと走っていきます。
それを後ろからピートルスが追いかけていくんですが、ここで一つ注文が。

パブロビッチが3Pラインを超えてどんどんリムから遠い位置に走っていくのを、なぜ追いかける必要があるのか？と。
3Pラインを超えた時点で、もう追いかける必要ないじゃないですか。
違いますか？
もしそこでパブロビッチにボールが渡ったとしても、ハーフコートショットみたいなサーカスショットしか打てないんですよ？
打てるもんならどうぞ打ってくださいで、追いかけていく必要はないでしょ。

途中で追いかけるのをやめて、その代わりに、トップ・オブ・ザ・キーの位置にいたルブロンに対して、何らかのアクションを取ればいいじゃないすか。
スローワーとルブロンの一直線上にいたんだから、パスコースに入ってパスカットを狙うとか、パブロビッチを離れてダブルチームに行くとか。
オトリとしてリムから遠ざかっていくパブロビッチを追うより、そっちの方がよっぽど意味があります。

自分のマーク相手が打つのか打たないのか。
ルブロンはどの位置にいるのか。
その2点さえ見極めれば、いくらでも切り替え可能です。
自分のマークが完全に可能性ないとわかった時点で、即ルブロンのケアに回るべきです。
それは最初っから決めていなくても、こうなったらこうする、こうなったらこうする、という二段論法で考えておけばいいだけの話です。

③ダブルチーム

ていうか、そもそも論なんですけど、あの場面で、ルブロン以外の選手で勝負してくる可能性ってあると思いますか？
十中八九、ルブロンじゃないですか。
それはコーチでなく、普通のファンから見たってわかることです。
やっぱ打つのはルブロンしかいないだろうなって。
ルブロン以外で決められる人がいるんなら、それは拍手もんですよ。

であれば、ルブロン以外の選手を、そこまで神経質にケアする必要ってないと思うんですよ。
警戒度としては、ルブロン8割、他の人2割ぐらいでいいんじゃないかと。
なのに実際は、ルブロンに対してシングルカバー（1人しかマークがつかないこと）なんですよね。
それはもう、ターコルーかピートルスかと言ったマッチアップもの問題ではなく、とにかく2人つけてもいいんじゃないかと。

そこで思うんですけど、ルイスってあの場面何をしてたんでしょ？
サイドラインからボールを入れる、スローワーのモー・ウィリアムズの前に立ってるんですね。
でも結構距離が離れているので、実質的には何も守っていないし、モーの邪魔もできていない。
つまり、余ってるんですよ。
だったら、ダブルチームに行けばいいじゃん。

つーか、その前に、あそこでスローワーをマークする意味ってあります？
これが、まだ残り2、3秒あるならわかります。
誰かに入れて、そっからリターンパスを受けて、スローワーの選手が3Pっていうパターンが考えられますからね。
でもこの場面、残りは1秒です。
2人の人間が触ってる時間的余裕はないです。
最初に触った人が即シュート、という時間しか残っていません。

であれば、であれば、ですよ。
スローワーは、ほとんど打つ可能性がないんですよ。
その打つ可能性がほとんどない人間を、なぜ守らなきゃいけないんですか？
僕は、「最初っからスローワーにマークなんか要らない」と強く思います。
んで、その余った人を「最初っからルブロンにダブルチームを付ける」要員に充てたらいいと思うんです。

相手チームが打たせたい選手にボールを入れられた時点で、ディフェンスとしては半分負けだと思います。
いかに相手のゲームプランを崩すか、相手の打たせたい選手にボールを入れさせないか、が勝負ですから。
だったらここは、誰もがルブロンだろうと思ってるんだし、最初っからダブルチームにいけばいいと思います。

最初っからというのは、ボールがスローインされる前からです。
もう2人がかりで囲んでしまって、ボールを入れさせないディナイ・ディフェンスをすればいいんです。
さっき中を警戒して上背のあるディフェンダーにスイッチしたという話がありましたが、それこそ最初から2人つければ、内側と外側の両方をケアできるじゃないですか。
外側にピートルス、内側にターコルーかルイスをつければ、同時に両方の可能性を守れるじゃないですか。

そこでキャブスが諦めて、ルブロン以外で勝負してくれるなら、それはマジックディフェンスの勝利だと思います。
仮にそれで決められたとしたら、それは決めた人を褒めるしかない。
でもマジックとしては、やるべきことはやったという感じになると思います。
誰もが打つとわかっているルブロンにボールがすんなり入り、2Pでなく逆転の3Pを決められるなんざ、一番やっちゃいけない最悪の結果です。
お粗末です。

だからこそ強く思うんですね。
冒頭で言いましたが。
あそこで決めるルブロンはスゴイ。
確かに手放しで褒め称えるべきことです。
でも、その状況を許したのはマジックです。
どうしようもないブザービーターとかもありますが、あれは防ぎようがあった。
だから、「マジックのミスだな」と思うわけです。



残り1秒でタコちゃんの勝ち越しショット



でもいろんなミスだらけのディフェンスで



MVPに簡単に打たせてしまいました・・・・



その結果がコレ



もしマジックが負けたら、この1敗が最大の原因になるかも