建築弁護士・豆蔵つれづれ

一級建築士・弁護士・豆蔵自身の3つの目線で、近頃の建物まわりネタを語ります。

木造住宅の劣化対策 by 国総研(備忘)

2019年09月02日 | 建築物の安全

建築弁護士の豆蔵です。

国総研(国土交通省国土技術政策総合研究所)から、「木造住宅の劣化のしやすさと対策に関する報告会」の資料と動画がアップされました(会自体はH30開催)。
副題が、「雨水浸入や結露から我が家を守るための技術情報を住まい手などへ提供」というもので、5年に渡る外皮の構造・仕様の研究をまとめたものだそうで、なかなか面白いです。

メンテナンスの注意点などもあり、結構、具体的です。
例えばですが、スレート屋根の記述。まさにガッテン!です。

以下、引用。
塗装工事の際の注意点は、本体の重なり目(目地)に入った塗料をきちんと(縁切り)作業を行わないと、毛細管現象で浸入した雨水が排出されず、雨漏れを起こすことがありますので注意してください。
また、塗装工事は、塗膜の保護と美観の向上にはなりますが、防水性能の改善にはなりません。
防水性能は、スレートの下の下葺材の劣化によるもので、表面からは判断できず、小屋裏点検口より野地板を点検し、雨漏れ等の症状がある場合、葺き替えにて下葺材(防水紙)の交換となります。
引用、終わり。

以上のように、5年分の研究なので、結構細かくてボリュームがある(調査も細かくやっている)。
テーマの一つに「住まい手に向けた長持ち住宅実現のガイドライン」とありますが、到底、そのまま素人が読めるものではありません。

いずれにしても、住宅関係者としては技術資料・勉強材料によさそう、ということで、備忘でリンクを貼っておきます。

国総研 木造住宅劣化対策報告会

なお、国総研の研究なので、それなりに権威と信頼性もあり、裁判の証拠にも出てきそうな(使えそうな)雰囲気です。
全てを網羅したものではない、との注意事項・免責が記載されています。


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耐震化アドバイザー講習

2018年09月29日 | 建築物の安全
建築弁護士の豆蔵です。

今週は、JASO(NPO法人耐震綜合安全機構)の耐震化アドバイザー講習で、
耐震化をめぐる法的リスクについてお話をさせていただきました。
ゼネコン時代の友人と、4年前に書いた「耐震化の法律読本」(建築技術)が繋いでくれたご縁です。

内容はJASOスクールの方々とご相談して、パワポにあるような2部構成としました。
具体的には、耐震化相談の依頼者側のリスクとしての所有者・占有者責任についてと、
受託者である設計者・アドバイザーの業務リスク、契約責任について、お話しました。

東京都の最新の耐震化政策のお話もあり、
また、講習後には、耐震化実務の悩みどころを具体的にお聞きし、大変勉強になりました。

既存建物の調査、設計、施工には、新築とは違う技術的な難しさがあります。
加えて、マンションの場合、住民さんたちの意思決定が大変です。

さらに、意思決定の前提として、技術的な内容をどう正しく理解してもらうか、という点も非常に悩ましい。
どの程度の規模の地震でどうなるか、とか、改修したらどの程度まで改善されるか、とか。
また、既存建物の調査の限界(既存リスク・発注者リスク)についても、伝えておかなければなりません。
 
東京都では、義務化されている範囲での耐震診断はかなり進んだそうです。
ただ、商業ビルは別として、マンションでは、次にどうするかが決まっていない。
診断義務化の範囲は、緊急輸送路の沿道などかなり限られていますから、
マンション全体での耐震化の道のりは、まだまだ遠い、と言わざるを得ません。

耐震化の意識を社会全体で盛り上げるために、お手伝いできることは、まだまだやっていきます。

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大阪府北部地震

2018年06月18日 | 建築物の安全

建築弁護士の豆蔵です。

今日の朝、大阪府北部を震源とする大きな地震がありました。
被災された皆さま方に、お見舞い申し上げます。

大阪駅からほど近い「茶屋町」の計測地点でも、震度6弱が観測されたとのことです。
私ゴトですが、兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)の際、大阪市内は震度5強で、茶屋町の隣町の豆蔵自宅もひどく揺れ、非常に怖い思いをしました。
それよりも大きく、かつ、同様の断層からの直下型ですので、その衝撃を想像して身がすくみました。

小学校のブロック塀倒壊事故の映像は、衝撃的でした。
ブロック塀の倒壊は、40年前の昭和53年宮城県沖地震以降、広く知られるようになった問題ですが、
まだこのようなものがあるのか、しかも公共の建物(しかも小学校)に…という驚きと腹立たしさが、率直なところです。

塀は建築基準法違反だったとのことです。
映像によれば、コンクリートのプールの床レベル上にブロック塀が積まれているようで、崩落部分のブロックは8段(1.6m)です(高さについては追記参照)。
控え壁が見当たりませんので、塀の高さをブロック部分のみと仮定しても、原則としてアウトです。
また、道路からの高さが優に3m以上あることは、被害をより深刻にしました。

(追記)高さ制限2.2mに違反しているという報道があり、特定行政庁である高槻市の判断であればそうなのだと思いますが、
今回のようなケースでのブロック塀の高さの算定方法は、明確ではないと思っています。

学校は、建築基準法上の特定建築物として定期報告が義務付けられています。
(追記)点検の対象に塀という項目があったが、見過ごされてきたという報道がありました。

それ以外にも、少なからず危険性が指摘されていたのでは?と思わせる内容のものです。
事実関係は、次第に明らかになってくるでしょう。

古いブロック塀や大谷石積みの倒壊・崩壊は、地震時の危険の典型例ですが、看板や設備機器等の落下も恐ろしいです。
今回の地震でも、落下物の写真があちこちからアップされていますね。

地震がきっかけといえども、塀や擁壁、外壁や設備機器等が安全性を欠いていた場合、所有者は、土地工作物責任を負います。
「知らなかった」では済まされない責任です。

「今まで事故がなかったから大丈夫」という人が多過ぎる。
裁判所や相手方の弁護士さんにも、よく言われます。
事故が起きなかったのは、偶然に過ぎないのに。怒りを禁じ得ないですね。


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地震時に自宅に戻るルート

2018年01月30日 | 建築物の安全

建築弁護士の豆蔵です。

友人から、職場の災害訓練で、今日は会社まで歩いて通勤しているというメールが来ました。
東日本大震災で帰宅困難者が問題になって以降、そうした徒歩での訓練を実施する職場が増えているようです。

それを聞き、自宅と職場との距離と徒歩での所要時間を、グーグルマップで確認してみました。
なるほど、2時間半ほどかかるようです。
普段の通勤が30分ですから、もっと遠い人はかなり大変だということが分かりました。
ちなみに、実家まで歩くと7時間ほどかかり、途中、大きな川を何本も越えなければなりません。
かなり難しそうです。

事務所の建物には備蓄食料や水があるそうですが、とりあえず自宅までの詳細なルートを頭に記憶しておこう、として、ふと、
「地震の際にはそのルートは使えないかもしれない」、ということに気が付きました。

そうです。
地震の際に建物が倒壊するなどして、道路を封鎖する例は、阪神大震災でも沢山ありました。
その経験から定められたのが、緊急輸送路の指定であり、帰宅時のルートは緊急輸送路を想定しておく必要がありそうです。

東京都の「耐震ポータル」には、特定・一般の緊急輸送路の地図が載っています。
 →地図
但し、沿道の耐震化率についての表示は、特定にしかありませんので、特定以外の緊急輸送路の周囲の建物がどうなっているかは、正確に分かりません。
とりあえず、目安といった感じです。

グーグル先生の地図と比較すると、最短コースでは、山手線の外側に抜ける辺りで、道が狭くなる部分があるようです。

途中のコンビニとかの情報は、確か、2年ほど前に配付された都の防災マップに書いてあったはずですね。
と思ったら、都のHPにもありました。→防災マップ

災害ステーションとして登録しているコンビニも、ずいぶんあるようです。

豆蔵の事務所では避難訓練がありませんので、近々、自主的に歩いてみようと思います。


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壁の中で突然発火する現象…築地場外火災の原因報道から

2017年08月06日 | 建築物の安全

建築弁護士の豆蔵です。

先週は、築地場外で1000㎡近くを焼損させる大きな火災があり、また、ドバイでも再び超高層火災が発生したとのことで、
火災のニュースが続いています。

築地場外の火災の原因は、「伝導過熱」だと言われています。
明らかな火種がなくても、木造など可燃物で作られた壁の中に熱が過剰に伝わり蓄えられることで、突然、発火する現象です。

発火のプロセスについては、消防庁消防研究センターの解説が非常に分かりやすいので、リンクしておきます。
「低温発火」 
そして、今回の現象に関する豆蔵なりの理解は、以下のとおりです。

木材の発火温度(火種が無くても自然発火する温度)は、250℃程度からとのこと。
引火温度(火種があるとき)よりは少し高めですが、その温度まで上昇すれば、火種が無くても自然に発火します。

ラーメン屋というシチュエーションで想像されるのは、大きな寸胴鍋が始終、過熱されている状況です。
コンロ自体は壁から離れていても、寸胴鍋はコンロから大きくはみ出し、壁にかなり近づいていたのではないでしょうか。
つまり、壁は、寸胴鍋から発せられる熱によって、常に過熱されていた可能性があります。

さて、ここで不思議なのは、油ではなく、スープやゆで汁である鍋の温度が250℃にも達することはない、という点です。

この点について、先の「低温発火」の解説によれば、
低い温度でも、熱せられ続けることで材料の中で熱が蓄えられ、温度が上昇して、発火温度にまで達することがあるとのこと。

報道によれば、長年の過熱により、壁の中が炭のように劣化していたとのことです。
木材と木炭で発火温度に大きな違いはないようですが、水分が抜け「多孔質化」したことによって、断熱材のような蓄熱しやすい状態になり、
温度が上昇して遂に発火したということが考えられます。

このような火種の無い火災の危険性は、以前からも指摘されており、
だからこそ、火災予防条例等では、壁から火元の離隔距離や、下地が不燃材であることが規定されています。

ところが、「炎に晒さなければよい」とか(今回も壁にはステンレス板が貼ってありました)、
「高温に晒さなければよい」とか、そういった火災原因に関する思い込みによって、

「これくらい、大丈夫」

といった改修工事や使用方法がなされていることは、非常に多いと思います。

特に、古い建物でキッチンリフォームを行った場合は、可燃性の下地がそのままになっているかもしれません。
リフォームの場合、消防検査がありませんので、離隔寸法が守られていない場合もありますしね。

また、市販のキッチン用品でコンロ周りを囲ったり、何かを貼ったりするのも、熱がこもる原因になるかもしれません。
「ウチのキッチンは使用頻度が高い」という方は、見直してみてください。


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ロンドン高層マンション火災の衝撃

2017年06月15日 | 建築物の安全

建築弁護士の豆蔵です。

昨晩は、ロンドンの高層マンション火災の映像に、衝撃を受けました。

完全に、四角い炎の塊のようでした。
住民の方々の安否も気になりますが、建物自体が非常に危険な状態にあると思われますので、消火救援での二次災害が生じないよう祈るばかりです。

専門家からは、外壁が燃えて上へ広がっているようだという指摘がありましたが、
確かに、写真を見ると、パネルのように細かく区切られた外壁材が完全に炭化し、めくれあがっている部分もあります。

2年ほど前に、ドバイの超高層マンションで火災が発生した時も、同じように外側から燃え広がったようでした。
当時のブログで、日本の規制では同じようなことは想定されないが、マンションの手すりパネルから火災が広がった例があり(広島基町住宅火災)、
バルコニーにウッドデッキなどの可燃物を置くのは自殺行為ではないかということを書きました。
 当時の豆蔵ブログ

さて、今回の報道でも、「日本の規制は厳しいので、同じような火災はない」ということが言われる(ている)と思います。
日本の規制が比較的厳しいのはそのとおりで、同じような燃え方をする可能性は低いと思います。
しかし、やはり規制には穴があり、また、古い既存不適格、違法建築が大量に存在している現状では、想定外の事態が起こり得ます。
つい最近にも、糸魚川の大火があり、10日以上燃え続けたアスクルの火災があったところです。
これらも、本当に驚きでした。

特に問題だと考えるのは、
建築時からの違反建築物:確認申請と異なる工事を行い、検査を受けていない。又は、検査後直ちに、違法な改造を行う。…昔はザラでした。
建築後の改修、用途変更:確認申請を経ずに行う工事では、法令遵守の意識が全くない(なかった)。
です。

あるべき防火区画がない、というような違反物件に遭遇することもしばしばです。
特に、後者については発注者も設計者も施工者も、罪の意識が全くない時代が長く続いてきました(現在も?)ので、問題は重大です。

また、最近気になっているのは、防火材料の認定問題です。
告示で定められているオーソドックスな材料以外の新しい材料は、大臣認定を経て、防火・耐火材料として使用できることになりますが、
この認定で、後に不適合が指摘されるケースは、結構あります。

試験をかなりギリギリの状態でクリアしているので、国の抜き打ちチェックで少し条件が変わるとアウトになってしまったり、
そもそも、試験自体で不正が発覚することもあります。

さらに、こうした材料が必要な時間を持ちこたえた後、どうなるのでしょうか?
冒頭のロンドン、糸魚川、アスクルのような初期消火に失敗した場合、長時間、激しい炎に晒されるわけですが、
耐力材は別として、非耐力材・内外装材、建具などの場合、規定の時間を超えた以降の性能がどの程度担保されているのか、気になります。
(この辺は勉強不足なので、後で調べます。)

なお、報道で、「スプリンクラーは付いていなかった」というコメントがありますが(追記:当時は設置義務がなく、現在はあるとのこと)、
日本でも、共同住宅の場合は特例として、スプリンクラーの免除を受けているものが多い(特に少し前より以前のもの)と思います。
念のため。
「火災報知器が作動しなかった」という点は、まさに対岸の火事とは言えない事項です。
防火扉・区画と一緒に、改めて点検いただきたい項目です。


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古い事務所やアパートにアスベストが残っているという問題

2017年05月23日 | 建築物の安全

建築弁護士の豆蔵です。

23(火)日経新聞で、
「国土交通省は最大8万2千棟のアパートや事務所でアスベスト(石綿)が使われているとする推計を取りまとめた。」
との記事があり、気になったので、少し調べてみました。

ネタ元は、国交省の社会資本整備審議会の建築分科会アスベスト対策部会(リンク)、5月17日開催分の配付資料と思われます。
日経が指摘したのは、
「延床面積1000㎡未満の小規模建築物については、使用実態の調査が進んでおらず、横浜市の行った調査から推計すると、最大で3万棟程度で対策がなされていないと思われる。」
という点です。

「全国約130万棟のうち、6万~8万2千棟で石綿が使用されており、2万3千~3万棟では除去などの対策が取られていない可能性がある」というのですから、遭遇する確率はやや低いですが、
日々暮らす住宅や事務所で使用されていれば、継続的かつ長期的にアスベストを吸い込んで、中皮腫などを発症する恐れもあります。

ちなみに、アスベストというのは、耐火被覆などで吹付で使用される場合と、サイディングや屋根材、床材、保温材などの建材に混入して使用される場合がありますが、
飛散の恐れがあるとして平成18年以降、使用を禁止し、増改築・大規模修繕の際の撤去が義務付けられているのは、主に吹付材です。
上記の「3万棟」などの数字も、対策が必要な吹付材を対象としています。

建物にアスベスト(石綿材料)が使用されているか否かは、建築年代からある程度、推測することが可能です。
(理科の実験でアルコールランプの下に敷くヤツが「石綿付金網」だったか否かで、年齢も推測できそうですけどね。)

昭和31年:石綿吹付の使用開始
  50年:石綿吹付の禁止(以降5%含有)
  55年:石綿含有ロックウール吹付・乾式工法の自主規制
平成元年:石綿含有ロックウール吹付・湿式工法の自主規制
  7年:石綿含有1%超のロックウール吹付の禁止(以降1%含有)
  18年:石綿含有0.1%超のロックウール吹付の禁止(以降0.1%含有)

 国交省の審議会の資料が分かりやすかったので、添付しておきます。

S造の耐火被覆が中心かと思いきや、意外と新しい年代まで、RC造でも吸音材・断熱材で相当量使われていたのですね。認識を改めました。
東京都のQ&Aも貼っておきます。→Q&A

なお、古い建物を解体する際には、飛散防止の対策が義務付けられていますが、地震による倒壊では飛散は止められません(阪神淡路の現場で遭遇しました)。
現場の方は良くご存じですね。
一般の方、短期間なので極度に心配する必要はないと思いますが、念のため注意してください。


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NHKスペシャル・地盤リスク特集 所感

2017年04月10日 | 建築物の安全

建築弁護士の豆蔵です。
弁護士会の四号建築物シンポジウムの感想についても諸々あるのですが、先に、Nスペの話をします(盛り沢山な週末)。 

4月9日(日)放送のNHKスペシャル「大地震 あなたの家はどうなる?~見えてきた”地盤リスク”」は、
非常に興味深い内容であり、かつ、模型を使った実験が多数で分かりやすい説明でした。
 
建築関係者、特に木造(中大規模を除く)を扱っている設計者・施工者、販売会社(特にココ!)は必見!
→4月11日深夜に再放送予定
また、戸建に住み、または戸建の購入を考えている一般の方々にも、広く見ていただきたい内容だったと思います。
 
おさらい(→は豆蔵の補足)
 
・建物は、構造や規模に応じて最も揺れやすい固有周期というものを持っており、それに近い波を多く含む地震波が到達した時に共振して揺れが大きくなり、損傷や倒壊の原因となる。
→東日本大震災(海溝型)で問題となった、超高層の長周期地震動に対する揺れの増幅も、その一つです。
・木造は比較的短い周期(0.5~1秒)の揺れに共振する。中→高層になると、一般に周期は長くなる傾向がある。
→阪神大震災(直下型)の膨大な木造家屋の倒壊も、このような特定周期の地震波(キラーパルスとも呼ばれます)によるものと言われています。一方で、東日本大震災では、木造の倒壊はそれほど多くありませんでした。 
 
以上は、今までも言われていた話です。ここからが本題。
 
・熊本地震では、表層地盤(やわらかい粘土層)が10m程度の地区に倒壊の被害が集中しており、その原因の一つとして表層地盤でのキラーパルスの増幅が考えられる(隣接地区との比較)。
・表層のやわらかい地盤が浅いと、もっと短い周期のまま建物に伝わり、逆に表層地盤が深くなると、地表面に到達するころには長い周期の波となる。
(この点も、番組では模型で説明。)
 
・首都圏など平野部では表層地盤(関東ローム層など)が数mから数10mに及ぶが、従来の揺れやすさ予測には表層地盤による増幅を考慮していなかった。
・今回、首都圏を先行して国が詳細に調査(実地、及び過去のボーリングデータをとりまとめ)。その結果を用いて、揺れやすさ予測を変更し、年度内に公表予定。
 
首都圏の調査を先行して報じた、同日のニュース記事をリンクしておきます。
 

番組は、重い内容の割には時間不足で、知識ゼロからの方には消化不良、誤解を招く点もあったかもしれません。
引き続き、第二段をお願いしたいです。
 
もう少し深堀りしてほしかった点としては、以下。
 
・今回の警告は木造を中心としたものだが、中高層はどうか? RC・S造はどうなるか?
→中・高層バージョンも作成しているとのことですが、番組チラ見せの限りでは、影響は木造よりは小さいように見えました。
 ※説明は入りましたが、マンションなどに住む一般の人には、少し説明不足のように思いました。
とはいえ、中高層建物では、ボーリング調査で、土の種類、深さ、層厚などを把握しますが、
超高層や免震など時刻歴応答解析が必要な建物は別として、通常の保有水平耐力計算では、地盤の種別(硬軟)が構造体にほとんど影響しないようです。
建築時の想定との違いが生じないのか、気になります。
 
・耐震診断や補強に生かすには、具体的にどうすべきか?
→固有周期の点に引っ張られると逆に危険かもしれません(後述)。
 
・熊本(益城町)では深さ10mで増幅が生じたが、表層地盤の内容によってはキラーパルスが増幅する深さは変化するのではないか?
ex.関東ロームではどうか、含水率(地下水位)の違いではどうか?
揺れやすさ予測の変更には、深さ・層厚だけでなく、具体的な地盤の性状の違いが反映されているのか?
 
・主に直下型での問題であって、海溝型(比較的長周期)での影響は限定的と考えてよいか?
 
 
結局のところ、
揺れやすさの想定についても、確率の高い特定の震源、地震動を設定して想定しているのであって、
それと同じ地震が来るとは全く限らないのであるから、小手先の対策ではダメで、やはり建物の強度を上げようという話になるのだと思います。
 
いずれにしても、
・建築基準法は最低の基準であること(一度きりの震度7で倒壊を免れる性能でしかなく、想定外の事態は常に起こり得る)
→住宅性能表示の耐震等級の割増しや保険などで補う必要があること
・戸建住宅の「杭」は、基本的に地盤の支持力を補うための地盤補強であって、耐震性とは無関係であること(杭基礎ではない)
(現在行われている地盤調査が、支持力の評価であり、耐震性の評価ではないこと)
は、これを機会に、住宅業界の方々も改めて認識し、かつ、一般の方々にも知っていただきたいところです。

想定に対する安全・安心はあり得るが、自然災害に対して絶対的な安全・安心はあり得ないのだということを、
売る方・作る方もきちんと説明し、 買う方もきちんと受け止める。
個人的には、そういう社会や制度が望ましいと考えています。

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神奈川県内の耐震診断の結果が公表されました。※3/29、31に追記あり。

2017年03月29日 | 建築物の安全

建築弁護士の豆蔵です。

昨日(3月17日)、神奈川県内について、耐震改修促進法に基づく公共性の高い用途の大規模な既存不適格建築物の耐震診断結果が、公表されました。
県の所轄でない横浜市、川崎市、相模原市、横須賀市、平塚市、鎌倉市、藤沢市、小田原市、茅ヶ崎市、秦野市、厚木市及び大和市の各市については、各市から公表されたとのことです。

が、横浜市、小田原市、厚木市、大和市では見つけることができませんでした。
一応、全部の自治体のHPを見てみましたが、多くは「耐震診断 結果 公表」という検索をかけて発見する、という状況で、見つけるのはなかなか難しかったです。 

3/29追記 横浜市ではページはありましたが、入口が見当たらない。意図的な配慮かもしれませんが。 

日経朝刊には、横浜市港南区総合庁舎、茅ケ崎市役所本庁舎、聖マリアンナ医科大学病院本館などの具体名が挙がっています。
また、公表に先んじて、富士屋ホテルは耐震改修、小涌園は営業終了の予定を発表しています(悪い情報が公表される前に対策を決定し、自ら公表するというのは、企業として大切なことだと思います)。

耐震診断結果の公表、法律で定められた平成27末の期限から大幅に遅れて、昨年末ころから各地で行われています。
しかし、大都市圏では公表が遅れています。→ 先日の事務所HPのコラム

なお、診断及び結果の公表が義務付けられている建物は、全体のごく一部です。 念のため。

3/29追記

その後、27日に埼玉県(ただし一部を除く)、 28日に愛知県から結果の公表がありました。
木造による修復の予算が付いた名古屋城の天守閣も、危険性が「高い」リストに 含まれていました。
埼玉県については、県内全域同時の発表が整わず、さいたま市など一部が未公表となっています。

東京都については、公共性の高い用途の大規模建築物に関する公表については、未だ気配がありませんが、
28日、従前からたびたび耐震化率の発表が行われている「特定緊急輸送道路」の沿道建築物について、
耐震診断の「結果」ではなく、着手に至っていない建物121棟を、住所・ビル名称・ 構造・規模・用途のリストで公表しました。

沿道建築物については、倒壊した際に通行に支障を及ぼすか否かという物理的な点で対象となるため、
小規模な建物、分譲マンションなども対象になっているのが、厳しいところです。 
診断はもちろん、改修についてもかなりの補助金が付くと記憶しておりますが、
分譲マンションでは、以前、ご相談を受けた物件でもそうでしたが、人間関係の問題もあって意思決定が難しいという事情もあるようです。

3/31追記

3/29、千葉でも、県・各市より発表がありました。
千葉市はもちろんですが、豆蔵の地元の船橋、津田沼、新京成線沿線には、昭和56年(1981年)以前に建てられた大きな百貨店・ファッションビル・スーパーが多く、
近所のスーパーまで含めて診断義務の対象となっていたのに驚きました。

余談ですが、浦安市では学校以外の対象建物が見当たりません。
浦安は新しい町なので(ディズニーランドの開園が昭和58年・1983年)、古い大きな建物はない、ということなのでしょうか。

今回の公表では、残念ながら、懸念されていた事件が起こってしまったようです。
というのは、ある病院が、事実と異なり「倒壊する危険性が高い」と報じられてしまったとのこと。 
これまた、昔お世話になった地元の病院だったので、ちょっと慌ててしまいました。 

東京の結果公表は、更にハードルが高そうですね。


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災害現場で働くドローンたち

2017年03月27日 | 建築物の安全

建築弁護士の豆蔵です。
東京では、早々に桜が咲き出したと思ったら、日曜から完全に真冬に逆戻りしていました。

先週、駅への裏道を急いでいたところ、火災現場の跡片付けに行き当たりました。
火災の発生は週末のだったそうで、全く知らなかったのですが、
駅裏の密集地で木造家屋が焼失し、周辺のマンションやビルもかなり焼損しており、大きな火災だったようです(幸いに死傷者はなかったそうです)。 

通りがかったのは、焼け落ちた建物を解体、搬出をしている途中だったのですが、危険なので、周辺の道路を通行止めにして作業をしていました。
どこからどう崩れるか予測が難しいでしょうから、作業をする方々は本当に危険です。
消防の現場検証は、もっと大変なのだろうなあ、と肌で感じました。

なるほど、こういう時にドローンの達人がいれば、危険を予測しながら作業ができるのに、と思いました。 

調査の領域は、映像解析技術の発達と併せて、既にドローン実用の段階に来ているのではないでしょうか。
糸魚川の大規模火災では、損害保険会社の調査にドローンが活躍しているそうです。
確かに、プログラムに従って縦横に撮影すれば、地上から一軒ずつ調べていくのとは比較にならないほど、迅速かつ高精度な調査ができそうです。
撮影した情報は、防火・防災の研究や街づくりなど、別の用途にも活用できればよいのですが。

また、先日のアスクルの火災現場では、実際に燃えている状況の中で、ドローンによる調査を行っていたことが報じられていました。
火災現場の強風の中で調査が行えるとは驚きです。
消防は、遭難救助・雪崩捜索なども含めて、最も活躍の期待が大きい分野の一つです。

また、土砂崩れや河川災害などの土木災害においても、被害状況の把握、二次被害の防止、復旧計画の立案など、様々な用途が期待できます。
現実に、河川の監視システムや、熊本地震で被災した送電設備の復旧計画に使われているという例もあります。 

そうなると、そろそろ、飛行の安全性のみならず、
情報を一元化し、災害時などには迅速に共有するという、撮影、管理、活用のルール化を考える時期に来ているのかもしれません。
とはいえ、ドローンだけに、縦横無尽に利害関係も広がっており、官と民、国と自治体、各関係省庁間での調整が大変そうです。

現在でも通常の航空写真は国土地理院のHPで参照することができますので、それの発展形のような形になれば、一般の人も含めて広く利用が可能となりますが、
そうなると今度は、個人情報保護の問題が出てきそうです。 

 なお、ドローンの墜落事故については、2月末、工事現場でクレーンと接触してケガ人が出ています。
当然ながら、安全対策については、一層の向上が望まれます。 


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地震についてよく知ろう。

2015年09月06日 | 建築物の安全
ケンチクベンゴシの豆蔵です。

9月1日は防災の日、ということで、
テレビなどの報道機関は、大地震の検証番組が目白押しです。
非常に興味深いのですが、忙しくてあまり見れないのが残念です。

建物も、人々の動きなども、過去の経験や様々な実験を通してシミュレーションが進み、
色々分かってきたこともあるようですが、
なにせ、こうした研究の進化以上に世の中が日々変化しており、追いついていけてないように思います。

群集心理が引き起こす人々の行動によって、災害がさらに拡大することは明らかですので、
より多くの人が正しい認識をもち、「もしも」の時のことを考えるのは、
必須だと思います。

ところで。
人の思考や行動は、自らの過去の経験に左右されがちです。
今、東日本の人たちは、
地震、といえば、先の震災の経験を思い出し、その経験に従った行動をとる方が多いと思います。

しかし、地震にはいろいろな種類があり、
被害の出方も様々であるということを、理解する必要があります。
例えば、周期が異なれば、建物の破壊の有無、程度、壊れる箇所も大きく変わります。

人々の記憶に新しい二つの大地震、
東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)と兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)を
今一度、思い起こしてください。

発生する時間帯や季節、もちろん地域によっても、危険の種類は異なってきますね。
大きくは、火災と津波、といったところでしょうか。

「東日本大震災でも損傷が発生していない」ことなど、
何の安全性の証明にもなりません。
裁判所が、そういう非常識なことを言っていることに非常にイラっと来ているのですが。
誰か、教えてあげてください。

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地震保険で万事OKとはとても言えないが…。

2015年07月26日 | 建築物の安全
ケンチクベンゴシの豆蔵です。

先週は、連休明けの宿題に追われてしまいました。
裁判所は、そろそろ夏期休廷期間(通常20日程度)に入っているところもありますが、
豆蔵の多くの事件は口頭弁論ではなく、弁論準備手続で行われているため、休廷の影響をあまり受けません。

本日の話題は、来年から大幅な値上げが予定されている地震保険についてです。
あれれ? 確か、つい最近(昨年くらい)にも値上げがあったと…。

地震保険の誕生は意外と古く、50年ほど前にさかのぼるようですが、
国の援助を受け、対象を住宅に絞った現在の制度で実際に普及するようになったのは、阪神淡路大震災の後で、
現在では、全国平均でおよそ半数以上が加入しているそうです。
もっとも、
加入率には、地震に対する意識の違いで、相当の地域差があり、
古くから地震の備えが進んでいる静岡県では9割程度が加入しているそうですから、
逆に、ほとんどの人が入っていないような地域もあるのだと思います。

入っていれば安心!
と言いたいところですが、実はそうではありません。

そもそも、契約金額はベースとなる火災保険の半額までしかかけられず、
さらに、全壊認定が出なければ、保険金も全額は支払われません。
最も一般的な「一部損壊」で受け取れるのは、わずか5%です。
仮に火災保険が3000万円だとしたら、地震保険は1500万、さらにその5%となると75万円。
正直なところ、これでは内装も、基礎のクラックも直せません。

東日本大震災の液状化被害では、あまりの被害の大きさに、全半壊の基準が見直しとなりました。
保険金が支払われる方向での見直しです。

来年からの値上げは、3回程度に分けるものの、全国平均でも20%程度にもなるそうです。
火災保険は、通常、ローンの存続期間中続きますが、
地震保険は最長5年ですので、加入期間を長めに設定していても値上げの影響は避けられません。

それでも、個人的な感覚としては、やはり加入しておきたいですね。
ハザードマップで地震の危険が高いとされている東南海沿岸や東京などは、特に大きな値上げが予定されており、
地域格差もますます増えそうです。

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苦手なもの、地震×ELVの話。

2015年06月07日 | 建築物の安全
ケンチクベンゴシの豆蔵です。
怒涛の5月から、少し、息継ぎできる余裕が出てきました。

今週も、釧路で地震が続くなど、相変わらず地震が頻発しております。
先週末に全国で観測された小笠原の地震は、首都圏にも震度4~5の大きな揺れをもたらしましたが、
その結果、1万9千台ものエレベーターが緊急停止したということが、ニュースになっています。

幸いにも、閉じ込めが生じたのは14台にとどまりましたが、
大地震の備えとして、これは無視できない問題でしょう。
なにせ、豆蔵はエレベーターが苦手ですからね。

この問題がクローズアップされるようになったのは、平成17年の千葉県北西部の地震です。
この時は、なんと、首都圏で約64,000台のエレベーターが運転停止となり、78件の閉じ込めが発生したそうです。
(まあ、当時、古いビルのエレベーターは、地震が来ても知らん顔でしたが。)

それをきっかけに行政と業界団体が中心になって、被害想定がなされるようになりましたが、
首都圏で大地震が起きた場合は、1万台に近い数の閉じ込めが発生すると想定されているそうです。
そして、
それだけの数が閉じ込められると、しばらくの間、誰も対応してくれないでしょう。

最近は、病院や公共施設などで、
エレベーター内に緊急セットのようなものが設置されているのを見かけるようになりました。
中身は、ライト、ラジオ、水、食料、医薬品、そして、簡易トイレ、なんだそうです。
もっと普及すると嬉しい。
というか、ビルオーナー・管理者の方々、明日にでも発注してください。

また、エレベーターの地震波の感知にも2通りあって、
以前は、S波(主動の横揺れ)検知が標準品ですが、P波(先行する微動な縦揺れ)検知はオプション…でした。
今はどうでしょうか?
地震の性質によっては効果がないかもしれませんが、
できればP波検知で、大揺れ前に安全停止し、解放してほしいものです。直ちに改修してください。
最近は遠隔管理が入っているので、遠隔や自動で復旧もできるようです。

そういえば、最近、東京地裁の南側高層階エレベーターが交換されてきれいになりました。
防災対策も行ったのかもしれません。

考えてみてください。
大地震で、暗闇のエレベーターの中に取り残され、煙の臭いなんてして来たら。
あー怖い。
早くなんとかしてください。お願いします。

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長周期への備えが急務となってきました。

2015年06月01日 | 建築物の安全
ケンチクベンゴシの豆蔵です。
関東地方、比較的大きな地震が続いていますね。

最近目につく火山活動の活発化と結びつけてイメージしがちですが、
直接的な関連性はないようです。
(火山活動自体は、むしろ最近大人しかったのが戻ってきたという話です。)

昨晩(5月30日)夜の地震は、P波(先行する縦揺れ)を全く感じませんでした。
遠く深い場所での巨大地震特有の揺れです。
ぐぐぐっと大きく横揺れして、しばらくそれが続きました。
地下なのにあの揺れ幅だったので、地上、高層階は結構な揺れだったかもしれません。
ビルから臨時の放送も入りました。

月曜の昼間の地震は、P→S波の順で結構揺れました。
事務所で会議中でしたが、ちゃぽちゃぽとおお茶がこぼれました。

東日本大震災以降、(超)高層ビルの長周期対策は大分知られるようになってきました。
長周期地震に対し、基準法の新耐震では対応できず、倒壊や大規模破壊に至る可能性があるという話です。
遠方で起きる巨大地震によるゆっくりとした大きな揺れ、海溝・プレートで起きる地震で、
東日本や東南海地震などもこのタイプです。

最近のビルや大資本の大規模ビルは、制震装置を付けるなどして対策をしているようですが、
そうではないビルもたくさんあるのではないでしょうか。
特に、分譲マンションで比較的古いものについては、対策が必要な場合にいろいろ難しいように思います。
対策を行おうにも区分所有者に費用負担が発生し、総会決議が必要になります。

地震への備えは、一つのパターンでカバーできないのがつらいところですね。
例えば、各段に普及が進んできた免震についても、
阪神のような直下型の揺れに対しては、効果を発揮しがたいと思われるところですし。
コストの関係もあるし、技術的にも万全ではない。

対策がなんて万全なんてことはあり得ない、ということを一人ひとりが理解して、
自らの身を守ることを真剣に考える必要があると思っています。

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避難の際の足について考える。

2015年04月05日 | 建築物の安全
ケンチクベンゴシの豆蔵です。

先週の自分のブログがあまりにゆるゆるしていて、ため息が出ました。
実際は、年度末とはいえ、通常通り忙しい一週間だったことを、ご報告しておきます。

先日、千代田区の高層マンションで火災があり、ちょっとしたニュースになりました。
ドバイの火災の直後くらいだったと思います。
25階建ての20階からの出火で、それほど大きな被害にはなりませんでしたが、
原因が住人の放火だったということが驚きでした。

さて、その際に、結構の数の住民(回答数の約3割)が、エレベーターを使って避難していたということが
アンケート調査で分かったと報じられていました。

およよ…、なんと恐ろしい。という感じです。
(既述のとおり、豆蔵はエレベーターが苦手です。)

本来、火災報知器等の作動で停止するはずの一般のエレベーター(非常用ではないもの)が、
トラブルで停止せずに動いていた、ということですが、
一般のエレベーターは、乗ったはいいが、途中で停電するなどして閉じ込められる可能性もあります。

そうしたことがあまり認識されていないのか、
認識が甘く、つい、乗ってしまったのか。

なお、災害時でも、非常用電源を持つ非常用エレベーターは、基本的には動き続けます。
但し、それは避難のために動いているのではなく、消防隊が進入するためのもの。
だから、高齢者など特に避難に必要な人以外は、避難に用いてはならないことになっています。

とにかく、非常用エレベーターの知名度を上げる必要はありそうですね。

ちなみに、東日本大震災の際にも、
車で避難し、渋滞に巻き込まれて被災したという方も多かったと聞きます。
東京でも、地震直後からとてつもない大渋滞が発生し、緊急車両が全く動けなくなりました。

身近な友人らも、タクシーに乗る、親族に車で迎えに来てもらう、などというので、驚きました。
災害時に「車」を使わないということは、常識だと思っていたのですが。

一般人は足で避難する、
緊急車両や災害弱者の車を邪魔させない、
そこら辺を意識として徹底させる必要があると思います。

緊急車両が動けなかったら、燃えちゃいますよ。

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