ただ、2020年の特殊性はいうまでもなく、
退任を申し入れた大先輩が、辞めるなら後釜をと言われ、困っていたところで、たまたまつながったご縁。
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建築弁護士の豆蔵です。しばらく間が空きました。
コロナウイルスによる生活変容は、まだこの先どうなるか分かりませんが、とりあえず第1波の山を越えた?といわれる辺りで、備忘メモ的に記録してみたいと思います。
そもそも弁護士(ウチのような小さな事務所)は、属人的かつ個人的活動であるので、テレワークに大きな支障はありません。
先例も少なくないですし、以前から「どこにいても仕事ができる」ことを目指し、出先や在宅での仕事を試行していたというのもあります。
もっとも、今時の色々なサービスに助けてもらってこそ仕事できているなあ、ということが沢山あります。
依存その① クラウドサービス
今回、書面や資料のデータ保管先を、所内のNASから、googleのクラウド(ビジネス版)に切り替えました。
今ドキは、専用のアプリでローカルにデータを置くことなく使え、使い勝手はほとんど変わりません。
メールソフトのデータをクラウド上に置けば、複数のパソコンでメール処理を同じ状態に保てるのは、便利な発見でした。
ただ、相変わらず、クラウドに対する信頼不足というか、データの喪失に対する漠然とした不安もあります。
依存その② オンライン会議システム(zoom)
3月下旬に花見宴会を中止してzoomで代行した時から、仕事も飲みも雑談もzoomに依存しています。
(以前の打合せは、たまにスカイプを使っていた程度です。)
最初の頃は、参加者のうち必ず1人は入れないとか、カメラが写らないなどのトラブルもありましたが、こちらも慣れましたし、セキュリティの問題でバージョンアップを繰り返していたアプリも落ち着いてきたのか、最近は特に問題なく便利に使っています。
会議の音声は、携帯のオマケのマイク付きイヤホンを使っています。
お客さん相手では、背景の映り込みと光の加減(カメラ写りに重要)の条件に適う位置に移動していますが、これは少し面倒ですね。
窓を背にしてカーテンを引くのがお薦めといいますが、カーテンが生活感を醸し出しそうなので、背景は壁にこだわっています。
専用のドーナツライトとかいう照明が欲しいです。
なお、家でも、ノートパソコンには外部モニター、キーボード、マウス、BGM用のスピーカーをつないでいます。
書面を見るために導入したはずのiPadは、パソコンを使いながらのzoomと、手書きソフト(GoodNotes)で活躍中。
pdfへの手書きは、図面や出先でのチェックバックに特に便利です。
依存その③ 転送による電話受付代行
元々メール中心で、電話の本数は少ないですが、裁判所やお客さんからの伝言に威力を発揮。
コストはかかりますが、テレワークでは特に、こちらのタイミングで折り返せるところが有難いです(日中、買い出しにも行きますし)。
代行業者さんも、早い段階にテレワークに移行しました。当方の指示を担当グループで共有して対応してくれてるようです。
★課題★
自宅内での場の設定は、やはり少し悩ましいですね。
ちょっと横着すると、家の中心にパソコン関係・コード類が常駐してしまい、非常に美しくない。仕事とネットに生活を浸食されている感が、好ましくないです。
現時点での最大の課題は、資料と書籍の参照です。
建築裁判は、とにかく資料が多い。今は訴訟の書面作成が少ないので、データで何とかなっていますが、裁判所が再開したら難しい部分です。
法律書のオンラインサービスも始まったようですが、まだ十分でないし、技術書も必要なので、こればかりは必要に応じて事務所に行きます。
事務的な部分では、ファックス、郵便物、押印に課題があります。
特に、裁判所は未だにファックスでやりとりするのですが、早くWEB提出を本格導入してくれないと困ります(受信は外でできるが、送信ができない)。
契約書、請求書の押印、郵送は、客先次第なので、様子を見ながら当面は続きそうです。
事務員さんとのオンラインでの連携も、これからの課題です。
さて、2ヶ月後、半年後は、どんな生活を送っているでしょうか。
建築弁護士の豆蔵です。
新型コロナウィルス対策でイベント・会合のほとんどが中止になる中、民法改正セミナーは意外なほどに無事、開催していただいており、改正直前の時期ならではの空気を感じます。
(もちろん参加者数は想定より激減していると思いますが)
民法改正の注目度は非常に高く、既にあちこちのセミナーをハシゴして、今回が何回目、という方もいらっしゃるほど。
建築関係では請負の話が中心となりますが、法律の細かい話を聞くのはなかなかツライらしく、こちらも、どの塩梅でお話をするのがよいか、毎回悩むところです。
法律の話は基本的な枠組みをシンプルに、あとは具体例をたくさん盛り込んで、眠気防止対策を図っています。
さて、表題の駆け込み対策について。
とりあえず民間連合や中建審などの標準約款を使っていれば、民法改正に合わせた改定版を使うということで、慌てなくてよいでしょう。
契約書は元請から提示される、という下請の会社さんにとっても、HPで公開されている約款の変更点はとても参考になります。
オリジナルの約款を使用している場合も、もちろん改正に合わせて改定するのが望ましいですが、契約の条項が民法に優先することからすれば、とりあえず古い約款でしのぐという判断もあり得るところです。
問題は、慣習として発注書・発注請書だけの契約が横行していて、又は契約書そのものがなく、細かい事項が何も決まっていないうような場合。
改正の影響を直接受けることになります。
特に、瑕疵担保期間が、契約不適合責任の消滅時効(引渡しから最長10年)に変わる点は、注意したいです。
一方、契約書・約款があれば安心、というものではありません。
結局のところ、契約で一番大事なのは、契約内容、つまり責任範囲を明らかにしておくことだと思うのです。
形式的な契約書はあっても、定型文言がやたら羅列されているばかりで、個別契約で意味のある事項が何もない、という契約が(大きな企業さんも含めて)非常に多い。
契約に適合するか否か(契約不適合責任)の基準となり得る具体的な事項を、設計図書の特記仕様書でも、業務委託書でも、見積条件でも何でも、明記しておい欲しいのです。
駆け込みで行うべき、かつ一般にあまり出来ていない民法改正の準備は、この点に尽きると思います。
建築弁護士の豆蔵です。
国総研(国土交通省国土技術政策総合研究所)から、「木造住宅の劣化のしやすさと対策に関する報告会」の資料と動画がアップされました(会自体はH30開催)。
副題が、「雨水浸入や結露から我が家を守るための技術情報を住まい手などへ提供」というもので、5年に渡る外皮の構造・仕様の研究をまとめたものだそうで、なかなか面白いです。
メンテナンスの注意点などもあり、結構、具体的です。
例えばですが、スレート屋根の記述。まさにガッテン!です。
以下、引用。
塗装工事の際の注意点は、本体の重なり目(目地)に入った塗料をきちんと(縁切り)作業を行わないと、毛細管現象で浸入した雨水が排出されず、雨漏れを起こすことがありますので注意してください。
また、塗装工事は、塗膜の保護と美観の向上にはなりますが、防水性能の改善にはなりません。
防水性能は、スレートの下の下葺材の劣化によるもので、表面からは判断できず、小屋裏点検口より野地板を点検し、雨漏れ等の症状がある場合、葺き替えにて下葺材(防水紙)の交換となります。
引用、終わり。
以上のように、5年分の研究なので、結構細かくてボリュームがある(調査も細かくやっている)。
テーマの一つに「住まい手に向けた長持ち住宅実現のガイドライン」とありますが、到底、そのまま素人が読めるものではありません。
いずれにしても、住宅関係者としては技術資料・勉強材料によさそう、ということで、備忘でリンクを貼っておきます。
なお、国総研の研究なので、それなりに権威と信頼性もあり、裁判の証拠にも出てきそうな(使えそうな)雰囲気です。
全てを網羅したものではない、との注意事項・免責が記載されています。
建築弁護士の豆蔵です。
インフラストラクチャー第2弾、ちょっと珍しい完成直前、貯水前のダムということで、群馬県の吾妻渓谷、八ッ場ダムを見てきました。
八ッ場ダムといえば、民主党政権下でのダム中止宣言での混乱が記憶に新しいところ。もう10年も前なんですね。
しかし、治水対策としてダム計画が浮上したのは、戦後まもない頃。反対運動や論争の非常に長い歴史を経て、工事が本格化したのは平成に入ってから。
途中2年ほどの中止の後、2011年に工事が再開され、現在は本体がほぼ完成。残るは水を入れて試験をし、運用に向けた点検を行うという段階まで来ています。
この春~夏までの短い間、ダムの底からダムを見上げるという貴重な体験ができるということで、国交省関東地方整備局が募集をする見学ツアーに参加してきました。
現場の中、つまりダムの底を、バスで見学します。バスからは下りられませんので、車窓からの見学になります。
普段目にすることのない超大型の重機と、重量感のあるRCの高い壁。
その周りには、吾妻線の古い鉄橋、あとは、広い広い里山の風景。
ダムの底に当たる場所には、古くからの温泉地と吾妻線がありました。
バスの案内役をしてくれた女性は地元の方で、以前の温泉街の景色を一つ一つ説明してくれました。
今、温泉街は、吾妻線の線路と共に、ダムの上に移転し、新たな施設を整備して営業を開始しています。
ダムの底の見学ツアーは予約制ですが、非常に人気が高く、ほぼ一杯とのこと。
でも、ツアーに参加しなくても、すぐ近くに展望台が設けられ、また直近の八ッ場大橋から、ダムの景観や工事の様子を楽しむことができるようになっています。
周辺地域は、かなり賑わっていました。
近くの道の駅には、ダムカレーを始め、地元の蕎麦・うどん、産直の野菜・果物などが並びます。
さらに、ダムカレーパンなるものも登場していました。
正直なところ、ダムカレーパンはやや企画倒れの感もありましたが、物珍しさで思わず買ってしまう商品で、かなり売れてました。
ダムだけではなく、こうした美味しい食べ物も楽しめるのが楽しいですね。
インフラだけに頼っても、まあ…女性客を集めるのは難しいですから(笑)。
付近には、温泉もたくさんあります。寄って帰ったのは言うまでもありません。
さて、この夏はどこに出かけましょうか。
建築弁護士の豆蔵です。
前回の厳冬期ダム見学会から間が空きましたが、引き続き、インフラ訪ねある記を2本更新して参ります。
1本目は、世界一美しいスタバ、でも有名な、富山市の富岩運河と富岩運河環水公園です。
富岩運河は、富山駅の北口付近と日本海・富山湾をつなぐ全長5kmほどの運河で、神通川に並行しています。
歴史は意外と新しく、昭和の初期の築造で、木材などの運搬に利用されていましたが、戦後はその役目を終えてしまったそうです。
しかし、埋め立ててしまうことはせず、公園を中心に整備したことが素晴らしい!!
ここ20年ほどの間に環水公園(別名:カナルパーク)が整備され、スターバックスの店舗デザインで注目されたり、2年前には新しい富山県美術館がオープンするなど、地元と観光客に広く愛される名所となっています。
公園の景観は、それはそれは!素晴らしいものです。
特に、今回ようやく晴れた北アルプスを眺めることができました。
富岩運河の観光といえば、環水公園に加えて、富岩水上ライン運河クルーズ。
環水公園から2kmほど下流にある中島閘門(こうもん)が注目ポイントで、
パナマ運河にあるような上流下流の水位差を解消する仕組みで、2つの水門の間に船が入ってエレベーターのように上下するのを体験できます。
(閘門カードも貰えます。)
環水公園から河口まで下るコースなら、日本海沿いの岩瀬の町並みをぶらついて、ライトレール(路面電車の一種でカッコいい)で戻ってくることができます。
時間がなければ、閘門で戻ってくるコース、かわいい電気ボートで環水公園内だけさくっと一周するコースもあります。
水上から見る景色は、やはり違いますからね。時刻表を要チェックです。
富山県内は、ガラスや錫など伝統工芸品の産地が多く、デザインを中心とした地域おこしが盛んです。
和を感じさせるシンプルなものが多いですが、市内のガラス美術館の最上階の展示にはいい意味でとても驚かされましたので、是非、行ってみてください。
建築弁護士の豆蔵です。
遅ればせながら、本年も宜しくお願い致します。
おかげさまで、個人で立ち上げた事務所も、無事、3年目に突入しました。
真に建築・建設に特化して、そればかりやっていますが(時に強気と言われますが)、
おかげ様で、ビジネスとしてもなんとか成立しています。
皆さま方のご愛顧にとても感謝しております。
年頭のお休みの間、この2年間を振り返り、この先のことを考えていました。
思い出したように、弁護士マーケティングや事務所経営に関する資料なんかも目にしたりしました。
もっとも、他業界からの転職組であるため、
いわゆる普通の弁護士という仕事の仕方をしていません。
また、それに捕らわれる必要もないと思っています。
理想は、顧客と自分の双方に最大の利益があることです。
「何でもお請けします」というスタイルではありません。
弁護士業界での先例・モデルが見当たらないので、これでよいのか迷ったり悩んでしまうのですが、
結局、正解はなく、自分でやりたいようにやるしかないようです。
基本路線は外さずに行こうと思います。
昨年は、事務所外との協働がいくつかありました。
なにせ一人事務所で所内の人的資源が非常に限られているものですから、とてもありがたいことです。
ひきつづき所外との連携を充実させながら、所内も(いつかは)少し拡充できればと思います。
ITなど使えるものは、積極的に使っていきます。
そうやって時間を工面しながら、引き続き、
建築学会、CM協会、その他建築に関する業務外の活動にも色々と関わって行こうと思います。
地元・神田明神のおみくじは、中吉でした。
今は成長期、成果はこれからだそうです。
建築弁護士の豆蔵です。
たまの更新でスミマセン。
建設業界はお盆にまとめて休むこともあり、当事務所も、今週はまあまあ静かです。
当事務所も、いつもはお盆の時期に合わせてお休みさせていただくのですが、
本年は事情があって、少し前倒しでお休みをいただいたため、お盆期間も営業中。
粛々とお仕事をしています。
9月に入ると、早々に、日本建築学会大会に参加するために仙台に行く予定です。
ここ3年ほど、建築法制委員会の中の
「建築生産関係者と法規範を巡る論点に関する基礎的研究小委員会」
という長い名前の委員会に参加させていただいており、
その成果発表のために、研究協議会というもので登壇の予定となっています。
委員会は、行政出身、研究者、ゼネコン、弁護士など多種多様の面白いメンバー構成で、
研究協議会も色んな話になると思います。
学会に来られる方やお近くの方で、建築法制度に興味のある方は、覗いてみてください。
併せて共著の出版や、研究協議会の小冊子の頒布などもあります。
仙台行きついでに、これまた建築学会の企画で、
沿岸の被災地域をめぐるバスツアーというものにも参加させていただく予定です。
自分のパワポの準備などが、まだできていないのですが、少し久しぶりの仙台は楽しみです。
あとは…まだ行けていないので、
この静かな期間のうちに「建築の日本展」(六本木ヒルズ・森美術館)にも行かねば。
7月頭からの長い暑い夏も、もうすぐ終わり…なのでしょうかね?
建築弁護士の豆蔵です。
今日の朝、大阪府北部を震源とする大きな地震がありました。
被災された皆さま方に、お見舞い申し上げます。
大阪駅からほど近い「茶屋町」の計測地点でも、震度6弱が観測されたとのことです。
私ゴトですが、兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)の際、大阪市内は震度5強で、茶屋町の隣町の豆蔵自宅もひどく揺れ、非常に怖い思いをしました。
それよりも大きく、かつ、同様の断層からの直下型ですので、その衝撃を想像して身がすくみました。
小学校のブロック塀倒壊事故の映像は、衝撃的でした。
ブロック塀の倒壊は、40年前の昭和53年宮城県沖地震以降、広く知られるようになった問題ですが、
まだこのようなものがあるのか、しかも公共の建物(しかも小学校)に…という驚きと腹立たしさが、率直なところです。
塀は建築基準法違反だったとのことです。
映像によれば、コンクリートのプールの床レベル上にブロック塀が積まれているようで、崩落部分のブロックは8段(1.6m)です(高さについては追記参照)。
控え壁が見当たりませんので、塀の高さをブロック部分のみと仮定しても、原則としてアウトです。
また、道路からの高さが優に3m以上あることは、被害をより深刻にしました。
(追記)高さ制限2.2mに違反しているという報道があり、特定行政庁である高槻市の判断であればそうなのだと思いますが、
今回のようなケースでのブロック塀の高さの算定方法は、明確ではないと思っています。
学校は、建築基準法上の特定建築物として定期報告が義務付けられています。
(追記)点検の対象に塀という項目があったが、見過ごされてきたという報道がありました。
それ以外にも、少なからず危険性が指摘されていたのでは?と思わせる内容のものです。
事実関係は、次第に明らかになってくるでしょう。
古いブロック塀や大谷石積みの倒壊・崩壊は、地震時の危険の典型例ですが、看板や設備機器等の落下も恐ろしいです。
今回の地震でも、落下物の写真があちこちからアップされていますね。
地震がきっかけといえども、塀や擁壁、外壁や設備機器等が安全性を欠いていた場合、所有者は、土地工作物責任を負います。
「知らなかった」では済まされない責任です。
「今まで事故がなかったから大丈夫」という人が多過ぎる。
裁判所や相手方の弁護士さんにも、よく言われます。
事故が起きなかったのは、偶然に過ぎないのに。怒りを禁じ得ないですね。
建築弁護士の豆蔵です。
すっかり更新が滞っており、すみません。
最近の東京都の建築ニュースで気になったところ、重層長屋の新しい規制についてです。
現在、東京都のHPにて、「東京都安全条例に基づく長屋に係る建築基準等についての見直しの考え方(案)」というものに対するご意見募集が掲載されています。
長屋と共同住宅の違いは、建築物の部分(外ではない)に共用部分があるかどうかです。
現代版の長屋、特に重層長屋といわれる別の住戸が2階以上縦に積みあがるタイプのもの(⇔縦に積まないのがテラスハウス)は、実質的に、使用状況が共同住宅と変わりません。
ところが、長屋は、特殊建築物の規制を受けません。
防火・避難に関する制限が緩く、旗竿地(接道条件が悪い敷地の一種)であっても建てられる、目いっぱい容積・戸数を詰め込める、という特徴があります。
例えば、投資物件としては、非常に効率が良いのです。
都心の密集かつ狭小地には大規模重層長屋が続々と誕生し、近隣や確認申請をめぐるトラブル(最高裁平成21年12月17日判決・新宿たぬきの森事件、確認の取消)も少なくありません。
個人的には、建築物の制限=私権の制限は過度であるべきではない、と考えていますが、
この種の開発については、市民の一人として、また、建築に関わる一人として、ストレートに胸が痛むというのが正直なところです。
旗竿地における大規模長屋の規制は、既に平成24年より世田谷区で始まっていますが、敷地が300㎡未満や戸数14戸までは対象にならないなど、多くが規制にかかりません。
今回の安全条例改正(予定)も、同様に、中大規模なものの規制に止まります。
現在予定されている建築基準法改正によって、接道の規制を条例で上乗せできるようになりますが(例えば、3階建以上、行き止まり道路に接する150㎡超の長屋など)、規制の網をすり抜ける物件はまだまだ減らないのでしょう。
ご意見募集に寄せられた都民の声、きちんと聞いて欲しいですね。
建築弁護士の豆蔵です。
ネット巡回先の国交省で、非常に興味深いものを発見しました。
本業的には、3/9「所在者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法案」の閣議決定のニュースの方が重要なのですが、そちらではありません。
国土交通省 下水道への紙おむつ受入実現に向けた検討会
国交省と紙おむつ。一見、関連性が無さそうなこのテーマ、実は、以前から気になっておりました。
あんな、ポリエステルだとか高分子ポリマーだとか水に溶けそうもない塊を下水道に、って、いったいどういう話だろうか?と。
検討会の資料には、紙おむつの材料や構造の詳細も記載されていましたが、
増大する、いや、今後の高齢化社会で更に増大する紙おむつ利用が、自治体のゴミ処理や、育児だけでなく介護での重要な問題である、ということを改めて認識しました。
臭気など衛生上の問題もさることながら、体積と重さが大きく(単身3日分でなんと1.5kg!)、プライバシー性が極めて高いために、単にゴミの問題では済まないようです。
紙おむつをいきなり流せる訳ではなく、戸別の処理装置や配管ルートが必要なので、技術的にも社会インフラ的にもそう簡単な話でもなさそうです。
しかし、「水に流す」ということが実現できれば、大きな問題解決になることも確か。
さらに先の議論として、流した先で合成樹脂をリサイクル素材として抽出し、燃料化することも検討されるべき、とあります。
実際に、紙おむつを回収してリサイクルして、次の紙おむつに利用する、という実証実験も行われているのですね。
自分自身がお世話になるころには、実用化されることを切に望みます。
一般に、人間の寿命と、介護が要らない健康寿命とでは、約10年の差があるのだそうです。
下水道に頼らず、まずは、健康寿命を伸ばす日々の努力と心がけ、からですね。
建築弁護士の豆蔵です。
前の事務所の仲間で、友人で、同士でもある技術士(建設部門)兼弁護士の江副哲先生が「建築現場のトラブル相談」を出版しました。
江副さん(と親しみを込めて)は、豆蔵と同じく、ゼネコン出身の技術屋さん弁護士です。
しかも、大学が京大土木、専門がコンクリート、という点が、極めてレア。
(法曹界の皆様、土木と建築では中身がぜーんぜん違うということ、理解してくださいね。)
現場もよく知っているので、安衛法や建設業法にも明るい。
→ 豆蔵の業務範囲と被るので、色々教えてもらったりもします。
一方、法律の説明は、ビジュアルと平易な言葉で、実務家に分かりやすく。
建築・建設がらみの法律問題の基本を、いい具合に説明してるなーと思いました。
なお、弁護士が注意喚起の気持ちを込めてリスクを書いている本なので、
「ここに「セパ穴の位置が違ってたらダメ」って書いてある」などと証拠で出さないように。
→ 本当にいるんです。こういう方。
余談ですが、本のデザインは、現場っぽいというか、少し、おっちゃんっぽいです(笑)。
本屋さんに並んでたら、背中が黄色と赤なので、目立つと思う。売れそうだな。
豆蔵も頑張ります。