建築弁護士・豆蔵つれづれ

一級建築士・弁護士・豆蔵自身の3つの目線で、近頃の建物まわりネタを語ります。

地震保険で万事OKとはとても言えないが…。

2015年07月26日 | 建築物の安全
ケンチクベンゴシの豆蔵です。

先週は、連休明けの宿題に追われてしまいました。
裁判所は、そろそろ夏期休廷期間(通常20日程度)に入っているところもありますが、
豆蔵の多くの事件は口頭弁論ではなく、弁論準備手続で行われているため、休廷の影響をあまり受けません。

本日の話題は、来年から大幅な値上げが予定されている地震保険についてです。
あれれ? 確か、つい最近(昨年くらい)にも値上げがあったと…。

地震保険の誕生は意外と古く、50年ほど前にさかのぼるようですが、
国の援助を受け、対象を住宅に絞った現在の制度で実際に普及するようになったのは、阪神淡路大震災の後で、
現在では、全国平均でおよそ半数以上が加入しているそうです。
もっとも、
加入率には、地震に対する意識の違いで、相当の地域差があり、
古くから地震の備えが進んでいる静岡県では9割程度が加入しているそうですから、
逆に、ほとんどの人が入っていないような地域もあるのだと思います。

入っていれば安心!
と言いたいところですが、実はそうではありません。

そもそも、契約金額はベースとなる火災保険の半額までしかかけられず、
さらに、全壊認定が出なければ、保険金も全額は支払われません。
最も一般的な「一部損壊」で受け取れるのは、わずか5%です。
仮に火災保険が3000万円だとしたら、地震保険は1500万、さらにその5%となると75万円。
正直なところ、これでは内装も、基礎のクラックも直せません。

東日本大震災の液状化被害では、あまりの被害の大きさに、全半壊の基準が見直しとなりました。
保険金が支払われる方向での見直しです。

来年からの値上げは、3回程度に分けるものの、全国平均でも20%程度にもなるそうです。
火災保険は、通常、ローンの存続期間中続きますが、
地震保険は最長5年ですので、加入期間を長めに設定していても値上げの影響は避けられません。

それでも、個人的な感覚としては、やはり加入しておきたいですね。
ハザードマップで地震の危険が高いとされている東南海沿岸や東京などは、特に大きな値上げが予定されており、
地域格差もますます増えそうです。

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なんと今度は、ヤフオクで中古マンション?!

2015年07月13日 | 小ネタ
ケンチクベンゴシの豆蔵です。

今度は、ヤフーが、本年中に個人同士で中古住宅を売買できるサービスを始めるとのニュースがありました。
先週のamazonが始めた定額リフォーム取扱いはまだしも、
家ですか~?!という感じです。

通常、個人同士の不動産の売買は、
宅建業を持った仲介業者が、売主側、買主側のそれぞれと媒介契約を結び、
物件調査とそれらの結果の説明、相手方との交渉、契約締結に関する諸々の事務、代金決済、引渡し等を
行います。

仲介業者は、媒介契約に基づき、
宅建業法で定められた法令の規制やその他、依頼者の意思決定において重要な項目の説明義務を負いますので、
買主である個人は、一般に、物件について自分で調べなくてもよい訳です。

ところが、仲介業者がついていても、不動産売買のトラブルはしばしば生じます。
トラブルになると、
相手方への解除・損害賠償請求と併せて、仲介業者に対しても責任追及がなされます。

我々が扱う仲介トラブルとしては、
建築基準法関連の敷地に関する事項、道路とか擁壁などの説明義務違反を争うようなものが多いですね。
建基法の不確定的な要素を、どの程度の内容で説明すれば足りるか、
なかなか難しいところです。

まあ、
仲介手数料(物件価格3%+6万円が上限)も、物件価格が高いとかなりの負担になるので、
個人間で直接売買すれば、この分がお得になるはずですが、果たして…?

きちんとお互いに調査をして信頼関係が築ける個人間であれば、トラブルにも至らないでしょうが、
世の中、そういう方々だけではないですからね。

ちゃんと、危険性の周知徹底と、
契約書によるトラブル発展時のフォローをお願いします。

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キッチンリフォームまで売り出した?Amazon。

2015年07月05日 | 小ネタ
ケンチクベンゴシの豆蔵です。

本だけでなく、最近では何でも売っているというAmazonが、
とうとうリフォームまで売り出したと評判になっていたので、覗いてみました。

実際には、本当にリフォームが売っているという訳ではなく、
申し込み窓口があって、連絡を受けた出品会社が改めて説明を行った上で契約をするというもの。

ネット上で様々な設計者や施工会社を紹介し、窓口となるというサービスは、
珍しくなく、様々なサイトが運営されていますが、
かのAmazonが始めた、ということで話題性は十分ですし、ついで買い…もしやすいかもしれません。

ただ、現在のところ、
リフォームの販売は大手の3社のみで、メニューも限られており、
サイト的には全く面白いものではありません。

リフォームに不可欠な「夢」が見えてきません。

どちらかというと、面白いのは、
施主支給品(施工会社へのお任せではなく、商品を支給して取り付けてもらうもの)に使われる
水回りの様々なパーツや建材なども売っているページですね。
こうした建材サイトも最近はいろいろ見かけますが、
Amazonもやっているというのは、敷居は低いのではないかと思います。

リフォームページが充実して面白くなるころには、
一方で分かりにくくなってきて、トラブルも起きてくるのかもしれません。
ネットの世界は自己責任的に扱われていますが、
リフォームは金額が大きいだけに、ユーザーへの配慮をしっかりしてほしいです。

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