建築弁護士・豆蔵つれづれ

一級建築士・弁護士・豆蔵自身の3つの目線で、近頃の建物まわりネタを語ります。

建物と道路との切れない関係。

2015年04月26日 | 法制度
ケンチクベンゴシの豆蔵です。

先週は、持ち帰った宿題を泣きながら(ウソです)やっており、
更新をサボってしまいました。
すみません。

今週も、連休前スケジュールで、公私共々バタバタとしております。
やたらと気は焦るのですが、人間、一日にできることは限界がありますね。
(特にトシを取ると…)
今日は、もう諦めました。

先週は、空き家関連の話題が2つありました。
一つは、空き家対策特別措置法の全面施行に先立ち、
国交省が市区町村による特定空き家の指定、必要な措置のガイドライン案を公表したというもの。

そして、もう一つは、新宿区の無接道住宅の建替えに関する運用の緩和、というニュースです。

そもそも、
建物敷地には「接道」といって、4m以上の「道路」に面してなければならず、
即ち、道路がなければ建物は建てられない、
今ある建物は、建て替えができないのが原則です。

しかし、
新宿区では、建築基準法43条1項ただし書きの許可を得て、建築が認められることになっている。
その許可の基準を、緩和したというのが今回の話題。

接道に変えて、自分ちの前の通路の幅を4mに拡幅するのだけれども、
従来は道路から敷地までずっと、通路幅が4m必要だった。
それを、道路からの通路への入口部分で狭いままになっていても、許可を認めるというのです。

入口部分の住宅は、元々道路に面しているので、通路の拡幅に何ら利益がない。
むしろ敷地の一部を奪われるという損失しか生じない。
だから、入口部分の所有者の承諾を得るのは困難で、それが建替えのネックとなっていたのです。
(しかも、そういう入口の敷地を、「喉元」敷地というらしい。)

ちなみに、似たような話で、自分の家の前だけしか拡幅できない道路を「ヘビ玉道路」といいます。
(へびが玉子を飲み込んだような形の道路、という意味)

緩和の趣旨は、木造密集地の建替え促進、不燃化です。
今までの大きな原則を緩和し、通路の入口が狭いという多少の危険が残ったとしても、
目の前の危険を少しでも解決したい、ということなのでしょう。


この種の道路の話、二項道路指定によるセットバック義務などは、トラブルが多い。
近隣同士の利害関係が鋭く対立しますからね。

道路付きが弱いのは、不動産としてはリスクあり、といったところです。

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アジアの高層マンション事情

2015年04月12日 | 小ネタ
ケンチクベンゴシの豆蔵です。

外国旅行に行くと、その国の普通の住宅ってどうなってるのかな?
って思いません?

例えば、香港なんて行くと、明らかに塔状比がオカシイ細長くて高い高いマンション群がニョキニョキしていて、
どの建物も40~50階くらいの高さがあって、タワーではなくて、横にもずーっと続いてたりする。
その中のそれぞれの部屋はどうなってるのか??
と気になって仕方がない。

今月号の「建築雑誌」(建築学会の機関紙)が、アジア6都市の集合住宅の暮らしの比較を特集していて、
すっごく面白かったです。

6都市というのは、東京、ソウル、台北、北京、香港、シンガポール。
どこも旅行では行くけど、集合住宅の内部を伺い知ることは難しい。

ちなみに、香港の市街地の人口密度は東京23区の約5倍で、
一人当たりの居住面積は、わずか13㎡(大体8畳分くらい…但し、水回り等も含みます。)、
一住戸30㎡くらいの小さな部屋に、2~3人が暮らしているそうです。
(不動産やの店先に並ぶ100㎡以上の豪邸は全て、数億円相当でしたからね。)

だから、皆、寝る時間まで家に帰らない。
朝から夜まで外出中。ごはんも外。おしゃべりも外。休みには、家族総出で長期旅行に出かけてしまう。

北京など中国本土も、みんな外で夜遅くまでおしゃべりしていましたね。

一方、シンガポールでは、住宅の購入を申し込んでから入居には4年くらいかかるので、
若者たちは常に結婚を意識しながらお付き合いをしているそうです。
そして、結婚したら共働きなのだけど、
家事や子供の面倒は外国人のメイドさんがしてくれるのが普通らしい。
(それって楽しいのか?)

住宅というのが、その国の文化の基礎にあるものだというのが、よく分かりますな。
日本のような空き家問題というのは、まだ無いのだろうか?

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避難の際の足について考える。

2015年04月05日 | 建築物の安全
ケンチクベンゴシの豆蔵です。

先週の自分のブログがあまりにゆるゆるしていて、ため息が出ました。
実際は、年度末とはいえ、通常通り忙しい一週間だったことを、ご報告しておきます。

先日、千代田区の高層マンションで火災があり、ちょっとしたニュースになりました。
ドバイの火災の直後くらいだったと思います。
25階建ての20階からの出火で、それほど大きな被害にはなりませんでしたが、
原因が住人の放火だったということが驚きでした。

さて、その際に、結構の数の住民(回答数の約3割)が、エレベーターを使って避難していたということが
アンケート調査で分かったと報じられていました。

およよ…、なんと恐ろしい。という感じです。
(既述のとおり、豆蔵はエレベーターが苦手です。)

本来、火災報知器等の作動で停止するはずの一般のエレベーター(非常用ではないもの)が、
トラブルで停止せずに動いていた、ということですが、
一般のエレベーターは、乗ったはいいが、途中で停電するなどして閉じ込められる可能性もあります。

そうしたことがあまり認識されていないのか、
認識が甘く、つい、乗ってしまったのか。

なお、災害時でも、非常用電源を持つ非常用エレベーターは、基本的には動き続けます。
但し、それは避難のために動いているのではなく、消防隊が進入するためのもの。
だから、高齢者など特に避難に必要な人以外は、避難に用いてはならないことになっています。

とにかく、非常用エレベーターの知名度を上げる必要はありそうですね。

ちなみに、東日本大震災の際にも、
車で避難し、渋滞に巻き込まれて被災したという方も多かったと聞きます。
東京でも、地震直後からとてつもない大渋滞が発生し、緊急車両が全く動けなくなりました。

身近な友人らも、タクシーに乗る、親族に車で迎えに来てもらう、などというので、驚きました。
災害時に「車」を使わないということは、常識だと思っていたのですが。

一般人は足で避難する、
緊急車両や災害弱者の車を邪魔させない、
そこら辺を意識として徹底させる必要があると思います。

緊急車両が動けなかったら、燃えちゃいますよ。

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