建築弁護士・豆蔵つれづれ

一級建築士・弁護士・豆蔵自身の3つの目線で、近頃の建物まわりネタを語ります。

税制改正に空家対策。

2015年08月23日 | 法制度
ケンチクベンゴシの豆蔵です。

お盆休み、中央線、山に向かって小さな旅をしてきました。

畑の中を歩いていると、子どものころの夏休みのようでとても懐かしい気分だったのですが、
暑いこともあって、日中、外を歩いている人は全く見かけませんでした。
過疎というほどの地域ではありませんが、若い人がいる気配はあまりありません。

なんて他人事のように言っていますが、
実は、東京郊外の住宅地である豆蔵の実家の近所も、高齢者ばかりが目立ちます。
近い将来に、最も高齢者向けサービスが受けられなくなる地域なのだと言われました。
最近、びっしりと並んだ住宅地の中に、
歯が欠けたように小さな駐車場や更地を見かけるようになりました。

空家問題は、もはや地方だけの問題ではないということです。

今朝の新聞ですが、来年度の税制改正に、
空家の撤去・改築にかかる費用の一部について所得税から差し引く等の優遇措置を
盛り込む方針のようです。
5月に施行された空き家対策特別措置法では、市町村による強制撤去が可能となりましたが、
そこに至るまでのハードルはとても高い。
そこで、所有者が、相続などの機会に、相続税について思いを巡らすのと同時に
そのまま放置するのではなく、撤去するなり、改築して住むとか貸すとかするなり考えるようにする、
という動機づけになることが期待されます。

それはそうと、
今朝のテレビでは、涼しい釧路に長期滞在という素敵なシステムを紹介していました。
釧路長期滞在
長期、というのは1か月程度を指すらしいのですが、
それだけの期間、安心して暮らせるよう、行政や地域がサポートをしており、
既に年間300人くらいが滞在する実績が上がっているのだそうです。
ちなみに、春の花粉症対策でもお勧め、と書いてありました。

ここでも空き家が活用されているようです。

長期滞在できるのは、主に60歳以上の会社を退職した世代なのだと思いますが、
それでも町が活性化して喜ばしいとのこと。
イマドキ、60歳というのは若造の部類なのですね。

豆蔵も、いずれは夏冬移住生活、いつでもどこでも仕事と遊びが満喫できるようになりたいです。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

建築技術の民法改正短期連載

2015年08月13日 | 法制度
ケンチクベンゴシの豆蔵です。

お盆ですね。
7月末からの猛烈な暑さも一段落で、少しほっとしています。

さて、2年ほど前の耐震本※づくりの頃からお世話になっている
硬派な?建築雑誌、建築技術さん。
※「耐震化の法律読本」という拙著。

その昔、構造設計の部屋に行って、よく読んでたものです。
(スミマセン、買っていませんでした。)
主な読者層としては、組織設計事務所、構造設計、官庁など。らしい。
構造色が強いかと思っていたのですが、省エネ関係など実質的なテーマが多く、
執筆陣も学者から建設会社の研究者など信頼できる手堅い感じで、
結構、ただ読んでも面白いです。
(マニアックではありますが)

で、今般、民法改正について書きませんか?と
6頁×4ヶ月分いただきまして、
事務所の有志メンバー4名ほどで交代しながら、
6月号から9月号まで、書かせていただきました。
今、本屋さんに出ているのが、ようやく終わった9月号です。

豆蔵が実際に書いているのは、うち2ヶ月分だけですが、
4ヶ月に渡り、テーマと当番を決めて、書いてもらって、ダメ出しして、議論して、直して、
技術さんとのやりとりを取りまとめて、入校の遅れを謝って、
なかなか大変な作業でした。

なにせ、弁護士というのは、全員超ワガママですから。
おまけに、通常業務だけでめちゃくちゃ忙しいし。

まあ、本当に大変なのは、いつも出版社の方々ですけどね。
ホント、皆さん忍耐強くて、頭を上げられません。

ガチ建築の場で、普通に法律の話をしているので、
「難しい...。」と友達には指摘されましたが、
一応、豆蔵のパートはできるだけ読みやすく書いたつもりです。

残念ながら、国会の紛糾で、今年度の改正法成立は怪しい状況ですので、
タイミングが早すぎたような感じになっていますが、
また来年、1年遅れで成立したころにでも、思い出して読んでみてください。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

免震ゴム交換中の法的扱いについて

2015年08月02日 | 法制度
ケンチクベンゴシの豆蔵です。

免震ゴムの不正発覚後、4か月半が経過し、
現在のところの対応としては、製造会社が全数を交換することになっていますが、
全部交換するのに少なくとも数年は期間がかかると言われています。

というのも、
交換するための免震ゴムの大臣認定も取り消されていますので、再取得が必要ですし、
それから製造に着手するとしても、
対象となる棟数が100棟程度と非常に多く、必要な免震ゴムの個数も数千個程度に上るようですから、
とてもすぐに製造できるような分量ではない、ということのようです。

一方、製造会社は、建物の設計はできませんので、
不正材料を使用した建物の構造上の安全性の検討は、設計者に協力を求める形で行われているようです。
また、免震ゴムの交換の具体的な施工方法や、工事中の構造検討なども、
施工者や設計者に委ねられている状況です。

免震ゴムは、不測の事態に備えて交換できるように設計しなければなりませんので、
理論上は交換が可能ですが、
現実には、施工や搬入スペース、ジャッキアップの箇所や方法など、いろいろ難しい問題があるようです。

工事に際しては、
所有者・設計者・施工者・製造会社で合意書を作成して、
費用やリスク等を製造会社が負うことを明確にする必要がありますが、
具体的にどのような工事を行うのかが、一部の設計者・施工者以外に見えにくく、
不安をさらに広げていたようです。
(合意書を作成する弁護士に理解させるのは、とにかく大変でしょう)

今般、国交省が、
新築工事中に事件が発覚した建築物に関する「仮使用認定」の取扱い等について
「免震材料の交換改修工事中の建築物の安全性のガイドライン」というものをまとめ、
その中で、具体的な交換方法のモデルケースを示しました。
ガイドライン

共通理解の前提となるものであり、
また、紛争になった場合の評価基準となり得るものとして注目したいです。

また、6月に会社が発表した外部弁護士による第三者委員会報告書に続いて、
7月末に、国交省の第三者委員会の報告書が公開されました。
国交省 第三者委員会
大臣認定という制度がそもそもどうなのか?など、
会社側の目線とは全く違うので、なかなか興味深いものです。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする