北岳山麓合唱団

ソウルジャパンクラブ(SJC)の男声合唱団です。毎週火曜日、東部二村洞で韓国の歌と日本の歌を練習しています。

景福宮打令(その1)

2015年10月14日 23時05分42秒 | 合唱

10月も半ば。肌寒くなってきたソウルですが、いかがお過ごしですか?11月と12月で、CEO合唱団との共演も含めて計3回(!)の舞台が控えています。我々も忠信教会での正規の練習以外にも、カラオケボックスを利用した自主練習と、いよいよ練習に拍車がかかってきました。

今日はおなじみ、といっても、我々合唱団にとっておなじみ、という意味ですが、景福宮打令(タリョン)について、私なりの解説を行いたいと思います。

今日は第一回目として、打令(タリョン)とは、何を意味するのか?考えてみたいと思います。

韓国の民謡は〇〇〇打令(타령, タリョン)という曲名がずいぶん多いことに気づきます。かといって、韓国の人に「タリョンって、何ですか?」と質問しても、なかなか要を得た回答が得られないのです。今回、この原稿を書くために打令(タリョン)について、いろいろ調べてみました。

打令(タリョン)の語源はいろいろな説があるのですが、調べた中で一番、説得力があったのは、巫女(みこ)が行う神事を意味する妥霊(타령,タリョン)という言葉が語源であるとする説です。

我々日本人にとって、巫女(みこ)さんというと、神社でよく見る、白と赤の装束を着た女性でしょうか?韓国では巫女さんのことをムダン(무당)と呼ぶのですが、イメージとしてはこんな感じです。韓国のムダンは全身で踊り歌いながら(韓国語では굿、クッと言います)神霊とのやり取りといった神事を執り行うのですが、これが時代を経て意味が変わり、全国各地で歌い継がれてきた民謡一般を打令(タリョン)と呼ぶようになったとのことです。

 

詳述はしませんが、韓国でムダンというと、いろんなイメージがあります。迷信だと忌み嫌う人。韓国人の精神の源流であるという人。占い師だという人。伝統舞踊の継承者、つまり一つの芸術として鑑賞する人。教科書的な説明をすると、心霊と現世の人をつなぐ仲介者の役割をする人ということになるでしょうか。李氏朝鮮時代は、人々の未来を予言したり、あるいは病を治したりすることもムダンの重要な役割であるとされ、それなりの社会的地位があったそうです。

今日、ビルの立ち並ぶ江南ではなかなかムダンの姿を見られませんが、上の写真を見ると分るように、お坊様やら、仙人らしき人や、昔の王様らしき人や.....ともあれ、いろんな神様のビビンバ(まぜご飯)という感じですね。

韓国人、とりわけ韓国の人口の40%近くを占めると言われるキリスト教の信者の方にとってはほとんど縁のない存在でしょうが、ムダンは韓国の人の精神世界に深く根を下ろしており、江北の下町に行けば、今でもあちこちでムダンによる儀式を見ることができます。