良い子、悪い子、こまりん子

幼児教育20余年。多くの子ども達を育て、ママ達の悩みに耳を傾けてきました。辛口アドバイスも含め、子育ママ達にエールを!

大きな視野での子育て

2006-09-15 23:52:29 | すてきパパママにご提案
 老眼になりますとね、いろいろと困ることは多いものです 
たとえば・・・スーパーでお買い物をする時、値札がよく見えません お薬屋さんでパッケージや小瓶を手に取っても、ラベルの裏側の効能書が見えません 美容室では、持ち込んだ文庫本も雑誌も読めません
 そして、ちょっと自分でも予想外だったこと・・・それは、車を運転していて、地図が見られないこと、なんです

 車好きの私は、運転も大好きです 
どこか、初めての場所に行く時、今までは電車利用ばかりで行っていたところに、次は車で出かけようと思った時などは、必ず、前日から地図をチェックし、そして、運転中も必ず、助手席に地図を広げて、信号待ちの時間などに、しっかりとチェックをして運転をしたものでした

 ところが、老眼になると、その地図が見えないのです
それが薄暮の時間などに重なると、たちまち地図は、涙の海の中の「○や□」「点や線」になってしまいます

 ということで、二月ほど前に、車を乗り換えた時、私も主人も、躊躇することなく、カーナビを取り付けました
 賢いカーナビは、いろいろと学習、チェックをしては、おしゃべりまでして、ルートを案内してくれます 画面にピッとさわれば、違うルートだってすぐに見つけてくれる 主人も私も、まるで子どものように、大騒ぎ、大はしゃぎで出かけました

 けれど、私は途中で、何かが今までとは違う・・・何か、すっきりとしない・・・何か物足りない・・・そんなふうに感じたのでした いったい何だろう?こんな親切な、こんな便利なものなのに、なぜ、私は違和感を感じてしまうのだろう???

 しばらくは運転を続けながら、ずっと考えていました そして、カーブを曲がりきったとたん、目の前に急にパッと開けた視界の中に飛びこんできた「大きな海」を見て、私は突然、気づいたのでした

 そうなんです。地図を見て運転している時には、3キロ先の渋滞はわかりませんでした 300メーター先に、右折専用のレーンがあるから、気を付けないといけない、ということもわかりませんでした
 でもね、自分が今、どんなところを運転しているのか?この都市部の、どのあたりにいるのか?この半島の、どのあたりを進んでいるのか?そういうことを、大きなビューで知ることが出来ていたのです。
 もちろん、カーナビでも、縮尺を上げれば、地図と同じように見ることは出来ます しかし、あの小さな画面の中では、それを実感することはできません

 要するに、カーナビは、とってもとっても細かいことに親切で、至れり尽くせりに教えてくれます。けれど、常に「自分が今どこにいるのか?」ということを、小さな世界の中で知らせてくれて、どちらかと言えば、すぐ目先の道を詳しく知らせ、リードしてくれています

 言い換えてみると、自分の目先を、とっても明るく照らしてくれてはいるのだけれど、ずっと先、そして、少し距離を置いた「まわり」は見えていないのです

 もちろん、カーナビは、便利に使っていますよ とっても有り難い文明の利器です
 でもね、私は「目先を明るく照らす」「ちょっと先は見えていない」「後ろや距離をおいたまわりは見えない」ということに気づき、そこから全く別のことを考えたのでした。

 現代の子育て・・・それは、とっても「カーナビ的」だなあ、って
何でもかんでも、ものすごく詳しく、丁寧に教えてくれる 到着予想時刻、目的地までの距離などまで、正確に知らせてくれる・・・
  こんなことをすれば、こうなりますよ
  こういう教材は、子どもの右脳を育てます
  時代は21世紀。これからの子どもは、○○が必要
  ~~をすれば、逆上がりは簡単 などなど・・・

 私がカーナビを画期的な魔法の機械と思うように、世の中の親たちは、カーナビ的な「子どもの○○」に飛びつき、重用し、信奉します

 でも・・・
子育てだからこそ 時にはカーナビではなく、その県全体を見渡せるような地図、その地方全体を見渡せる地図、国全体を見渡せる地図を広げて、自分のルートや位置を感じることも必要ではないか? そう痛感したのでした