もう随分と古いウィスキーです。かれこれ10年ほど前のものに
なるでしょうか。
カリラのシングルカスク、1992年のヴィンテージです。
当時は、高値の花だった花と動物シリーズが流通在庫から消え、
「カリラ」の名前が幻だった時期でした。
そのなかで忽然と現れたヴィンテージ物。
それまで知っていた15年物とは違い、ピートに加えて焦げ臭い
風味も加わった、カリラのなかの真打ちのような味わいに、想像を
越えたノックアウトを受けたものです。
わずか200mlしか入っていないものでしたので、確か何かの
記念日に開封し、その後も極々限られたタイミングで味わって
きました。それが、今回最後の一滴となったものです。
さすがに時間が経過していますので、52.9%のカスク・ストレン
グスは失われて45度前後になっていたと思われますが、アイラの
大地と風を髣髴とさせるピートが前面に出てきて強調され、ソル
ティでオイリーなミドルがボディの大半を占めるなど、いかにも
アイラ島のウィスキーであることを主張するかのような、王者の
風格を表していました。
もう、このようなカリラは樽買いでもしない限り再会できない
でしょう。
ふたたび幻に戻る時がきたようです。
感謝!