goo blog サービス終了のお知らせ 

マックいのまたのMalt Whisky Distillery

モルト好きで株式公開/上場(IPO)の経営戦略,マーケティング,M&Aを支援する経営コンサルタントのプライベートブログ

ウエストランド蒸留所 試飲会 

2015-10-07 11:17:48 | グルメ
池袋のJ's Barさんにお声をかけていただきまして、アメリカ・
シアトルの新興モルト・ウィスキー蒸留所「ウェストランド」の
試飲会に出掛けてきました。

westland-distillery.jpg

今回は、オーナー創業者のマット・ホフマン氏が来日しての
プロモーションです。

ウエストランドの創業は2010年とのことですので、2~4年
熟成の若いウィスキーを都合7種類ほどテストさせていただき
ました。

ご本人と直接やり取りさせていただいたのですが、大学で蒸留酒
作りを学び、アメリカで現在メジャーなバーボンの前にはライ・
ウィスキーの歴史があること、地元のシアトルがモルトウィスキー
作りの条件が揃ったパーフェクトな土地だということで始めた
そうです。

ご本人は、もちろんアメリカ人ですから、上昇志向とともに非常に
開けたフランクな方で、スコットランド以外で初めてモルトウィ
スキーを作った日本をとても尊敬しているとのこと。

今後は、自分たちでも製麦(モルティング)を行って、いずれ100%
ワシントン州産の麦でウィスキーを作りたいそうです。

さしずめ現代のマッサンというところですが、日本には似たような
時期にウィスキー蒸留を始めた秩父の肥土伊知郎さんがいますので、
これからよく似た二人として比較対照されていくでしょう。

今後が楽しみです。

matthofmann.jpg


感謝!

 


アードベッグのつくり方

2015-09-25 10:00:00 | グルメ
誰が言ったか「モルトの聖地」ことスコットランド・アイラ島。
佐渡島程度の小さな島に8軒ものウィスキー蒸溜所があって、
しかも煙臭い正露丸のようなウィスキーを作っていることで有名
という理由ですから、いいことなのかどうなのか微妙ではないか
と思っております。

さて、その正露丸のようなクセの強いウィスキーを作る島のなか
でも、一番はどれだ?という話になれば、アードベッグをおいて
他にない。

島南側のエレン港から、A846号線という、国道なのにもかかわ
らず中央線のない両側一車線の田舎道を東進すると、1km足らず
で次々と3軒の蒸留所に遭遇する。その一番奥がアードベッグ蒸留所
だ。

ardbeg01.jpg

アードベッグの規模は小さく、手前のラフロイグやラガヴーリンには
スチルが6基もあるのに、ここは2基しかない。従業員も少ない。

ardbeg02.jpg

まるで田舎者が気合と根性で酒を作っているというような印象だ。

だから、一番クセの強いウィスキーが聖地の”らしい”イメージに
合うのではないだろうか。

さて、極東の島国・首都東京のオシャレなエリアとして有名な青山に
ニッカ・ウヰスキーの本社ビルがあって、地下にはメーカの名前を
冠したバーがある。もちろん、ここもまるで聖地のように巡礼者が
やってきて感激している様子が繰り広げられている。

そんななか、決して白眉ではないが、いかにも”らしい”ウィスキーが
コスパ良く楽しめる。それがブレンダーズ・ウィスキーの12番。

ardbeg-tsukurikata.jpg

例えば、余市蒸溜所を工場見学するとテイスティングできるヘヴィ
ピートな10年物を髣髴とさせる”秋田の燻りがっこ”のような印象
のウィスキーだ。レシピは、Sherry&Sweetが9%、Peaty&Saltyが14%
Woody&Vanillicが7%、Fruity&Richが15%、Malty&Softが25%、そして
グレーンのWoody&Mellowが30%となっている。

予め断っておきたいのだが、これを飲んでもアイラ島のウィスキーを
思い起こすことはない。強いて言えばラガヴーリンが近いか。それは、
麦の種類から製造プロセスまでが良く似ているからという理由だと
思われる。

しかし、今ここで、先のレシピのうち、Sherry&SweetとFruity&Richの
割合を入れ替えたら?

Sherry&Sweetを15%にし、Fruity&Richを9%にしてみたら、あら不思議
お隣の気合と根性で作られているようなアードベッグに早変わりして
しまう。これで面白いのは、より甘いはずのSherry&Sweetを増量して
いるにもかかわらず、よりクセの強い正露丸のような風味が増すことだ。

つまり、ウィスキーのブレンドにおいて、最終形のイメージに近づく
ためには、より近い印象の原酒を選べばよいとは限らないということ
である。

ふ~ん。ということは、もっと枠を広げて考えれば、シーバス・リーガル
もバランタインも、ジョニー・ウォーカーも、そこそこ似たウィスキーは
ブレンド次第で作れるということ。

じつは、これがウィスキーの美味しさの秘密です。

だから、聖地とか地酒とかラベルとかブランドとか一切(というと言い
過ぎだけれども)関係ないんです。少なくとも、炭酸水で割って飲むの
にはまったく関係ないでしょう。

そんなもんです。日本人は求道精神が強いのでこだわりすぎ。
世界はもっと質より量ですよ。世界の広さに感謝しましょう!

感謝!



ワイン会で他流試合をした結論

2015-06-12 10:25:01 | グルメ

プロのシニアソムリエの解説付きで、ワインを都合6~7本ほど
テイスティングさせていただく機会に恵まれたのですが、それは
素晴らしい体験で、もしまた機会があれば飛んで行って参加した
いほどの充実ぶりでしたが、それはそれとして私には他流試合を
したという目的がありましたので、総括をしておかなければなり
ません。

ワインとウィスキーを同列に扱うことにそもそもの違和感がある
のは承知のうえで、ブレンダーが原酒の特徴を掴んで美味しさを
作っていくというプロセスの観点からみて感じたことは、やはり
原酒のもつポテンシャルが最重要ということです。

例えば、ワインの場合、産地によっては初めから複数のブドウを
ブレンドして生産するのがスタンダードになっていることがあり、
その結果、その地域のワインの特徴を作り出しているという事実
です。それは、好き嫌いを別にして、生産者の方々がこれまで
積み上げてきた創意工夫と技術と伝統のたまものですから、尊重
すべきということです。もちろん、そのうえに新しい創作を行う
ことは許されるでしょう。

私のような門外漢が出掛けていって、もしお役に立てるのであれ
ば、その部分で従来とは異なった視点での付加価値が提供できる
かどうかということだろうと思いました。

さらにその上で言えることとしては、ワインの方がウィスキーに
比べて、(アルコール度が低いためか)香りも味わいも繊細である
ことが多く、プロの指摘を受けて初めてなるほどと感じられる
こともありました。

このあたりは、より多くのトレーニングを積む必要がある領域で、
言語外に感じているものを言語化する努力が求められると思い
ますし、さらに異分野の領域に出ていって学習することもアリ
かとも思いました。

一方、同じ酒に関する趣味嗜好という観点で言えば、結局のところ
「お酒が美味しい」というのは、ボディなどの熟成感をもって
「美味しい」と表現しているのであって、色や香りや簡単に言語
化できる味などは、美味しさを演出するひとつの要素に過ぎない
ということでもあります。

そういったこれらのことを統合すると、やはり素材の味わいを
きちんと伝える酒こそ、美味しいお酒ということになると感じ
ましたし、ただ酔うためだけでない飲み方がそこにあるとも
再認識しました。

ブレンダーの結論としては、調香師になる勉強でも始めようか
思ったところです。

にほんブログ村 酒ブログ 洋酒へ
にほんブログ村


感謝!

 


GRAN CALETA 1995

2015-06-11 10:11:06 | グルメ
今回のワイン会の酉を務めた弩級のワインが、スペインのカレータ
1995年でした。20年ものです。

gran_caleta_1995.jpg

さすがにシニアソムリエが酉に出してくるだけあって、開栓直後は
まったく開いておらず、30~40分ほどしてから少しずつ開いて
くるフルボディのなかのフルボディでした。

とはいっても、ムートン・ロートシルトのようにコンクリートのように
ウルトラ重く動かないワインではなく、大きな真球がゆっくり転がる
ように少しずつ少しずつ色々な顔を見せるのです。いや、まったく
見事のひと言で驚きました。

私はあまりスペインのワインを飲んだことがないのですが、決して
甘すぎることなく渋すぎることなく、非常に高いバランスで全体の
骨格を構成しており、まるでワインを口に含んだこちらが抱かれて
いるかのような錯覚すら感じさせるものです。

プロの解説によれば、テンプラニーニョという種類のブドウ100%
とのことで、メジャーな品種ではない、野生種のような土臭さが
特徴とのことです。

インポーターが貼ったラベルを転記すると「深い照りのある魅惑的な
赤茶色。熟したチェリーやプルーンにトースト香が加わった複雑な
香り。凝縮した果実の甘みと酸、なめらかなタンニンが一体となって
口中を満たします。イベリコハム レバーパテ、ハンバーグやステー
キなどによく合います。」とあり、転記している間にも口の中に豊か
で深い味わいが蘇ってきました。

ぜひまた飲みたい一本でした(でも20年もの、笑)。

感謝!

BAROLO CALDIROLA

2015-06-10 10:02:54 | グルメ
私が参加するから、という理由で用意してくださったのが、この
素晴らしいバローロでした。もちろんイタリア・ピエモンテ産。

歯が浮くようなお世辞の社交辞令だとしても、こんなに嬉しい
ことはありません。感謝していただきました。

barolo_caldirola.jpg

メインラベルの下にサブラベルが貼られていますが、カルディ
ローラという作り手のワインです。

バローロとしては重すぎず軽すぎず、だからといってバローロの
風味を失っているわけでもなく、しっかりとバローロしながら、
すっと口の中を通っていく、いい意味で水のようなワイン。時間を
おいて後から味わいが立ち上がってくるとでも表現する方がいい
のでしょうか。

感謝!




SOLE VIVO

2015-06-09 10:05:42 | グルメ
今回のワイン会では、都合6種類くらいをテイスティングしたの
ですが、白にはあまり興味がなく、もっぱら赤ばかりが好みという
個人的な趣味嗜好を反映したのか、一部のボトルしか写真に記録
していないということに、後になって気づきました。

そういう訳で、数本あった他の白を飛ばして、いきなりイタリアの
赤ワインです。

sole_vivo.jpg

これは、トスカーナのサンジョベーゼ100%ワインで、特徴と
してはベリー香強く、桑の実のような甘い香り、しかしながら味は
あっさりというところでした。

感謝!




CHATEAU SABLE ROUGE

2015-06-08 10:35:55 | グルメ
私個人の趣味からは少々脱線いたしますが、昨今はもっぱらウィ
スキーのブレンドに興じておりますので、ブレンダーとしては、
様々な種類のお酒や香りを味わったうえで、さらに言葉で表現
する、というスキルを高めなければなりません。

というのは能書きで、友人でいつもお世話になっている、シニア
ソムリエの野崎さん主催のワイン会に出掛けました。

シニアソムリエというのはソムリエのなかのソムリエで、ソム
リエになりたいという方のためにソムリエ講座を開いてレクチャー
する、ソムリエの先生です。

そういう方ですので、畑違いとはいえ、香りや酒造りに関する
疑問や質問については、お互いに理解し合えるところがあるだろう
と思いまして、いつも漠然と感じている疑問なども抱えつつ、
テイスティングを楽しみにしていました。

開始時間に合わせて会場に出掛けると、ソムリエ仕込みのワインが
開栓されて乾杯を待っています。当然ですが、最初の一本はボル
ドーの白でした。

chateau_sable_rouge.jpg

もう最初から勉強になるのですが、プロの方というのは、シャトー
の名前(=ブランド)だとか、格付けだとかに左右されて飲んだりは
しません。

では何を基準に選ぶかといえば、ブドウの種類や作られた年の気候
です。

これは、最初の一本めということもあったと思いますが、シャルドネ
からスタートでした。

シャルドネのワインは有名ですが、プロの方によると特徴はあまり
なく、作り手によって変わるのだそうです。この作り手は樽熟成で
樽香がしっかりあるとのことでした。普段ウィスキーで樽香と言っ
てる者からすると「少し感じられる」という程度でしたが(笑)

あえての特徴としては、スラン醸造という製法だそうです。

感謝!



We'll tak a cup o' kindness yet.

2015-05-22 09:44:15 | グルメ
とあるバーの奥の壁に貼られたプレートの文字。

wewilltakacupofkindnessyetforauldlangsyne..jpg

英語とゲール語が混ざって書かれていますし、英語ですら口語が
含まれているので、日本人には難しいのですが、おそらく次の
ようなことでしょう。

We will take a cup of kindness yet.
For auld lang syne.

”我々はもうちょっとまだ優しいワンショットをやります。
懐かしい遠い昔を愛でるために。”

最近のウィスキーメーカは、このような人手の温もりのある世界
から、どんどん離れていってしまう方向にありますが、ウィスキーは
作るのも人、飲むのも人ですから、いつまでもこのような温かさを
失わないでほしいと願います。
 

感謝!

 


MACALLAN 1987

2015-05-21 10:30:30 | グルメ
ここまでの数回をお読みになるだけで、容易にお分かりになると
思いますが、シェリー樽仕込みのウィスキーは好みではありません。

よくモルト・ウィスキーが好きだというと、「マッカランだ」とか、
あるいは007が好きだとというと、「やはりマッカランですか」
とか言われるわけですが、シェリー樽熟成のウィスキーが苦手な
ため、普段はまったく飲みません。

しかし、ゴールデン・プロミス種のもつきめ細やかな美味しさは
ティピカ種では到底追いつけるものではなく、ゴールデン・プロ
ミスで作ったハイランドのホッグズヘッド樽熟成など、飛び上が
らんばかりに素晴らしいと思います。

今回は、バーボン樽のをという希望を出したら、ご提案いただいた
のが、たまたまマッカランだったという話でした。

macallan1987.jpg

とはいっても、やはり作り手という意味では一流の蒸留所が仕込んだ
酒ですので、味わいは非常に豊かで複雑であり、昔ながらの古き
よき伝統を今に伝える、職人気質の一本だったといっていいで
しょう。

ちなみに裏面のラベルをみると、

1987年蒸留、2008年瓶詰めの21年熟成。樽はジェームズ・
マッカーサーのバーボン樽熟成、アルコール度数は46度

ノートを転記しますと「マッカランには珍しいバーボン樽での21年
長期熟成。マッカラン特有のナッティでバタースコッチのような香り
と、蜂蜜のような味わいが、長熟ながら原酒の素性を損なうことない
バーボン樽で、よく表現されている。ふくよかでリッチなシングル
モルト」とあります。

そうですね。ブレンダーとしては、バタースコッチのような香りと
いうのを、作ろうと思ってもなかなか作れるものではありませんので、
このあたりは流石はマッカランというところだろうと思います。
 

感謝!
 
 

BAR ARGYLL SELECTION Rosebank 14yo

2015-05-20 11:19:31 | グルメ
これまたアーギルという名のバー向けにボトリングされたローズ
バンクです。

ですが、何が貴重かって、1983年に操業を停止した蒸留所の
14年物のウィスキーが、とあるバーの4周年記念で2003年に
ボトリングされたというストーリーです。

もし最終年の蒸留だとすれば、14年熟成させると1998年に
ボトリングされたことになります。しかしラベルには2003年に
ボトリングされた14年物とあります。辻褄がありません。なぜ?

その答えは、シェリーで14年という表記でしょう。その前は
何年熟成したか分かりませんが、1998年から14年のあいだ
シェリー樽で寝ていた原酒ということです。

それにしても、閉鎖されてもう手に入らない蒸留所の原酒を、途中で
別の樽にリフィルし、14年熟成させるというのは、どういう計画
なのでしょうか?私にはよく分かりませんが、スコットランドでは
もしかすると、このような意図がよく分からないものも含めて、
多種多様なモルト原酒が選びきれないほどあるのかもしれません。

ローズバンクをシェリー・フィニッシュする感性を、私は持ち合わ
せていませんが、そういうこともやってみなければ分からない
というのが実践主義の英国文化の一側面なのだろうと思います。

それにしても、バーの4周年でオリジナルボトルを作るなんて、
やることが派手ですね。

rosebank_sherry14yo.jpg
 

感謝!

 


JINBOTOWN Caol Ila 10yo

2015-05-19 12:09:53 | グルメ

私はお邪魔したことはありませんが、ラセットというバーの記念で
ボトリングされたカリラのカスクストレングス10年でした。

caol_ila_barrusset.jpg

こちらも記憶があいまいなのですが、確か1杯目に辛いものを、と
お願いしてご提案いただいたものだったと思います。

カリラで辛いといえば、かつての花と動物シリーズの16年物と
相場は決まっているのですが、こちらはもう幻ですので、飲み手の
こちらが判断の基準を変えなくてはいけない蒸留所のひとつですね。

という経緯があっての一杯でしたので、あまりしっかりとした記憶が
残っていないと言うことは、いろいろと確認した飲み方をしたという
ことだと思います。

にほんブログ村 酒ブログ 洋酒へ
にほんブログ村

感謝!

 


Blackadder BLACK SNAKE

2015-05-18 09:49:52 | グルメ

すみません!美味しかったことだけ憶えているのですが、詳細は
完全に失念してしまいました。

ブラッカダーが作ったと思われる、ピュアモルトウィスキーです。

blacksnake-whisky.jpg

ラベルを読むと、バーボン樽熟成の原酒とシェリー樽熟成の原酒を
ボトリング前にバッティングしたとあります。

それぞれ、まったく違う蒸留所の原酒だったはずですので、ブレ
ンドの妙味が味わえる貴重な一本で、そのかけ離れた個性に驚いた
ことは記憶しています。

こう書いていて、久しぶりにまた飲みたくなりました。
まだ流通在庫はあるのでしょうか?(笑)

にほんブログ村 酒ブログ 洋酒へ
にほんブログ村

感謝!

 


BOWMORE TEMPEST

2015-05-15 11:35:12 | グルメ
数量限定が惜しいくらい素晴らしいクリーンヒット。

サントリーの子会社になっているアイラ島のボウモアが、バレル樽
仕込みのピーティなウィスキーを出しました。

これがスパイシーで素晴らしいです。

bowmore-tempest.jpg

最近は全世界でウィスキーブームとなっており、昨年比40%と
いう、ちょっと信じられないというかバブルではなかろうか?と
思うような市場環境です。

この全世界での市場環境で好まれるのは、いわゆる万民向けの
「ウィスキーって美味しいね」という分かりやすく、かつ宣伝
効果を兼ねて備えた、味と商品特徴の際立ったものになりがちで
すべからくシェリー風味という答えに行き着くことになります。

いわゆる「香りが豊かで飲みやすい」味を、ウィスキーでも
作るわけですね。

しかし、そうなってくるとシングルモルトの特徴である、蒸留所
毎の個性というのはどうしても失われることになるわけで、どれを
飲んでも大同小異になってしまうのは、従来のウィスキーの”幅”を
知っている者にとっては詰まらない世の中になったということです。

ボウモアが美味しいのは、アイラ島の数あるピーティーなウィス
キーのなかで、バーボン樽に由来するナッティなバニラ風味が
出汁のような芯を作るからで、カラフルで甘いシェリー樽原酒
とは一線を画するコクのようなものがあるからです。

それが、じつはサントリー買収後のブレンドからは見られなく
なっていました。それがこのテンペストで復活したのです。

だからこそ、本来のボウモアを祝うべき一本であり、限定発売が
惜しい一本ということになります。

そして、もしできればレギュラーラインナップの1本として通年
発売していただくことで、販売価格もこなれたもになるはずで
しょう。

その期待を抱かせる祝い酒でした。


ボウモア 10年 テンペスト
 

感謝!
 
 

KILKERRAN

2015-05-14 10:21:08 | グルメ
かつてウィスキーの蒸留所が建ち並び、業界の中でも一大産地だった
といわれるキャンベルタウン。現在は随分とカズが減って有名どころ
としてはスプリング・バンクくらいになってしまいました。

私の持つ印象ではメロウでソルティーという、いかにも玄人好みの
ウィスキーができる場所という印象で、スコッチウィスキー産地の
聖域的な性格を持つ場所と捉えています。

そんなキャンベルタウンのなかで、面白いのがあるというので、さっ
そくいただいたのが「キルケラン」です。

kilkerran-glengyle.jpg

最近流行の、蒸留所名がついたシングルモルトではなく、蒸留所名の
オフィシャルボトルとは違う名前を付けた、まったく別の個性を
特徴とするウィスキーです。

ちなみに、こちらはグレンギール蒸留所が作ったヘヴィ・ピート
タイプの原酒をシェリー樽でフィニッシュさせたもの。アルコール
度は46度と理想的です。

飲んでみると、最初はもちろんピートがガツンと来ますが、その後は
キャンベルタウンのメロウさとソルティーさがゆっくりと流れて
きて、シェリーはあくまで全体をコーティングするようなバランス。

繊細かと言われればそうでもありませんが、だからと言って大味
ではなく、ひとつひとつの味わいをしっかり伝えながら、姿かたち
の印象を変えていく、まるで上手な役者さんの演技を見ているかの
ような味わい。

こういうウィスキーは、作り手の遊び心が満載で楽しいウィスキー
です。

コンテストで金賞を受賞したとか、ピートやシェリーがどうだとか、
モルトウィスキーの分野は、色々と細かい能書きが多い世界ですが、
所詮楽しむために飲む酒なのですから、美味しかったり楽しかった
りすればいい、という諒解を持っておく見識がここにあります。

珍しい1本なので、なかなか手に入らないようですが、家飲み用の
一本としては最適ではないでしょうか。
 

感謝!

 


スーパーニッカ原酒復刻プロジェクトのチェックメイト

2015-05-13 12:23:36 | グルメ
今日は何の日?によると本日はカクテルの日だそうで、混ぜ物の
話です。とはいっても、テーマはウィスキーですから、こちらは
ブレンドといいますね。

さて、2009年まで発売されていた旧スーパーニッカのモルト
原酒が「スーパーニッカ原酒」でした。

supernikka-genshu.jpg

この商品は、モルト原酒だけをバッティングしたもので、スーパー
ニッカを製造する過程でグレーン原酒と水で割る前の、いわば
「原液」のようなお酒です。それが500ml入りで2700円
程度で買えたのですから夢のような話でした。

しかし、スーパーニッカのリニューアルによってブレンドが変更
されたため、この「原液」も手に入らなくなってしまいました。

ちょうどその頃、私はアイラ島巡りにうつつを抜かしておりまして、
帰国して秋になった頃に、もう手に入らないことに気づき、すぐ
全国の酒販卸業者に当たりましたが、日本全国を当たって1本
しかありませんでした。もちろん、今でも未開封で大切に持って
います。

そういう毎晩のナイトキャップだった酒が失われてしまったので、
なんとか同じようなブレンドが作れないかと、ニッカが販売する
キーモルト・シリーズを使って、あれこれブレンドテストを行っ
てきましたが、ようやく完成しましたのでご披露させていただき
ます。

■スーパーニッカ原酒のブレンドレシピ
Peaty&Salty   0
Woody&Vanillic 5
Sherry&Sweet  31
Fruity&Rich   60
Soft&Dry    4

supernikka-genshu02.jpg

前回は、シェリー原酒とソフト原酒の割合が、それぞれ30と5の
ところまで詰められたのですが、そこで原酒切れになってしまい、
次回に持ち越しとなっていたものを、今回は改めて仮説の通りに
1%の調整を行ってチェックメイトとなりました。

いやはや、かれこれ6年掛かりましたけれども、このような経緯
ですので特段の達成感はなく、ほぼほぼ確認するためにブレンド
しただけという感じでした。 

実際の製品の方は、熟成年数の長いシェリー原酒が少しだけブレ
ンドされていますし、ベースとなるフルーティ原酒も、もしか
したらもう少し若い原酒かもしれませんので、まったく同じ味
ではありませんが、ブレンドの骨格としては合っているはずで、
ブレンダーズ・バーのスタッフが二人とも同意してくれたので、
これで了としていいでしょう。

長らくお待ちいただいた方もいらっしゃるようですので、もし
機会がありましたら、このレシピで作ってみて楽しんでいただけ
たらと思います。

また、レシピを公開してしまっていいのか?という質問をいただき
ますけれども、下記のいくつかの理由で構わないと思っています。

1.社外の素人が趣味として行っていること
2.旧スーパーニッカの美味しさを知る機会ができること
3.スーパーニッカ原酒の愛好家の方に懐かしんでいただく機会が
できること
4.実際に自分でブレンドしてみる人は殆どいないこと
5.ブレンド原酒のキーモルト・シリーズの味に幅があるため、
もしレシピをパクろうと思っても、実際にはレシピを修正する
能力が要求されること

です。

最近、スーパーニッカ原酒の初号復刻版というのも発売されました
ので、もしお好きな方がいらっしゃったら、両方お試しいただけたら
と思います。

supernikka-genshu03.jpg
 
 
感謝!