「電子メールの秘匿性は、葉書と同レベル」というのを、どこかで読んだ記憶があります。
電子メールは、メール本文が、そのままネットワーク上を流れていきます。ネットワーク上を流れるデータを見ることの出来る人であれば、メールの内容を見ることが出来ます。それは、郵便局で郵便物の振り分けや配達を担当なさっている方々が、葉書の内容を見ようと思えば、見ることが出来るのと同じことです。
もっとも、見たり読んだりすることが出来ることと、実際に見たり読んだりするかは別問題です。郵便法第8条や電子通信事業法第4条でも、在職中に知り得た他人の秘密を漏らしてはならないということになっています。
しかし、会社の業務に関わる連絡事項を、葉書に書いて送る人がいるでしょうか?
個人の履歴書を、透明なビニールの封筒に入れて送る人がいるでしょうか?
普通は、内容物が見えないような封筒に入れて送ると思います。
各種文書の電子化と、電子メールの普及に伴い、文書のやりとりに電子メールが幅広く使われるようになってきました。しかし、電子メールで文書をそのまま送るということは、
会社の業務に関わる連絡事項を、葉書に書いて送る
履歴書を、透明なビニールの封筒に入れて送る
ということと同じことです。
電子メールの世界で、封書に相当するのが、暗号化メールだと思います。暗号化メールは、宛先と差出人は誰にでも読める形になっていますが、メール本文は暗号化されていて、容易には解読できません。
Windows上で使われている Outlook Express、Mac OS 標準搭載の Mail、無料で手に入るThunderbird 等、よく使われているメールソフトは、かなり以前から、暗号化メールに対応しています。あとは、「電子証明書」というものを取得する必要があるのですが、これも無料で提供してくれている会社があります。Thawte という会社です。この会社のホームページから申し込めば、すぐに電子証明書が手に入ります。
お金をかけずに個人情報を守ることが出来る環境は整っています。「メールは暗号化して送るのが普通」ということになってほしい、と願っています。