極楽とんぼは風まかせ

東は東、西は西。交わることなき二つとはいえ、
広い太平洋、東の風が吹き、西の風が吹き・・・

イタリアのトリュフ

2007年11月11日 | 今日の風の吹きまわし
雨の予報のはずがすがすがしいくらいの好天。街路樹の木の葉がほとんど落ち切ってしまったせいか、
キッチンの窓から見る景色はやけに広々としている。11月11日が祝日で月曜は振り替え休日の三連休。
まあ、いつもの通りぜんぜん関係な~いという感じで、朝食が終わったらそれっとばかりに仕事にかかる。
実をいうと日曜日中に終わらせて納品するファイルが4つもあるのだ。どうしてこんなことになっちゃったん
だろうと思っても、時は遅し。やるっきゃない・・・

今日のディナーはWest。何年か連続でバンクーバーのレストランのナンバーワンになったところだ。先週
Lumiereのシェフ、カナダ唯一の「料理の鉄人」ロブ・フィーニーが実質オーナーの出資者とけんかをして
やめてしまったという食道楽にはショッキングなニュースが流れた。ニューヨークで修行したという28才の
シェフを連れて来てキッチンの実権を明け渡せといわれたら、私だって「やめた!」ってことになるだろう。
オレはシェフで会計士じゃないんだとはいっているけど、「失業中」を利用して「起業家講座」でも勉強した
方がいいと思うなあ・・・

そんなわけで、このままLumiereからは足が遠のいてしまいそうだから、このWestで食べることが増える
かもしれない。Westのシェフとフィーニーは、Le Crocodileのオーナーシェフの下で修行したいわば兄弟
弟子。でも、ふたつを比べたら、う~ん、鼻の差でWestというところかな。少し早めに家を出て、レストラン
の近くにあるMeinhardtというグルメショップで買い物。12年もののバルサミコ酢に鴨のパテ、ウィスキー
入りのマーマレードとアルマニャック入りのアプリコットジャム、ついでにオリーブのタペナードを買った。
ほんとに食べたくなるものがいっぱいあって楽しい。

食道楽ムードが盛り上がったところで予約の6時にレストランへ。ヴェスパーで乾杯。メニューを見てほぼ
決まったつもりでいたら、担当のジェームスさんが今日のスペシャルの「暗唱」を始めてころりと心変わり。
ファーストコースは私はイタリアの白いトリュフのリゾット、ツレアイ君はブリのセビチェで、メインは揃って
雉の胸肉。ジェームスさんのお勧めでニュージーランドのドライな白ワインにした。イタリアの白いトリュフ
は今が旬なんだそうで、リゾットの上にうす~くうす~くスライスしてある。立ち上る香りの印象は強烈だ。
一口食べた印象はもっと強烈。まさに天国の味。こんなすてきなものを地中深くに隠すなんて、神様も
ちょっとイジワルだなあ。前菜が32ドルってのは前代未聞だけど、百聞は一口にしかず・・・極上の味!

雉はぽっちゃりやわらかくておいしかった。ツレアイ君は「小さい鳥かと思ってたけど、意外と大きいんだ」と
感心する。そういえば、北上川のほとりをとことこ走っていた雉はあまり大きくなかったけど、あれは野生。
これはレストラン用に育てているものだから大きいわけかな。クセがなくてとっても美味だった。デザートは
カルダモン風味のパンナコッタ。微妙にエキゾチックですごくおいしかった。ああ、おいしいものをたっぷり
食べた後はやっぱり心の底から体の隅々までシアワセだなあ。これだから食道楽はやめられない。