夏休み特別文楽公演のレイトショーを見に行ってきました
開場時間になって国立文楽劇場2階にあがったところで
何やら白い着物の方が人垣の向こうに見える
どなたかがご挨拶に立っておられるのかと思いましたら
先の西日本豪雨災害の義援金を呼び掛ける吉田玉男さん
隣には赤姫のお人形を遣う吉田和生さん
その隣には桐竹勘十郎さん
錚々たる方々が居並んでおられて……
たまさか持ってきていたカメラでこの凄い光景を撮らせてもらっていましたら
スタッフさんが一緒に撮ってくださると声をかけてくださって
赤姫さんのお隣に立たせてもらいました
赤姫さんが左手を差し出してくださったので
思わず手を取りましたら、握り返してくれて感激でした
左後ろには桐竹勘十郎さん
出掛ける前に、改めておさらいしようと
勘十郎さんの書かれた入門書を読んでいたものですから
その人が左後ろにいらっしゃると背筋が強張りました……
とにもかくにも撮っていただき、ひとまずお礼を述べて退散
まさかの出来事に驚くやら嬉しいやら幸せでした
きちんと義援金もお預けして、客席へ
まずは「新版歌祭文」
有名なお染久松の物語
恨み妬み嫉み絡むおみつとお染の恋敵対決が可愛くて
互いに身を引こうとする心情も素敵でした
お染さんの紫色の衣装がとても綺麗で
取り縋る様も美しくて
やはり女形が大好きで目が離せません
次に「日本振袖始」
二胡が演奏されるのを初めて聴いたのですが
弦を擦る滑らかな音色が心地好くて物悲しくて素敵でした
楽しみにしていた八岐大蛇の登場
川をうねる幾筋もの身体がおどろおどろしくて心震えました
黒い振袖の岩長姫、甕から酒を呑むうちに
酔いが回って舞う様は凄絶に美しかったです
扇を翻す動きが信じられない典雅さで見惚れました
鬼の形相を露わにする瞬間もかっこよく
般若の首を初めて観られたのも嬉しかったです
「新版歌祭文」で女子の健気な心意気に感じ入っていた筈なのですが
やはりわたしは異形の姫が好きなようで
玉藻前といい、清姫といい
もうひとつの顔を持ち、変化する姫たちが大好きなのです
という訳で心は完全に岩長姫に傾いており
退治されてしまうのが残念でした
幻想的な夏の宵を過ごせて良かったです
次は秋の公演に行けるでしょうか
今から楽しみです