先日、近所を散歩しておりました時のことでございます。
ひばりが丘団地の一隅に、妙な物を発見したのでございます。
ベランダです。
ベランダが、地面の上にぽつりと。
本来は建物の2階以上という高い位置にあるはずのベランダが、地面の上にぽつりと置かれていたのでございます。
実にシュールな光景です。
もちろん、ただ置かれているわけではなくて、近くの説明板に由緒来歴が記されておりました。
…ただ置かれているだけならば、これほどシュールな光景もまた珍しきものと思えたのでございますが。
惜しいことをいたしたものでございます。
説明板によりますと、今上陛下がまだお若い皇太子であらせられた頃、当時日本住宅公団最大の公団住宅が建設されたことを嘉し賜いて行啓になられた時に、お立ち遊ばされたベランダを切り取って記念に保存したものである旨のことが書いてあったのでございます。
主上の御視察を記念して保存されている物でございますので、下々の者共が不埒にも立ち入ったり、畏れ多くも主上と同じ場所に立ったりなどすることが出来ぬよう、色々と細工を施されているのでございますが、保存と言いつつ、雨ざらしでは、劣化も早かろうし、鼠も這い回ったりするであろう、これではむしろ不敬も甚だしきものがあると感じるのでございます。
バッカじゃねーの!?
ただ単にベランダの外壁と欄干だけ残して何の意味があるのか、と。
残すなら残すで、他にもう少しまともなやり方もあるような気がします。
少なくとも私のような不調法者には、何の意味も見出だすことはできませんでしたが、そこに存在するだけで思考の材料を提供してくれるという点では、それなりの意味はあるのかもしれません。
なお、これが設けられたのは、平成22年11月とありますから、ちょうど私共が今の住まいに引っ越して来た頃のことになります。
今までまるで気がつかないことではございましたが、このようなことがありますから、近所とはいえ、なかなかに侮れぬものであるな、と認識を改めた次第でございます。