トルコから石灰棚を眺めながら生活する日記

ラム子のロカンタ(日本食食堂)、
ゴールデンレトリバーとカンガル犬との日常を綴っていました。

同情されたくないよ

2018-02-08 20:46:37 | 日記
今日のパムッカレ

全身重度の火傷を負った痛々しい、
とある国の青年が食堂にやってきた。

いつ事故か事件に巻き込まれてしまったのか
定かではないが、海外旅行に出る気になるまで
どれだけの年月を要したのか?
過酷な体験を強いられたに違いないと想像しちゃう。

私はこれまで、いろんなお客様と接して来た。
耳が不自由な日本人、両足が不自由で、両手を使って歩く日本人、
盲目のアメリカ人、などなど、
みんなトルコを旅行していたのである。
施しを受けながらの旅ではない。
お金が無かったら来られないでしょ。


その青年は食事後、毎回のように3リラ(100円弱)、
チップを置いてくれていた。

で、彼と同じく、一昨日から4回、食堂に来てくれたカップル(青年と同じ国)
がいるのだけれど、多分、その二組が出会ったのは、一昨日の夜と昨日の夜だけだったはず。

そして、昨夜、そのカップルは、青年の食事代を支払いたいと
私に申し出た。

私は戸惑った。
だって、そうでしょ。カップルは全身火傷を負った青年に同情したから
彼の食事代を払おうとしたのだから。

青年にとって、憐み、同情されることが一番辛いんじゃないかな?
奢られるより、損傷が激しく、原型を留めていない手を優しく握りしめて
あげたほうが、どれだけ彼に寄り添えるか?(と、私、考え過ぎ?)

もしも、青年が分からないような言語で、彼らと会話出来たなら
私はやめたほうがいいと伝えていたかも知れない。
まあ、青年とカップルは同じ民族だし、
一介の食堂のオバちゃんがでしゃばることでもないのだけれど。
私は彼が傷つくのが怖かった。

何も知らない青年に私が、『あのカップルがあなたの分を払った』と
言わなきゃいけないのが酷だった。

案の定、彼は嬉しそうな顔はしなかった。

彼は食事代20リラ札(600円くらい)と私へのチップ3リラを握り締め、
食堂を後にした。


あー、嫌な役目をして、一番損したのは、私じゃんかよ~
チップ3リラ~って、冗談だけど、

とにかく、私の心配が杞憂であると、
あの青年が、傷心していないことを願う。