la mia dolce vita

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古酒、賛美!

2009-03-20 00:45:26 | vino (わいん)

セラーに寝かせているいくつかのワイン。
いつか、何かの機会に飲もうと思いながら、
なかなかそのタイミングを見つけることができずに、
今に至ってしまったものもあり、
ますます開ける時が見つからず、
ただ時を重ねるのみとなっている。

そんな1本をようやく飲むことになった。
ボルドー/サン・ジュリアンのシャトーラグランジュ1973。

サントリーがボルドーで名をあげることとなった
ラグランジュ買収より前に作られたヴィンテージ。
偽装が問題になったボルドー・ショック、そして
オイル・ショックもあり、サントリーがシャトーに
てこ入れして格段に品質が上がったと言われる
80年代に比べるとぐっと評価が落ちる。
あのパーカーも点数をつけていないという
オフ・ヴィンテージのワイン。

しかし、やはりボルドーで長く続いたワイナリー。
サントリーが入る前のエチケットは、
騎士がシャトーの名前を守る
いかにも伝統的で重厚なデザイン。

コルクはさすがに柔らかくなっているものの、
その表面は思ったほど傷んではいなくて、
ワインの味わいに期待を持たせてくれる。

すっかりオレンジに変化したワイン。
恐る恐る鼻を近づけてみると、
コーヒーや腐葉土、果実などのニュアンスが
ふわりと沸き上がり、口をつけると角の取れたやわらかな酸が
口の中に広がる。

確かにグレート・ヴィンテージのような力強さはない。
しかし、たしかに30年以上を過ごしてきた
その年輪が見えるような複雑な味わい。
やがてその中に甘みや深みがゆっくりと現れてくる。

めくるめくように変わっていくその香りと味わいは
時間の中でゆっくりと枯れていく。

しかし味わいに酸が際立つようになっても、
決してその威厳は失わない。
ボルドー・クラシックがお似合いの
そのエレガンス。

サントリーが買収した後の、
力強く濃縮した、いわゆる旨みが伝わってくるワインとは
一線を画した、古き良き時代のクラシックなボルドーワインであった。

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