
何だか、それほど寒くはなくて、肝臓が少し痛くて、それなのにお酒を飲んじゃって、少し反省しています。妻は、全日本フィギュアの男子ショートプログラムを見ているようです。
私は、肝臓がイマイチなので、少しだけ暗い気持ちです。帰ってくるときは、今日はやめようかと思ってたんですけどね。つい、奥さんの顔を見てると、ほんわかしてお酒を飲んでしまいますね。明日は1日いっしょに過ごして、お酒を飲まないと宣言することにします。
かなしいお母さんアザラシがいたそうです。お月さんがめぐってきました。

月と海豹(あざらし)(1926年ころ)/小川未明
海は、灰色に静かに眠っていました。そして、雪は風と戦って、くだけたり飛んだりしていました。
こうしてじっとしているうちに、海豹はいつであったか、月が自分の体を照らして、「さびしいか。」と言ってくれたことを思い出しました。その時、自分は空を仰いで、
「さびしくて、さびしくて仕方がない!」
と言って、月に訴えたのでした。
すると、月は物思い顔にじっと自分を見ていたが、そのまま黒い雲のうしろに隠れてしまったことを、海豹は思い出したのであります。
さびしい海豹は毎日毎夜、氷山のいただきにうずくまって、わが子どものことを思い、風のたよりを待ち、また、月のことなどを思っていたのでありました。
月は、決して海豹のことを忘れはしませんでした。太陽が、にぎやかな街をながめたり、花の咲く野原を楽しそうに見下ろして、旅をするのとちがって、月は、いつもさびしい町や暗い海を見ながら旅をつづけたのです。そして、あわれな人間の生活の有り様や、飢えに泣いているあわれな獣物(けだもの)などの姿をながめたのであります。

月は、そんな役回りなのですね。確かに優しく話しかけてはくれるけれど、たいていどうしようもない局面で、途方に暮れている状況です。あまり心は開かれていないし、締めつけられています。
どうにか自分の思いを伝えようとするけれど、月としてもどうしようもないのです。
子どもをなくした親の海豹が、夜も眠らずに、氷山の上で悲しみながらほえているのを月がながめた時、この世の中の、たくさんな悲しみに慣れてしまって、さまで感じなかった月も、心からかわいそうだと思いました。
あまりに、あたりの海は暗く、寒く、海豹の心を楽しませる何もなかったからです。
「さびしいか?」と言って、わずかに月は声をかけてやりましたが、海豹は悲しい胸のうちを、空を仰いで訴えたのでした。
しかし、月は自分の力で、それをどうすることもできませんでした。
その夜から、月はどうかして、このあわれな海豹をなぐさめてやりたいものと思いました。ある夜、月は灰色の海の上を見下ろしながら、あの海豹は、どうしたであろうと思い、空の路を急ぎつつあったのです。やはり風が寒く、雪は低く氷山をかすめて飛んでいました。
お月さまは、意外とこまやかで、気配りのある存在なんですね。知らなかった。お月さまの事情を未明さんはよくぞ語ってくれましたね。

果たして哀れな海豹(あざらし)は、その夜も、氷山のいただきにうずくまっていました。
「さびしいか?」と月はやさしくたずねました。
この前よりも、海豹はいくぶん痩せて見えました。そして、悲しそうに空を仰(あお)いで、
「さびしい! まだ、私の子どもは分かりません。」と言って、月に訴えたのであります。
月は青白い顔で海豹を見ました。その光は、あわれな海豹の体を青白くいろどったのでした。
「私は世の中のどんなところも、見ないところはない。遠い国の面白い話をきかせようか?」と、月は海豹に言いました。
すると海豹は頭を振って、
「どうか、私の子どもがどこにいるか、教えて下さい。見つけたら知らしてくれるといって約束した風は、まだ何とも言ってきてくれません。世界中のことが分かるなら、他のことは聞きたくありませんが、私の子どもは、いまどこにどうしているか教えて下さい。」と、海豹は月に向かって頼みました。
月はこの言葉をきくと、黙ってしまいました。何といって答えていいか分からなかったからです。それ程、世の中には海豹ばかりでなく、子どもをなくしたり、さらわれたり、殺されたり、そのような悲しい事柄が、そこここにあって、一つ一つ覚えていられなかったからでした。〈小川未明『小川未明童話集』(新潮文庫)より〉

ああ、クリスマスというのに、世界は平和ではありません。たまたま私の家は、平和に過ごしていますが、まわりを見ていたら、耳を澄ませば、なんとなく悲しい声や、怒っている声、どうして私の声をだれも聞いてくれないのと訴えている声が、聞こえてくるような気がします。
聞こえなくても、感じていかなくてはと思います。明日から、どこかへ遊びに行こうかと思っていた浮かれた心はありません。もっとしんみりと、だれかのため、たとえば家族のため、たとえば友だちのため、何かできることを探したいと思います。メールしようと思います。
そして、少し何か行動したら、お酒を控えて、暴食も抑えて、どこかへ行こうと思います。
私は、肝臓がイマイチなので、少しだけ暗い気持ちです。帰ってくるときは、今日はやめようかと思ってたんですけどね。つい、奥さんの顔を見てると、ほんわかしてお酒を飲んでしまいますね。明日は1日いっしょに過ごして、お酒を飲まないと宣言することにします。
かなしいお母さんアザラシがいたそうです。お月さんがめぐってきました。

月と海豹(あざらし)(1926年ころ)/小川未明
海は、灰色に静かに眠っていました。そして、雪は風と戦って、くだけたり飛んだりしていました。
こうしてじっとしているうちに、海豹はいつであったか、月が自分の体を照らして、「さびしいか。」と言ってくれたことを思い出しました。その時、自分は空を仰いで、
「さびしくて、さびしくて仕方がない!」
と言って、月に訴えたのでした。
すると、月は物思い顔にじっと自分を見ていたが、そのまま黒い雲のうしろに隠れてしまったことを、海豹は思い出したのであります。
さびしい海豹は毎日毎夜、氷山のいただきにうずくまって、わが子どものことを思い、風のたよりを待ち、また、月のことなどを思っていたのでありました。
月は、決して海豹のことを忘れはしませんでした。太陽が、にぎやかな街をながめたり、花の咲く野原を楽しそうに見下ろして、旅をするのとちがって、月は、いつもさびしい町や暗い海を見ながら旅をつづけたのです。そして、あわれな人間の生活の有り様や、飢えに泣いているあわれな獣物(けだもの)などの姿をながめたのであります。

月は、そんな役回りなのですね。確かに優しく話しかけてはくれるけれど、たいていどうしようもない局面で、途方に暮れている状況です。あまり心は開かれていないし、締めつけられています。
どうにか自分の思いを伝えようとするけれど、月としてもどうしようもないのです。
子どもをなくした親の海豹が、夜も眠らずに、氷山の上で悲しみながらほえているのを月がながめた時、この世の中の、たくさんな悲しみに慣れてしまって、さまで感じなかった月も、心からかわいそうだと思いました。
あまりに、あたりの海は暗く、寒く、海豹の心を楽しませる何もなかったからです。
「さびしいか?」と言って、わずかに月は声をかけてやりましたが、海豹は悲しい胸のうちを、空を仰いで訴えたのでした。
しかし、月は自分の力で、それをどうすることもできませんでした。
その夜から、月はどうかして、このあわれな海豹をなぐさめてやりたいものと思いました。ある夜、月は灰色の海の上を見下ろしながら、あの海豹は、どうしたであろうと思い、空の路を急ぎつつあったのです。やはり風が寒く、雪は低く氷山をかすめて飛んでいました。
お月さまは、意外とこまやかで、気配りのある存在なんですね。知らなかった。お月さまの事情を未明さんはよくぞ語ってくれましたね。

果たして哀れな海豹(あざらし)は、その夜も、氷山のいただきにうずくまっていました。
「さびしいか?」と月はやさしくたずねました。
この前よりも、海豹はいくぶん痩せて見えました。そして、悲しそうに空を仰(あお)いで、
「さびしい! まだ、私の子どもは分かりません。」と言って、月に訴えたのであります。
月は青白い顔で海豹を見ました。その光は、あわれな海豹の体を青白くいろどったのでした。
「私は世の中のどんなところも、見ないところはない。遠い国の面白い話をきかせようか?」と、月は海豹に言いました。
すると海豹は頭を振って、
「どうか、私の子どもがどこにいるか、教えて下さい。見つけたら知らしてくれるといって約束した風は、まだ何とも言ってきてくれません。世界中のことが分かるなら、他のことは聞きたくありませんが、私の子どもは、いまどこにどうしているか教えて下さい。」と、海豹は月に向かって頼みました。
月はこの言葉をきくと、黙ってしまいました。何といって答えていいか分からなかったからです。それ程、世の中には海豹ばかりでなく、子どもをなくしたり、さらわれたり、殺されたり、そのような悲しい事柄が、そこここにあって、一つ一つ覚えていられなかったからでした。〈小川未明『小川未明童話集』(新潮文庫)より〉

ああ、クリスマスというのに、世界は平和ではありません。たまたま私の家は、平和に過ごしていますが、まわりを見ていたら、耳を澄ませば、なんとなく悲しい声や、怒っている声、どうして私の声をだれも聞いてくれないのと訴えている声が、聞こえてくるような気がします。
聞こえなくても、感じていかなくてはと思います。明日から、どこかへ遊びに行こうかと思っていた浮かれた心はありません。もっとしんみりと、だれかのため、たとえば家族のため、たとえば友だちのため、何かできることを探したいと思います。メールしようと思います。
そして、少し何か行動したら、お酒を控えて、暴食も抑えて、どこかへ行こうと思います。