夜行バス・ムーンライト号は、博多バスセンターから天神バスセンターへと移動しました。博多で降りて九州の第一歩を踏み出してもよかったのですが、もっとより福岡のディープなところへ行こうと、天神で降りました。
朝の8時を過ぎて、すっかり街は通勤ラッシュです。しかも中心街なので、どの人もみな忙しそうに通り過ぎていきます。自分だけ何か起き抜けのぼんやりした頭と気分で、なかなか街にとけ込めません。こんな時、うまい人は喫茶店に入り込んで、ゆっくりコーヒーでも飲んで、街の気分を味わいながら、他のお客の話に耳を澄ませ、少しずつ雰囲気になじんでいくのでしょう。
私は、それができません。旅人気分のまま、大きな荷物を抱え、うまくなじめないような顔をして、物欲しそうにしながら、何となくよるべない気分をにじませて歩いてしまいます。もっと平気な顔をしてスイスイ歩けばいいものを、物珍しさが先に立ち、あれこれ目移りしてしまいます。
天神バスセンターで顔を洗うつもりが、狭い洗面所で、とてもそれどころではありません。どこか大きな建物のトイレに行き、顔でも洗わせてもらおうと、とにかく外に出ました。すると、東西南北がわからず、自分がどこへあるけばいいのか分からないのです。南に向かう西鉄大牟田線、北へ流れる那珂川、東西を走る地下鉄、バスセンターの東側にある市役所、どれかがわかれば私の地図も動き出すのですが、どれも見つからない。
やっと小さな案内版を見つけ、市役所の方角が分かりました。職員の皆さんがどんどん朝の出勤で、守衛さんに挨拶しながら建物の中に吸い込まれていきます。私は職員のような服装ではないので、見るからに旅人・部外者です。ただ街の情報と、ゆったりしたトイレと、時間をつぶせる場所が欲しかったのです。
あきらめて天神とは反対側に出ました。すると、川があって、以前建物に木々を生やせている建物ということで、どこかのテレビで見た建物を見つけました。
ひょっとしてここにも落ち着いたトイレはないかもしれない。ええい、もういいやと、この建物の南側が公園になっていて、そこのトイレで歯磨きを始めました。ちょっとした公園生活者のような気分です。トイレに入ってきたどこかのおじさんも、すぐに立ち去る雰囲気を私は出していたのかもしれません。少し「ヤバイ」感じで、もう少し観光客的な、華やかさが必要です。それで、建物探訪もして、内部のエスカレーターで8階まで上がってみて、誰もいないので、ここでも落ち着かないまま、観光客になれません。軌道修正をしなくては!
どこもまだ観光客を受け入れる雰囲気ではありません。通勤には遅く、観光には早い、微妙なお時間で、もうこうなりゃ大濠公園に行くしかありません。今回の最大の目的地はそこだったんですから……。そこを歩いているうちに9時半の開館時間は来るでしょう。余計なものは求めず、目的に行けばいいのだと思いました。
雨もぱらつく福岡・大濠公園。とても大きな池があります。NHK-BSブレミアムの「こころ旅」という番組の中で、火野正平さんが走りすぎた街に、とうとう自分も立ちました。自分は、ただ自分のおたく心のために、わざわざ福岡まで来ました。往復新幹線はお金がかかるので、自分なりに節約したつもりで夜行バスで来ました。
とにかく、福岡市美術館はこの広大な都市公園の南側にあります。市民ランナーが通り過ぎ、犬の散歩の人がいたり、緑の多い街だなあと感心しながら、池の周遊コースを歩きます。風は冷たく、雨も少しだけど落ちている。
やっと、とっかかりのところにたどりつく。すると、案内版を見つけました。
青森県立美術館に、成田亨(なりたとおる)という人のコレクションがあります。けれども、青森は精神的にも・物理的にも遠い。青森・富山で展示があり、巡回して福岡が最後のようです。しばらくすればまたあるかもしれないけれど、さしあたってはないようなので、とにかくこれだけのためにわざわざ出かけた私は、いよいよご対面することになります。
★ ペギラ、ガラモン、アントラー、昔よく描いたテーマを今さらながら描いてみて、貼り付けました。そりゃ、それらしく見えるけれど、深みがないんです。サラサラと描きすぎてますね。もっとじっくり描くか、それとももっとゴッソリ省略するか、シルエットだけにするか、こどもの絵を抜け出さなくては!
朝の8時を過ぎて、すっかり街は通勤ラッシュです。しかも中心街なので、どの人もみな忙しそうに通り過ぎていきます。自分だけ何か起き抜けのぼんやりした頭と気分で、なかなか街にとけ込めません。こんな時、うまい人は喫茶店に入り込んで、ゆっくりコーヒーでも飲んで、街の気分を味わいながら、他のお客の話に耳を澄ませ、少しずつ雰囲気になじんでいくのでしょう。
私は、それができません。旅人気分のまま、大きな荷物を抱え、うまくなじめないような顔をして、物欲しそうにしながら、何となくよるべない気分をにじませて歩いてしまいます。もっと平気な顔をしてスイスイ歩けばいいものを、物珍しさが先に立ち、あれこれ目移りしてしまいます。
天神バスセンターで顔を洗うつもりが、狭い洗面所で、とてもそれどころではありません。どこか大きな建物のトイレに行き、顔でも洗わせてもらおうと、とにかく外に出ました。すると、東西南北がわからず、自分がどこへあるけばいいのか分からないのです。南に向かう西鉄大牟田線、北へ流れる那珂川、東西を走る地下鉄、バスセンターの東側にある市役所、どれかがわかれば私の地図も動き出すのですが、どれも見つからない。
やっと小さな案内版を見つけ、市役所の方角が分かりました。職員の皆さんがどんどん朝の出勤で、守衛さんに挨拶しながら建物の中に吸い込まれていきます。私は職員のような服装ではないので、見るからに旅人・部外者です。ただ街の情報と、ゆったりしたトイレと、時間をつぶせる場所が欲しかったのです。
あきらめて天神とは反対側に出ました。すると、川があって、以前建物に木々を生やせている建物ということで、どこかのテレビで見た建物を見つけました。
ひょっとしてここにも落ち着いたトイレはないかもしれない。ええい、もういいやと、この建物の南側が公園になっていて、そこのトイレで歯磨きを始めました。ちょっとした公園生活者のような気分です。トイレに入ってきたどこかのおじさんも、すぐに立ち去る雰囲気を私は出していたのかもしれません。少し「ヤバイ」感じで、もう少し観光客的な、華やかさが必要です。それで、建物探訪もして、内部のエスカレーターで8階まで上がってみて、誰もいないので、ここでも落ち着かないまま、観光客になれません。軌道修正をしなくては!
どこもまだ観光客を受け入れる雰囲気ではありません。通勤には遅く、観光には早い、微妙なお時間で、もうこうなりゃ大濠公園に行くしかありません。今回の最大の目的地はそこだったんですから……。そこを歩いているうちに9時半の開館時間は来るでしょう。余計なものは求めず、目的に行けばいいのだと思いました。
雨もぱらつく福岡・大濠公園。とても大きな池があります。NHK-BSブレミアムの「こころ旅」という番組の中で、火野正平さんが走りすぎた街に、とうとう自分も立ちました。自分は、ただ自分のおたく心のために、わざわざ福岡まで来ました。往復新幹線はお金がかかるので、自分なりに節約したつもりで夜行バスで来ました。
とにかく、福岡市美術館はこの広大な都市公園の南側にあります。市民ランナーが通り過ぎ、犬の散歩の人がいたり、緑の多い街だなあと感心しながら、池の周遊コースを歩きます。風は冷たく、雨も少しだけど落ちている。
やっと、とっかかりのところにたどりつく。すると、案内版を見つけました。
青森県立美術館に、成田亨(なりたとおる)という人のコレクションがあります。けれども、青森は精神的にも・物理的にも遠い。青森・富山で展示があり、巡回して福岡が最後のようです。しばらくすればまたあるかもしれないけれど、さしあたってはないようなので、とにかくこれだけのためにわざわざ出かけた私は、いよいよご対面することになります。
★ ペギラ、ガラモン、アントラー、昔よく描いたテーマを今さらながら描いてみて、貼り付けました。そりゃ、それらしく見えるけれど、深みがないんです。サラサラと描きすぎてますね。もっとじっくり描くか、それとももっとゴッソリ省略するか、シルエットだけにするか、こどもの絵を抜け出さなくては!