
夏から秋にかけて、自民党の方たちのドタバタ劇がずっと続いていたようです。それで、一応幕は下りて、一先ず休憩ということになったんでしょうか。
私は、党員投票なんて意味ないよなと思っていました。でも、一応総裁選びに形だけでも参加させてあげたよという、中枢の方たちのお情けみたいなものだったのかなとつくづく思います。
党員の皆さんがどんな結果を出そうとも、自民党の皆さんには自分たちの力学があって、たいていは数の駆け引きで決まるわけですが、その駆け引きで、KSさんになったんですね。特に彼が魅力的であったとか、彼に任せておけばこの先大丈夫という判断ではありません。彼が特に頑張ったわけではなくて、いろんなグループの離合集散の結果が、彼を選ぶに至りました。
かけ算やたし算が行われたのではなく、引き算・消去法によって選ばれたのでしょう。なんともやるせない結果です。彼としても、不本意だから、思う存分やってやるぞという気持ちもあるでしょうけど、組閣しようかとなった時に、彼があまりにリーダーシップを示そうとしたら、それこそ、何を思いあがっているんだと足をすくわれるでしょう。
彼は、あぶない地盤の上に立っている。いつでもひっくり返されるし、自分が得たポジションにこだわっていたら、結局何もできないままに終わる、もう先が見えてたりします。
だから、彼の運営手腕が問われることになるんでしょうね。Sさんみたいに超然としてたら、短命になる可能性はあります。総選挙のあと、すぐに詰め腹を切らされるとか、そんなことをする組織ですからね、どうなるかわかりません。一寸先は闇なのかな、あの人たちの世界って。

Nさんは、最初から誰も相手にしていませんでした。自分の仲間もおらず、内閣のにぎやかしとしては役に立つけれど、数の力を持たない彼女は、そもそも総裁選には出られない人でした。
でも、にぎやかに総裁選をやってますよ。前の総理は何を言ってんだかわからなかったし、相手の目は見ないし、ことばに心もないし、まるでダメだったから、せいぜい次のうちのトップは、華々しくデビューしますよ。そのために、党内でこんなに議論みたいなことしてますよ、みたいなのを演出するために、とりあえず候補者を四人そろえてみた。
まあ、この四人目は、一回目の時にすぐ消える人だから、そのために二十人つけただけである。きっちり数を配分してサポートしてあげたとみんな思っている。Nさんも、自分の役割を自覚して、とりあえず出て見て、評判がよければ、何か大臣とか、目立つポジションに行かせてね、おもしろおかしくしゃべったりしますよ、というアピールはできました。彼女としても損はなかった。
Tさんは、これも彼女が当選するわけはなくて、責任のないところで強気発言だけをする存在として、神社の参拝をしたり、差別発言スレスレのことを話したり、なるべく表に出ないところにまた引っ込んでもらわなくてはならない人でした。でも、本人にも何回かチャレンジさせてあげて、やはり、自分では無理だというのを分からせなければならないから、出させてあげた。そして、予定通り落ちた。彼女は自分のキャラを自覚して、それこそ弁えなきゃいけない人でしたか。

となると、KNさんとKSさんの対決でした。
どちらが、多数派のいうことを聞くか、その基準で選ばれたことになります。二人には、それぞれ考えていたこともあったでしょう。しかし、それを口にしたら、一度に自分を支持する人たちがいなくなる、そういうのを身にしみて感じていた。KSさんは二回目くらいの挑戦だから、自分たちはそういう集団なのだというのは理解していた。少し学んでいたんですね。
「ハイ、言いなりになります。みなさまのご利益を守ります。余計なことはしません。とにかく私をトップにしてください。今までやってきたこと、これは守りますし、そこで行われた秘密事項は絶対に漏らさないようにします!」と宣言したのかもしれません。悲しいことです。
KNさんは初挑戦になるんでしょうか。自分が今回のコロナ対策で活躍したという自負を持ち、まわりの混乱を切り裂いて、目的実現のためにどれだけ働いたか、そういう充足感を持っていたから、今度もそれで乗り切れるとでも思ったんでしょうか。それは間違いでした。彼は政策集団の中にいるわけではありません。利益が交錯する利権集団の中にいるのです。フェアはない。利権だけがあるんです。そちらをちゃんと見ることができたのか、です。

単独行動・独断専行・独善みたいなことは、まわりの迷惑というのを思い至ることはできたんでしょうか。
IBさんが、今回自分が出たら共倒れだから、そうならないために、世代交代のために、古い政治家のKSさんよりKNさんに席を譲ったにもかかわらず、党員投票で三割ほど取れたにもかかわらず、自民党の数の力には抗しきれず、KNさんは敗れた。おかげで、古い政治家たちがホッとしたことでしょう。やはり、自分たちの理屈通り、そういう力学により政治は回っているんだと確認できたかな。
目立つヤツ、自分は仕事ができるとかいうヤツ、親の七光りをそれとなく浴びてるヤツ、彼らはそんなのに称賛はするでしょう。けれども、もちろん裏では足元をすくおうとするし、どんな風に黙らせてやるかの算段をしていたはずで、今回の結果にザマーミロと思っているし、誇らしい気分になれたかな。

たくさんの力を持つ人たち、できたら、次の選挙でみんな落ちて行ったらいいのに、簡単には世の中は動きませんね。不動の漬物石みたいなものだ。
世の中は簡単には変わりません。いつも同じようなことばかり続いていきます。世の中が平和なら、それでいいかもしれないけど、これからあと何十年も、天災・人災・感染症・原発事故など、いろんなトラブルは続くはずです。
まあ、KSさんがやれたとしても数年、すぐ誰かが足を引っ張ります。まわりの国々もトラブルを吹っかけてきます。アメリカだって、あと三年くらいでまた変化しなくちゃいけないし、安定はないですね。
幕は下りたけれど、世の中全体の混乱は続くのです。あの人たち、これで一件落着とか思ってるんじゃないだろうな。
あの人たちと同じように、実は私たちにもこれからずっと安息はないんです。だからこそ、まわりの気の合う人たちと落ち着いていられる時を大事にしないといけないです。少しでも仲間を増やして、気持ちのいい環境を作っていきたい。自分のことは自分でしていきたいです。
