甘い生活 since2013

俳句や短歌などを書きます! 詩が書けたらいいんですけど……。

写真や絵などを貼り付けて、二次元の旅をしています。

鬼の来た道を訊ねて

2020年02月27日 05時26分45秒 | 草にうずもれて

「オニはどこから来たかって? それはもう、海の向こうから来たんだよ。」

 「それは、どんな人たちでしたか?」
「背が高くて、髪の毛はボサボサで、声はでかくて、何を言ってんだか、サッパリことばもわからないし、おっかなくて、まともに見られなかったよ。」

 「どうして海から来たってわかったんですか?」
「そりゃ、船でたどり着いたみたいだったから、海から来たはずなんですよ。船を持ってたんだ。オンボロの船をね。でも、サッパリことばがわからなくて、困ったさー。うんとか、すんとか、はーとか、うーとか、ほんとにわからなかった。」

 「どんなふうにして、その人たちと仲良くなったんですか?」
「仲良くなんかなるもんか! あの人たちは、自分たちでムラを作るようになって、自分たちのやり方で、どんどん山を開いていったし、わたしらのムラはあの人たちとなるべく関わらないようにしてたのさ。」

 「ケンカなんかしなかったんですか?」
「何だか、おっかないのは確かで、関わりたくない気持ちはあったし、関わらなくてもあの人たちは、勝手に生きていたのさ。でも、イクサとかあったら、あの人たちは頼もしかった。とても強かったし、そういう姿にあこがれて、あの人たちと結ばれようという若い女も出てきたし、少しずつあの人たちとの関係もできていったわけさ。」



 「だったら、それはオニなんかじゃなくて、ただの旅の人ということではなかったのかなぁ?」
「旅の者は、ムラがなくては生きていけないのさ。ムラに入り込んで、ムラで何かの仕事をして、ムラの人たちを喜ばせて、それで旅の人の暮らしは成り立つんだ。そういう人たちは、寒くなればムラを出て行くし、仕事がなくても出て行くし、ムラの人とケンカでもすれば、もうすぐに逃げていく。旅の人は、ほんの一時だけムラで生きていきたい人たちなのさ。」

 「オニと呼ばれる人たちは、違うんですか?」
「あの人たちは、ふつうのムラなんか知らないのさ。ムラと関わらずに、自分たちの暮らしをするのさ。
 食べるものがなくて、どうするんだろうと思ってても、どういうわけか、あの人たちは山の中でも暮らしていけるし、海辺でも暮らしているのさ。時々は、ムラに来て、米と山のものとの交換をしようとかいう時もあったけれど、たいていはムラとは関わりなしさ。自分の暮らしは自分で立ててたということかなぁ。」

 「関わりは何にもなかったんですか?」
「それがさ-、ムラで誰かが亡くなったとき、あの人たちは来るのさ。そして、不思議な踊りとかしてくれて、魂をしずめてくれる、不思議な踊りをしてくれたのさ。
 だから、ついついそのままにしていて、いつの間にか、大きな祭りがあると、あの人たちの力を借りなくてはならなくなったのさ。自然にそうなっていったのさ。」



 「それはどんな踊りなんですか?」
「それが、よくわかんないんだけど、いろんな物で音を鳴らして、悲しげかと思ったら、突然元気になったり、跳んだり跳ねたり、上手に舞うし、魂を喜ばせてくれるんだ。見たことも聞いたこともない、不思議な踊りだったのさ。」

 「そんなふうにして、ムラの人たちと仲良くなっていったわけですね?」
「まあ、そういうことになるのかな。」

 「オニって、どんな恰好をしてたんですか?」
「それがまあ、なんだかわからない布きれ巻いて、何だかわからないけれども、知らない間にわたしらとそんなに変わらぬ恰好をするときもあって、違いも何も、わからんようになっていったのさ。」

 「ただ、よそから、海から来て、ことばはわからなかったけれど、自然と私たちと仲良くなっていったということなのかな?」
「そういうところもあるかなー。とにかく、あの人たちの踊りと、あの人たちのいくさの仕方と、不思議な草とか食べるのを、わたしらも習っていったということなのかなあ。いつの間にか、一緒に生活はしてたんだ。でも、お弔いだけは何だか違ってたけどな。まあ、そういうところかのう……。」


★ 昔、日本海側の地方にオニと呼ばれる人たちがやってきて、対立と同化を繰り返し、なじんでいったというのを聞いたことがありました。それを復習したかったんですけど、どこかにタネ本があると思うんですけど、それは読んでません。図書館にでも行ってみます。でも、たぶん読まないから、いい加減な記事をそのままにしておきます。私の作った嘘八百です!

★ ボクのイメージの中には、海を渡ってきた韃靼人というものがモヤモヤするんですけど、それさえあやふやで、実際にあれこれ調べたり、現地をまわったりしないとわからないです。まあ、いい加減なことで申し訳ありません。

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