年末に、中学１年の時の担任の先生のお嬢さんから、先生がお亡くなりになったというお葉書をいただきました。一昨年の秋、何十年ぶりかで中学の同窓会が開かれて、先生は出席をされていて、もう９０いくつというお写真をいただいていて、それからほんの１年しか経っていないのに、突然の訃報でした。
タイミングの悪い私は、同窓会の時には仕事で、大阪に行くことができませんでした。間の悪さと自分のふがいなさにつくづくいやになったものでしたが、それでも先生のお嬢さんが、わざわざ私にお葉書を出してくださったのは、私が先生のお宅へ今まで作った冊子をお送りして、そのご感想とかいただいて、そのつながりで頂いたのだと思います。それに先生のお孫さんも三重県でお仕事をしているということでしたから、不思議なつながりかなと思いもしました。
ダメな私は、中学校の時は、それなりに生意気で天狗になっていて、お調子者でとんがっていて、いいきな者ではありました。そして、文学少年を気取っていた。
時代錯誤もいいところで、７０年代なのにドラマの影響なのか、室生犀星詩集を新潮文庫で買いました。そして、買ったのにちっとも読んでいませんでした。そこがまあ、ただの気取ってるヤツのダメなところです。コツコツ読めばいいのに、読んでなかった。
そして、５０もだいぶ過ぎて、今ごろ犀星さんを読んでたりします。何をやっているんでしょう。今ごろですか？ でも、確かにオッチャン向けの詩かなと思ったりするんですよ。
テーマは、ズバリ「男と女」です。
とらへられざるままに
どれだけあなたがたのことを
あなたがたのために うたったことだろう、
阿呆（あほう）のごとく
ごぜのざれうたのごとく、
だが あなた方のことはうたいつくせない、
凡才のおよぶところではない、
生涯をこめてうたってみたが、
ちがった顔とすがたの、
おんがくが接吻（くちづけ）られないごとく
あなたがたはついに捉（とら）えることができなかった、
到底うたい尽くせるものではない、
さよなら、女の人よ、
私のおわかれのうたを
さまざまな形でここにおくる。
犀星さんが、女の人をとらえようとして、何度も詩の材料にしたそうです。女とは何か、男と女はどうあるべきか、それをあれこれ考え、詩でも、小説でも、犀星さんは考えてきました。
犀星さんの小説には、せつない男と女の物語もありました。読んだこともあります。でも、何となくすれちがいで、女のそばに行きたいのに、いくら行こうとしてもたどりつけない、そんなあわれな男たちが描かれていたような気がします。女の人は、「ああ、やっぱり、あの人はそうなのね」と思いつつ、消え入るばかりでした。
どうして男は、愛する女をしあわせにできないんでしょうね。そして女の人は、妥協と諦めを抱えながら、すれちがったり、消え入ったりすることが多かったりします。
だから、せいぜい私も、せめて奥さんだけは幸せにしなきゃと思いつつ、お酒飲んでひっくり返って、夜にはパソコンばかりで、とてもとても理想とはほど遠い。
まあいいです。すれちがいであろうとも、勘違いであろうとも、ガッカリさせることばかりでも、せいぜい頑張るしかありません。とらえることができなくても、とらえようとする努力は必要だ。
けふほれてあすわかれ（今日惚れて明日別れ）
何度でも女にほれてみたが
ほれるということに際限がない、
際限のないことのうるわしさ、
これだけはこころのなかのものであり、
誰も何も言えないさかいのものだ。
けふほれてあすわかれ
毎日ほれて毎日失くする
毎日もらい毎日こなれてしまう、
茫々（ぼうぼう） 生きて際限もない、……
気分的には、犀星さんの気分になってきました。メチャメチャ好きというのは一瞬であって、あとには長く平坦な道があるのかもしれない。
上がったり下がったりしながら、淡々と女の人に対して向かわなくてはならない。
実際はどうなのかはわからないけど、とりあえず、どんな時も、いつまでも飽きずに、愛し続けなさいという愛のお説教みたいな気がしました。
そんな気分になったことはなかったけど、犀星さんのマネをして、女の人に向かっていきましょう。
「今日惚れて、明日別れ、明後日また惚れて、翌日には別れる。」それが男と女なんでしょうか。いやもう、私はただのオッチャンですから、そういう話題は関係ないのかなあ。
気持ちの面での話なのかな。わかんなくなってきました。もう少し読んでみようと思います。
タイミングの悪い私は、同窓会の時には仕事で、大阪に行くことができませんでした。間の悪さと自分のふがいなさにつくづくいやになったものでしたが、それでも先生のお嬢さんが、わざわざ私にお葉書を出してくださったのは、私が先生のお宅へ今まで作った冊子をお送りして、そのご感想とかいただいて、そのつながりで頂いたのだと思います。それに先生のお孫さんも三重県でお仕事をしているということでしたから、不思議なつながりかなと思いもしました。
ダメな私は、中学校の時は、それなりに生意気で天狗になっていて、お調子者でとんがっていて、いいきな者ではありました。そして、文学少年を気取っていた。
時代錯誤もいいところで、７０年代なのにドラマの影響なのか、室生犀星詩集を新潮文庫で買いました。そして、買ったのにちっとも読んでいませんでした。そこがまあ、ただの気取ってるヤツのダメなところです。コツコツ読めばいいのに、読んでなかった。
そして、５０もだいぶ過ぎて、今ごろ犀星さんを読んでたりします。何をやっているんでしょう。今ごろですか？ でも、確かにオッチャン向けの詩かなと思ったりするんですよ。
テーマは、ズバリ「男と女」です。
とらへられざるままに
どれだけあなたがたのことを
あなたがたのために うたったことだろう、
阿呆（あほう）のごとく
ごぜのざれうたのごとく、
だが あなた方のことはうたいつくせない、
凡才のおよぶところではない、
生涯をこめてうたってみたが、
ちがった顔とすがたの、
おんがくが接吻（くちづけ）られないごとく
あなたがたはついに捉（とら）えることができなかった、
到底うたい尽くせるものではない、
さよなら、女の人よ、
私のおわかれのうたを
さまざまな形でここにおくる。
犀星さんが、女の人をとらえようとして、何度も詩の材料にしたそうです。女とは何か、男と女はどうあるべきか、それをあれこれ考え、詩でも、小説でも、犀星さんは考えてきました。
犀星さんの小説には、せつない男と女の物語もありました。読んだこともあります。でも、何となくすれちがいで、女のそばに行きたいのに、いくら行こうとしてもたどりつけない、そんなあわれな男たちが描かれていたような気がします。女の人は、「ああ、やっぱり、あの人はそうなのね」と思いつつ、消え入るばかりでした。
どうして男は、愛する女をしあわせにできないんでしょうね。そして女の人は、妥協と諦めを抱えながら、すれちがったり、消え入ったりすることが多かったりします。
だから、せいぜい私も、せめて奥さんだけは幸せにしなきゃと思いつつ、お酒飲んでひっくり返って、夜にはパソコンばかりで、とてもとても理想とはほど遠い。
まあいいです。すれちがいであろうとも、勘違いであろうとも、ガッカリさせることばかりでも、せいぜい頑張るしかありません。とらえることができなくても、とらえようとする努力は必要だ。
けふほれてあすわかれ（今日惚れて明日別れ）
何度でも女にほれてみたが
ほれるということに際限がない、
際限のないことのうるわしさ、
これだけはこころのなかのものであり、
誰も何も言えないさかいのものだ。
けふほれてあすわかれ
毎日ほれて毎日失くする
毎日もらい毎日こなれてしまう、
茫々（ぼうぼう） 生きて際限もない、……
気分的には、犀星さんの気分になってきました。メチャメチャ好きというのは一瞬であって、あとには長く平坦な道があるのかもしれない。
上がったり下がったりしながら、淡々と女の人に対して向かわなくてはならない。
実際はどうなのかはわからないけど、とりあえず、どんな時も、いつまでも飽きずに、愛し続けなさいという愛のお説教みたいな気がしました。
そんな気分になったことはなかったけど、犀星さんのマネをして、女の人に向かっていきましょう。
「今日惚れて、明日別れ、明後日また惚れて、翌日には別れる。」それが男と女なんでしょうか。いやもう、私はただのオッチャンですから、そういう話題は関係ないのかなあ。
気持ちの面での話なのかな。わかんなくなってきました。もう少し読んでみようと思います。
