会計業界戦線 異常アリ

インターネットの登場によって、顧客の流動化が進む会計業界。このブログでは、会計業界の変化を綴っていければと思います。

リーマン破綻のドキュメント4/「皆さんの責任は重大だ」

2009-05-24 23:13:55 | 世界事情
引き続き、ニューズウィークの最新号より。


リーマン破綻のドキュメント4

崩壊を招いた「実行犯」とされたポールソン前財務長官が本誌に真相を激白。放漫経営に最後通牒を突き付けるまで/エバン・トーマス(ワシントン支局)


◆幻に終わった破綻回避案

9月12日の時点でファルドが話を持ち掛けていたのは、商業銀行大手バンク・オブ・アメリカ(BOA)のケン・ルイス会長兼CEOだった。BOAならリーマンを買収するだけの体力がある。それに投資銀行業務で経験豊富なリーマンを傘下に収めることは、先方にとってもメリットがあるはずだとファルドは思っていた。

しかし、いつまでたってもルイスから返事が戻ってこない。日付が12日から13日に変わっても音沙汰がない。

「なぜ連絡がないんだ? 理解できない」とファルドは言い続けていたと、その場にいた関係者は言う。

実はこのとき、ルイスはウォール街の投資銀行と買収交渉を進めていたが、その相手はリーマンではなかった。マンハッタンの高層ビルの一室でルイスが密会していたのは、メリルリンチのジョン・セインCEOだった。メリルの財務状態はリーマン同様に深刻だったが、株式の個人投資家を顧客として大勢抱えている点がBOAにとっては魅力だった。

この日、ファルドが連絡を取れない重要人物がもう1人いた。ポールソンの居所が突然分からなくなったのだ(ファルドは「10分置きに電話してきた」と、このとき財務省にいた人物は言う)。

ポールソンとセインは2人ともゴールドマン・サックスの出身。ゴールドマン出身者同士で結託してリーマンのBOAへの「求婚」に横やりを入れ、BOAとメリルをくっ付けてメリルを救ったのではないかと、リーマンの元関係者の一部は疑っている。

本誌の取材に対し、ポールソンは陰謀の存在を否定する。セインとルイスの間を取り持ったのは事実だが、それはメリルも深刻な状況だったからにすぎないと言う。

BOAに会社を買い取ってもらう計画は実を結ばなかったが、ファルドは破綻回避を諦めていなかった。イギリスの大手商業銀行バークレイズとの交渉に、最後の望みを託した。9月14日の日曜日朝の時点では、バークレイズとの合意がまとまりそうだと思っていたリーマン幹部もいた。しかしこの買収話も結局、破談に終わった。

時間切れが近づいていた。14日夜、金融関係者や政府関係者との長時間の協議を終えて戻ってきたマクデードが伝えたのは、リーマンにとって非常に悪いニュースだった。政府は、この夜のうちに(つまりヨーロッパとアジアの市場が開く前に)リーマンが破産を宣言することを求めていた。証券取引委員会(SEC)のクリストファー・コックス委員長が電話してきて、リーマンの幹部たちに言った。

「皆さんの責任は重大だ」

幹部たちは愕然としていた。リーマンが破産すれば深刻な結果を招くことは明らかだった。リーマンに融資しているほかの大手金融機関にも打撃は及ぶ。


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