会計業界戦線 異常アリ

インターネットの登場によって、顧客の流動化が進む会計業界。このブログでは、会計業界の変化を綴っていければと思います。

記帳代行から課題解決スタイルへ移行が進む会計業界

2015-01-01 00:00:00 | 会計業界戦線異常アリ/TOP固定記事
会計業界に対する市場ニーズは、日々変化しています。

月額顧問料と決算料を支払っている日本中の経営者のうち、現在享受している会計サービスに満足している人は一体何人いるのでしょうか?

日本における年間の会計業務に支払われる金額は、莫大なものです。そこにユーザーである企業経営者が求めるサービスレベルと提供されているサービスのクオリティにギャップがあるとするならば、時代の流れからして必ず適正化に向かうでしょう。

その大きな原動力は、インターネットです。

誰もが、24時間、どこでも見れるメディア、インターネット。インターネットは情報の民主化を促進し、全てのサービスにおいて価格と内容の比較検討化を促進します。良いサービスを提供する会計事務所には今後よりニーズとオーダーが集中し、生存競争の激化は避けられないと思います。

現在成長している会計事務所は、記帳代行業務から脱し、付加価値提供スタイルに移行しています。経営者と定期的にコミュニケーションを取りながら、企業の数字を分析し、課題を発見し、解決策を提案する。日常の経営相談から、事業計画の作成、資金調達のサポート、人事コンサルティング、事業継承等の様々なニーズにいかに応えられるかが勝負所になってきているのです。

企業を患者さんとすると、税理士はお医者さんです。

税務決算という診察を通し、企業のカルテを作成し、病状を特定する。しかし、病状を治す処方箋を提供できなければ、その患者さんは「なんだ、この病院は頼りにならないな」と他の病院に移ってしまいます。 これからの会計業界には、強力な総合病院も出てくれば、ある分野に特化したスペシャリストを擁した専門病院、そして特定分野の名医を前面に出した個人病院もどんどん出てくるでしょう。その時重要なのは、その時代ごとに求められる多種多様なニーズをスピーディにキャッチし、サービス力につなげ、顧客満足を作っていけるかどうかだと思います。

特に今後の日本を担う可能性のあるITやエコ、バイオ分野における新しい企業群をどう取り込んでいけるかは、会計事務所の重要な経営戦略になっていくと思います。


資格はサービス価値を意味しない

2014-04-12 19:21:34 | 会計業界事情


会計事務所と税理士事務所、違いはあるものの、それぞれ顧客獲得競争は年々厳しさを増しています。

インターネットの普及に伴い、月額顧問料の低下が急速に進んでいます。

例えば、YahooかGoogleで「税理士紹介」と検索すると、いきなりリスティング広告で「月8820円から」というフレーズが目に入ってきます。

逆に言えば、今の税理士さんのサービスは“その位の値段の価値しかない”という見方があるということだと思います。

勿論、そうではない会計士、税理士さんも一杯いると思います。


以前、ある若手経営者が語った言葉が、頭に焼きついています。

「いくらで、何をやってくれるのか。それを、事前に示して欲しい」


税金の徴収担当という歴史の背景はあるものの、今や時代は自由競争であり、税務業務もどんどん二極化していくでしょう。

零細及びベンチャー企業は決算業務だけ、中堅企業は数字から見た経営体質強化の提案及び解決策としてのサービス紹介、それより大きな規模の企業は経営改善提案は勿論、合法的節税、M&A、上場準備といったところでしょうか。

事務所のハンコの威光は、どんどん薄れつつあると思います。




離婚時の財産分与 ローンの扱い

2013-03-01 09:58:57 | 会計業界事情
離婚時には、元配偶者から慰謝料や財産分与を受けるケースが出てきます。


この時、ローンが一部残っているケースも結構あります。

例えば、夫が大田区にある自分名義のマンションを妻に財産分与しする場合、名義人兼債務者が引越しをしたので、居住継続要件から外れ、住宅ローン控除を適用できなくなります。

つまり、住宅を取得するための借り入れから、通常の借り入れになります。


また居住用マンションを元の配偶者に譲渡したことで、譲渡所得の申告が必要になります。

この時重要なのは、離婚を完結させて元配偶者にしておかないと、3000万円の特別控除が受けれないのです

なぜなら、居住用不動産3000万円の特別控除は、譲渡先が配偶者や直系血族、同一生計親族では適用されないのです。

つまり、調停離婚中だったりすると、特別控除が受けれません。


また厄介なのは、住宅ローンが残っていて名義を変更する場合、金融機関から一括返済を求められるケースが多いということです。

この場合の落としどころは、元の夫婦間で所有していたマンションの売買契約を結び、その売買契約をベースに元の配偶者が新たにローン契約を結び、新たなローンで現在のローンを完済することです。

こういう手続きを経て、初めて財産分与における不動産の所有権移転が実現できるのです。

不動産譲渡時の節税対策

2013-02-26 22:33:42 | 会計業界事情
離婚時の財産分与は、なかなか万全の準備というわけにいかないケースが多いと思います。

特にお互いの信頼関係が崩れ、また感情が高ぶっていたりすると、冷静な判断もなかなかできません。

しかし大きな資産が動く時、入念な準備をするのとしないのでは、収める金額に大きな差がでることもたくさんあります。

後々後悔しないためにも、いくつかのシミュレーションを用意して、ベストな選択ができるようにすることはとても重要です。


不動産の売却に関しては、一番重要な節目は、所有期間の長さで約半分になることです。


1、個人で売却年1月1日における所有期間が5年以下である場合には、売却益に対して39%
 (所得税30%、住民税9%)

2、個人で売却年1月1日における所有期間が5年超である場合には、売却益に対して20%
 (所得税15%、住民税5%)

3、法人の場合は所有期間に関わらず、売却益に対してその法人の税率(26~41%)で課税されます。


つまり、自己所有の不動産所有期間が4年9ヶ月とかで離婚等による財産分与で売却せざるを得ない場合、5年を超えるまで売却を延ばすために、離婚手続きも延期する方が双方にとって得策ということですね。

あと法人には損失の7年繰越という優遇措置がありますが、個人は事業の損失と不動産売却の利益を相殺することはできませんので、要注意です。

財産分与(不動産譲渡)の課税イメージ

2013-02-24 10:18:16 | 会計業界事情
離婚で財産分与や慰謝料が発生した場合、基本的には税金はかかりません。

この考え方としては、慰謝料の場合心身に与えられた損害に対する賠償金なので、非課税なのです。

一方、財産分与の場合、土地や建物などの不動産財産を譲渡する場合には、譲渡する側には譲渡所得税、受け取る側には不動産所得税、登録免許税が課せられます。


【不動産譲渡の課税イメージ】

◆不動産を譲渡した側

4000万で購入した自宅の土地建物の時価評価額が、6000万だったとします。

この場合、差額の2000万が譲渡益となり譲渡所得税の対象となります。

譲渡した側が税金を支払う義務が発生しますが、譲渡する不動産が居住用の場合、譲渡所得3000万までの特別控除が受けれます。

この場合、譲渡所得は2000万なので、非課税になります。

ただし、以下のポイントに要注意です。

・この特別控除を適用するには、親族以外への譲渡が条件
・離婚手続きをした後(他人になった後)、不動産譲渡手続きをする必要がある
・離婚前でも婚姻生活20年以上の夫婦の場合、譲渡されるが側が引き続き居住すれば、2110万まで非課税


◆不動産を譲渡された側

不動産を譲渡された側には、不動産取得税と登録免許税が課せられます。

また取得した不動産には、毎年固定資産税がかかってきます。


広大な不動産が譲渡される場合、譲渡益にかかる税金も莫大になるので、入念な準備が必要ですね。