会計業界戦線 異常アリ

インターネットの登場によって、顧客の流動化が進む会計業界。このブログでは、会計業界の変化を綴っていければと思います。

5万点の公開文書に基づいた『CIA秘録』

2009-01-14 08:40:22 | 面白かった本
お正月に一気に読んだ本が、この『CIA秘録』の上下巻です。

“噂・伝聞一切なし。機密解除文書5万点を使って書かれた ”というフレーズのこの本は、ニューヨーク・タイムズの記者が、5万点以上の機密解除文書、CIA元長官を含む計300人以上のインタビューを敢行し、書き上げたものです。

昨年度の全米図書賞を受賞したこの本の中には、歴史的な貴重な事実もかなり含まれています。

例えば、こんな感じです。

◆第12章「別のやり方でやった」自民党への秘密献金

占領日本を支配したダグラス・マッカーサー元帥は、CIAを草創のころから嫌い、信用していなかった。1947年から50年まで、東京のCIA支局を極力小さく弱体にして、活動の自由も制限していた。元帥には独自のスパイ網があったのだ。広島、長崎に原爆を投下した直後から構築し始めたものだった。CIAはこのスパイ網を元帥から受け継ぐことになったが、これはいわば毒のもられた遺贈品だった。

マッカーサーを軍事諜報面で補佐していたのは、チャールズ・ウィロビー少将だった。ウィロビーの政治的立場は、米陸軍の将官の間では最も右寄りだった。ウィロビーは1945年9月、最初の日本人スパイをリクルートすることで、戦後日本の諜報機関を牛耳ることになった。この日本人スパイは、戦争終結時に参謀本部第二部長で諜報責任者だった有末精三である。

有末精三中将は1945年の夏、戦勝国に提出するための諜報関係資料を秘密裏に集めていた。それが、敗戦後自分自身の身を守ることになると考えていたのだった。多くの高位にある軍人同輩と同じように、戦争犯罪人として起訴される可能性もあった。が、有末はかつての敵の秘密工作員となることを自ら申し出たのである。それはドイツのラインハルト・ゲーレン将軍がたどったのと同じ道だった。ウィロビーの最初の指示は、日本の共産主義者に対する隠密工作を計画し、実施せよというものだった。有末はこれを受けて、参謀次長の河辺虎四郎に協力を求め、河辺は高級指揮官のチーム編成にとりかかった。

1948年、アメリカの政治戦争の生みの親であるジョージ・ケナンは、日本については政治の改革より経済の復興がより重要であり、実際問題としても、実現が容易であると感じていた。ケナンはマッカーサーの政策に対して疑問を呈していた。日本の産業を解体し、解体した機材を戦時賠償のために中国に送る、共産主義者がいまにも中国を制覇しようとしているときに、そうした措置をとることにどういう理屈があるのか、とケナンは問いかけた。ケナンの力によって、アメリカの対日政策は1948年末までには急転換を遂げた。日本の当局者に対する戦争犯罪訴追の脅威と占領の懲罰的な性格は、緩和され始めた。これで、ウィロビー指揮下の日本人スパイにとっては仕事がやりやすくなった。

※以下省略

秘録というだけあって、一般にはあまり知られていない史実もかなり書かれており、先日TBSのニュース23でも紹介されたとのことです。

かなり分厚いので時間はかかりますが、読み応え十分の良書だと思います。


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エコノミック・ヒットマン

2008-11-23 10:55:01 | 面白かった本
最近読んだ本で、なかなか面白かったのがこの本です。


 途上国を食い物にするアメリカ
 途上国を負債の罠にはめた著者が命がけで告発する

 表の顔は一流コンサルタント会社のチーフエコノミスト
 裏の顔は工作員


そんなオビが書かれたこの本は、新宿紀伊国屋書店で見つけました。

表紙の裏のフレーズと序文は、こんな感じです。


私の仕事には主要な目的が二つある。

第一に、巨額の国際融資の必要性を裏付け、大規模な土木工事や建設工事のプロジェクトを通じてメイン社ならびに他のアメリカ企業に資金を還流させること。

第二に、融資先の国々を破綻させて、永遠に債務者のいいなりにならざる状況に追い込み、軍事基地の設置や国連での投票や、石油をはじめとする天然資源の獲得などにおいて、有利な取引をとりつけることだ。


エコノミック・ヒットマン(EHM)とは、世界中の国々を騙して莫大な金をかすめとる、きわめて高収入の職業だ。

彼らは世界銀行や米国国際開発庁(USAID)など国際「援助」組織の資金を、巨大企業の金庫や、天然資源の利権を牛耳っている富裕な一族へと注ぎこむ。

その道具に使われるのは、不正な財務収支報告書や、選挙の裏工作、賄賂、脅し、女、そして殺人だ。彼らは帝国の成立とともに古代から暗躍していたが、グローバル化が進む現代では、その存在は質量ともに驚くべき次元に達している。


この本では、かつてエコノミック・ヒットマンだった著者の、リクルーティングされてEHMになる訓練模様から、エクアドルやパナマでの行動、そこで感じた良心の呵責と転向について、極めてリアルに描かれています。

もう一つのグローバル化の実態が、ここにはあります。

いろいろ考えさせられる本です。