黒猫亭日乗

題名は横溝氏の「黒猫亭事件」と永井荷風氏の「断腸亭日乗」から拝借しました。尚掲示板が本宅にあります。コメント等はそちらへ

ちんぷんかん

2008年05月18日 | 本のページ
ちんぷんかん

畠中恵

評価・☆☆☆

ただいまの所、しゃばけシリーズの最新刊「ちんぷんかん」。本作は再び短編集に戻ります。ただ、以前は謎解きに人情話がからんだ作りだったのが、段々世話物に謎解きがからんだ作りになっているように思えます。私は若だんなの胸のすくような名推理ぶりが好きなので、ちょっと残念ではあるのですが。
病弱だった若だんながとうとう三途の川までいってしまう「鬼と子鬼」、広徳寺の寛朝の弟子、秋英がとんでもない不思議に巻き込まれる表題作「ちんぷんかん」では寛朝がやはり名僧だと納得できる。「男ぶり」ではいままで台詞などしゃべったことがない母おたえの婿取りの顛末が語られるのだが、秘話というよりは作者はおたえをいままで扱いかねていたのではなかろうか。はかなげ、としか表現していなかったのが結構利発で活発でもある。久々貧乏神の金次が登場する「今昔」、そして若だんなが兄やたちにどれだけしたわれているか痛いほど解る「はるがいくよ」は物悲しいお話だ。しかし一作目でああゆう行動をとった若だんななのだから、あの結論の出し方は兄やたちにもわかっていたのではないだろうか。
先に嫁入りしたお春、そして本作での兄の松之助や友の栄吉…。そぞろ淋しさを隠せない若だんなだが、別れがあれば出会いもある。これ以降何か新しい展開があるのかもしれない。尚、前作の疑問はノータッチで置いてきぼりではある。

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