ポ 「外資系企業が多く入っているビルの地下にあるせいか、外人のお客さんが多いね」
ガ 「そばやうどんはヘルシーってことで外人には重宝されているのかも。さてこのお店、メニューはたくさんあるけれど、注文するのはただひとつ！」
ポ 「そう、《けんちんうどん》さ。なにしろ野菜たっぷりのけんちん汁がうまいんだもの。万人に勧められるね」
ガ 「ほら見てよ、この具だくさんの野菜！ ニンジン、じゃがいも、大根、カブ、白菜、ゴボウ、ネギなどの野菜がゴロゴロしているよ！」
ポ 「かなり大きめのレンゲに豆腐を載せてみたんだけど、この写真じゃ豆腐の大きさもうまく伝わらないようだね」
ガ 「とりあえず真冬にでも尋ねて、一度食べてみればいいさ。即座にこのお店のファンになると思うよ」
ポ 「ただし、よっぽどの大食漢でもないかぎり、《ちからけんちんうどん》を頼んじゃダメだよ！ その日の夜はもちろん、翌朝まで満腹感が続くからね。なにしろ大きめの餅が3個も乗るからさ…」
ガ 「僕たちのいつものオーダーは、《けんちんうどん・麺少なめ》にもち1個（100円プラス）！ これならちょうどいい量だよ」
けんちんうどん：980円
ポ 「すごいねえ、寛文五年（1665年）から稲庭うどんを作っているんだからね」
ガ 「今でも手作りを守り続けているようだよ。世界的な食品コンクールの《モンド・セレクション》でも最高位の賞を3年以上、連続で受賞したんだってさ」
ポ 「そう聞くと、どんなうどんが味わえるか楽しみだよ。さて、週替わり・魚定食が来たよ」
ガ 「うどんは稲庭特有の細麺平打ちだね。ではチュルル～」
ポ 「コシがあって、なめらかで、繊細で…。ふだんは讃岐ばかり食べているから、稲庭を食べるとちょっと上品になるわね、オホホ…」
ガ 「別にセレブ言葉を使う必要はないけど、あまりの繊細さに《うどんを愛しむ》という気持ちになってしまうね」
ポ 「そしてこの鯖のおいしそうなこと！ なんと鯖が半身だよ！ 先週はちょっと鯖塩で嫌なことがあったから、これはうれしいね。さて、身を箸で崩してパクリ…」
ガ 「ああ、ご満悦だよ。なにせ、このお店は銀座のクラブ街の中心にあるんだよ。よくぞこの値段でと驚かされるねえ…」
魚定食：1000円
ポ 「TOKIAができたおかげで、丸の内の食環境がますます充実したね」
ガ 「かつてこの地は『東京ビルヂング』で、その頃は『ニュートーキョー』や、『東宝ディンドン』など数店があるだけだったよね」
ポ 「さあ、きつねうどんが到着…。ってなに、この丼の大きさは！？」
ガ 「ずいぶんでかいねえ。では底に沈んでいるお出汁を掬って…。うわー、掬いにくい」
ポ 「巨大な丼はウケ狙いかなあ？」
ガ 「ここはうどんを1玉から3玉まで、差額なしで提供してくれるから、3玉のお客にも対応できるよう、この大きさにしたんだろうね」
ポ 「でも女性客が多いよ。女性が3玉も食べられるかな？ さて、実食だよ」
ガ 「お出汁はおいしいや。スーッと胃に吸収される感じ」
ポ 「うどんもおいしいよ。お揚げは、食べても食べてもなくならないよ」
ガ 「それはさておき、音楽はうるさいね。入店時から気になっていたけど…」
ポ 「音質のよくないスピーカーで大音量だよ」
ガ 「《What's going on》は好きな曲だけど、これじゃマーヴィン・ゲイがかわいそうだね！」
きつねうどん：680円
ポ 「1時すぎに来たのに、20分も並んだよ」
ガ 「しょうがないよ。最近はうどんブームだからね。東京中のさぬきうどん屋さんを食べ歩いているフェルナンドが言っていたよ。『かおりひめ』が一番おいしいって」
ポ 「この《たらいうどん》に生醤油をつけて食べるの？ ツルツル。うん、おいしい～」
ガ 「でしょ。こっちのあられ丼だっておいしいよ。ところでここのお客さんって、天ぷらを食べているひとが多いね。さぞかし、おいしいんだろうね」
ポ 「隣に座ったお客さんがアスパラガスの天ぷらを食べていたとき、サクッ、サクッていう音が聞こえたくらいだから、カラッと揚がっているんだね」
ガ 「『かおりひめ』という名前もユニークだよ」
ポ 「香川県の《香（かおり）》と、愛媛県の《媛（ひめ）》から1字ずつとって付けた名前みたい。瀬戸内の郷土料理が楽しめるんだって。二つの県は隣り合っているからね」
ガ 「じゃあ、新潟県と富山県がコラボでお店を出したら、『にいと』になるの？ なんだか、従業員が働かなさそうだね」
ポ 「もっとセンスのいい店名をひねり出すから、心配はいらないよ！」
釜揚げたらいうどんとあられ丼：1000円
ポ 「こんなに暑いと、さすがに温かいうどんを食べている人は少ないね」
ガ 「ふんっ、ヘナチョコどもが。こちとら、いつだって温かいうどんでぃ！」
ポ 「冷たいうどんを食べてるからって、ヘナチョコじゃないよ！」
ガ 「でも4年前の9月、アーネストに初めて『はなまる』に連れて行ってもらったときは感激だったね」
ポ 「渋谷・公園通り店だよね。おいしいのに安くってさ。いまでは、街を歩いていて『はなまる』を見つけると、お腹が減っていなくてもつい入っちゃうようになったよ」
ガ 「そういえば、『はなまる』は5月に吉野家の子会社になったんだよね」
ポ 「うん。『はなまる』は現在、BSE問題でオージーと国産の牛肉を使っているんだけど、そのうち米国産牛の輸入が解禁になったら、『吉野家』に追随してアメリカンビーフを使うんじゃないかな、というのが僕の深い読みなんだ」
ガ 「そんなの、誰だって考えることじゃないの？」
きつねうどん（中）：399円
