ポ 「北千住に来たよ! 駅前には丸井やルミネがあって、賑やかだねえ」
ガ 「こんなに洗練されていたとは、正直いって意外だね。ところで北千住に来た目的は?」
ポ 「おいしいお好み焼きともんじゃを食べさせてくれるお店があるんだってさ。でも詳しい地図も番地も家に忘れてきたので、たどり着けるかちょっと不安だよ。携帯からネットに接続しても、このお店は紹介されていないし…」
ガ 「まあ、なんとかなるよ。では出発~」
ポ 「駅からちょっとはずれると、とたんに昔ながらの家だらけになるね」
ガ 「家と家の間の路地が無数にあるよ。どの路地も懐かしい味を出していて、ひょいと通ってみたくなるね」
(1時間経過)
ポ 「それにしても見つからないなあ」
ガ 「ちょっとメモを見せてよ。なになに、『民家と一体化している上、細~い路地にあるので、よそ者は見過ごす可能性大』!? 番地も分からなくて、こんな路地だらけの場所じゃ見つけられないよ!」
ポ 「だいたいこの辺りだと思うんだけど…。この路地を曲がって、さらに細い路地に入って…。あっ、あったよ。あの赤い布きれに《お好焼》って書いてある!」
ガ 「見つけ出せたのは奇跡だね。ようやく見つかってよかったよ。まさに民家と一体化だ。あれっ、店内が暗くなっている! 今日はお休みなのかなあ?」
ポ 「休みなら赤い布きれは掲出しないよね。おっ、貼り紙がしてある!」
ガ ガ「いまはお客さんがいないので、おばさんは2階にいるんだね。どうしよう、わざわざ僕たちのためにお店を開けてもらってもねえ…」
ポ 「たしかにね。このお店はまた来ようよ。では、予定を変更。駅に戻るね」
ガ 「駅の隣に26階建てのアトラスタワー北千住があるから、駅までの道は迷わずに行け…。んっ、なんだこのお店は?」
ポ 「スポーツ選手などのイラストがいっぱい、お店の前に貼ってあるよ」
ガ 「イナバウアーの荒川静香や、凱旋門賞で3着となったディープインパクト、そしてレッドソックスとの入団交渉が始まった松坂大輔などの絵が描かれているね。目的はなんだろう? 絵が好きなのかなあ…」
ポ 「よくわからないけど、でもこの絵を見られただけでも、北千住に来てよかったね」
(駅に戻りました)
ガ 「お好み焼きがNGとなれば、なにを食べに行こうか?」
ポ 「とんかつのおいしいお店があるんだって。かなり上質の肉を使っているそうで、肉が入荷できなかったら食べられないと雑誌に書いてあったよ」
ガ 「それは面白いね。そのお店に決定!」
(洋食の店 三太に到着)
ポ 「へえ、ここか。いかにも下町っぽい感じの洋食屋さんだね。気取っていなくて好感が持てるよ」
ガ 「では、ごめんくださ~い。おりょりょ、土曜日の午後1時20分だというのに、お客さんは誰もいないよ。ピークが終わったのかなあ」
ポ 「どうだろうね。ところで注文をどうしよう? じつはさきほどから、あるメニューが嫌でも目に飛び込んでくるんだけど…」
ガ 「《黄金カツ》でしょ? テーブルに置いてあるメニューから壁に貼ってあるお知らせまで、《黄金カツ》だらけだよ」
ポ 「『究極のカツ宣言』、『はっきり言って凄すぎる…』、『これほどのカツは3000~5000円で出しても食べられないよ』、『満足いただけなければ御代は結構』…」
ガ 「すみません、黄金カツを2人分ください…。というか、これほどまでにアピールされれば、黄金カツ以外のものは注文できないよね」
ポ 「まったくだよ。さあ、ご主人が鍋に肉をゆっくりと滑らせたよ。プツプツと揚がる音が聞こえるね」
ガ 「揚がるまで、ご主人と従業員の2人のおばさん、そして僕たちはテレビに釘付けだよ。NHKの大河ドラマ『功名が辻』の再放送、石田三成が処刑されるシーンでさ…」
ポ 「三成の忠義を貫くシーンに、お店にいる5人がホロリとさせられたよね。さあ、20分ほどで黄金カツをおばさんが運んできてくれたよ」
ガ 「どう、この分厚さ! 3㎝はありそうだね。では、いただきまーす」
ポ 「ジューシーで、噛むごとにうまさがしみ出てくるよ。これはすごいや。テーブル備え付けの辛子ととんかつソースをたっぷりかけて…。各テーブルにマヨネーズが1本付属しているのは、マヨラーとしてはうれしいね」
ガ 「ごはんが進むなあ。とんかつがこれだけのボリュームだから、贅沢にバクッと食べちゃうよ」
ポ 「あ~、大満足。でも言葉は悪いけど、北千住でここまでこだわる理由ってなんなの?」
ガ 「それはメニューのなかに書いてあるよ。ほら」
ポ 「つまり、高級レストランはボッているってことかなあ?」
ガ 「そんなところだろうね。さあ、2時で閉店だから僕たちも出るよ」
(お店を出ました)
ポ 「くれぇなずぅぶぅばぢぬぉ~、ひかぁりとぉかげぇのぉなかぁ~♪」
ガ 「とんかつがおいしかったから、ご機嫌だねえ」
ポ 「そうだね。そしてこの近くに、あの『3年B組金八先生』のロケ現場となった、足立区立第二中学校があるんだよ」
ガ 「え~、あの『桜中学校』が!?」
ポ 「うん。でもなかなか見つからないね。工事のガードマンの人に訊いてみようか…。えっ、ここが『桜中学校』の跡地? どうなっちゃったの?」
ガ 「在校生の減少で昨年3月末に廃校となり、いまは『東京未来大学』の開校に合わせて工事をしているようだよ」
ポ 「それは残念だね。堀切駅から見える体育館が唯一のなごりかな」
ガ 「跡地に『金八先生記念館』もできるんだってさ。一度、見にこようね!」
黄金カツ:1780円