ポ 「今日は悲しいお知らせをしなくちゃならないよ。ではガブリエルさん、どうぞ…」
ガ 「じつは僕たちはある国から日本に送り込まれたスパイなんだ。でも肝心の諜報活動をせずに、食べ歩きばかりしていることが本国の上層部にバレてしまい、強制的に連れ戻されることになったというわけさ…」
ポ 「まったく残念だよ。まだまだお伝えしたいお店がたっぷりあったのに…。まあ、ほとぼりが冷めた頃にまた日本に戻ってくるつもりだから、そのときはリニューアルした『TOKYOご満悦ランチ』をお届けするからね！」
ガ 「さあ、ランチを食べたら成田空港に急ぐよ。じゃあ、みんな元気でね！」
ポ 「どんなもんじゃい！」
ガ 「亀田興毅がランダエタを3-0の大差判定で退け、初防衛に成功したね」
ポ 「スタイルを変えたのがよかったのかな。フットワークも軽快だったよ」
ガ 「これでますます、亀田には期待できるなあ…」
ポ 「そのフリからすると、今日のランチは神田のガード下にある『酒蔵 升亀（ますかめ）』で、激ウマのカキフライを食べるんだねっ！」
（お店に入りました）
ガ 「相変わらずお客さんでぎっしりだ。こんなに席数があるのに、満席を保っているんだから人気のほどが伺えるね」
ポ 「昼から酒を飲む人は2階席に案内されるようだよ。では、僕たちも2階へ…」
ガ 「一人で行っといで！ 昨晩も忘年会、今晩も忘年会でよくそんなセリフが出るね」
ポ 「もちろん冗談だよ…。いや～、昨晩の飲み会はすごかったね。まだ頭が痛いや」
ガ 「そんな絶不調でも揚げ物を食べられるのは、ある意味すごいよ。《二日酔いの世界チャンピオン》になれるね」
ポ 「えっ、世界チャンピオン？ 相手選手が格下ばかりだったら、世界チャンピオンになれるかも…。さあ、カキフライ定食が来たよ！」
ガ 「ここのカキフライは本当においしいね！ 居酒屋カキフライの、まさに王道だよ。毎年、寒い季節になると、『升亀のカキフライが食べられるな～』と楽しみになるもの…」
ポ 「大粒のカキフライ、ポテトサラダ、胡麻ドレの千切りキャベツ、ごはん、味噌汁、なめこおろし、おしんこ、昆布の佃煮がついて680円だよ。交通費をかけても、ぜひ神田に来いっちゅーこっちゃ！」
ガ 「亀田はもういいよ！」
カキフライ定食（ごはん少なめ）：680円
ポ 「オサレなてんぷら屋さんだねえ。ジャズがいい感じで流れているよ」
ガ 「ガラスで厨房と客席を仕切っているのも、油の匂いを遮ってくれるうれしい《配慮》だね」
ポ 「だけどみそ椀が別料金、ってのはちょっと解せないんじゃない？ お店の女性に『みそ椀はお付けしますか？』と訊かれたときは、言っている意味がすぐに理解できなかったもの。天丼にみそ椀はセットでしょ！？」
ガ 「どうやら、《だし》、《豆腐》、《味噌》などに、いろいろなこだわりがあるようだよ」
ポ 「そうなのか！ それだけ手間をかけ、上質の素材を用いているのなら、別料金になっても仕方がないのだろうね」
ガ 「さて…。天丼とみそ椀が到着～！」
ポ 「まずは天丼から…。タネはいか、えび、小えびの掻き揚げが各1だね。胡麻油の香ばしさが堪らないよ」
ガ 「続いてみそ椀をズズ～。うん、たしかにおいしいね…」
ポ 「そう？ 僕には他店との差異がよくわからないよ。どのようにおいしいの？」
ガ 「まあ、なんというか…。いずれにしても、こだわりが感じられるよ！」
ポ 「おやっ、このお店に対する評価がずいぶん甘いねえ！ もしかして身内だったりするの？」
ガ 「まさか。身内ではないよん。なんでそんなことを言うの？」
天丼：840円 味噌椀：157円
ポ 「まったく許せないよね。日興コーディアルグループの粉飾決算は！」
ガ 「有価証券報告書に188億円の利益を水増し計上していた件でしょ。もしかしたら、上場廃止になるかもしれないんだって」
ポ 「ほら、見てごらんよ。日興CGの株価はストップ安で値がつかない状況だよ。僕は日興CGの株を持っているから、今回の件では文句があるんだ。ちょっと話をしてくるから、ガブリエルはお店の前で待っていて！」
ガ 「ひとりで大丈夫？」
ポ 「ああ！」
ガ 「（ポコビッチは短気なところがあるから、心配だよ…）」
（日興コーディアル証券本社に単身、乗り込みました）
ポ 「あのぉ、すみません…。口座管理料を払い忘れていました…。3150円ですね…。はい、次回からはすぐに振り込みますので…」
（本社を出ました）
ガ 「どうだったの？ 文句を伝えてきたの？」
ポ 「あたりまえだよ！ さてと、ランチはこのビルの地下で食べようね。いろいろあるけど、この『大陸食堂 萬里』にでもしようか」
（入店しました）
ガ 「セットものがお得だねえ。では五目そばとミニ炒飯で決まりだよ」
ポ 「『萬里』は大手町でも店舗を出していて、そこの炒飯はなかなかいけているんだ。ここはどうかな？」
ガ 「あっ、セットが来たよ。なかなかおいしそうじゃない！？」
ポ 「まずは五目そばのスープをズズズ…。いい味だねえ。塩気がちょうどいいや。野菜もたっぷりでうれしいね」
ガ 「では、お次はミニ炒飯だよ。どれどれ…」
ポ 「んっ！ これは作り置きっぽいよ！」
ガ 「油分が口にヌラヌラと残るね。ジャーに長時間入れておくと、こんな炒飯になるよ」
ポ 「大手町店はおいしいのに、残念だなあ。炒飯とは、こーでぃあるべきじゃないよね！」
ガ 「まだ文句を言いたりないの？」
五目そばとミニ炒飯セット：1000円
ポ 「畑の土づくりからこだわった、旬の野菜を食べさせてくれるんだって。当然、カラダにもやさしいそうだよ」
ガ 「それはうれしいね。忘年会がこんなに続いたので、内臓が悲鳴を上げていたからなあ」
ポ 「モスバーガーが経営しているんだから、このようなコンセプトのお店ができるのも当然だよね」
春菊とトマトのサラダ
ごぼうの素揚げ
にんじんのスープ
刺身と野菜のサラダ
大根の煮物
黒豚のバルサミコ酢あえ
じゃこごはん、みそ汁、たくあん
抹茶のババロア
ガ 「いや～、どの料理も味付けは控えめ。だから、食材の質がよくわかったよ」
ポ 「野菜そのものの味が生かされているね。おかげで、カラダがすっかりリセットされたようだよ。さて、と…」
ガ 「あれ、どうしたの？ 携帯電話なんか取り出して…」
ポ 「本日は忘年会を2件掛け持ちでね。次はハルク裏の『VAGABOND』だってさ…」
（『VAGABOND』に入店しました）
ガ 「おっ、絵に描いたような日本酒の《駆けつけ3杯》が待っていたよ。大丈夫？」
ポ 「心配はいらないよ。ここで飲みすぎても、また『AEN』でリセットしてもらえばいいからね！」
ガ 「お前は本当に《学習》という言葉を知らない男だよっ！」
和（なごみ）コース：5300円
